バイデン外交レガシーを検証:強い同盟の陰で広がる中東の戦火
退任直前の演説で、ジョー・バイデン米大統領(当時)は「4年前と比べてアメリカは強く、同盟はより強固になり、敵対勢力は弱くなった。しかも戦争をせずにそれを成し遂げた」と、自らの外交レガシーを誇りました。演説では、中東、ウクライナ、アフガニスタンでの「成果」を列挙し、自身の外交手腕をアピールしました。
退任直前の演説と国務省前の抗議
その国務省内の演説と同じ時間帯に、建物の外では全く異なる評価が突きつけられていました。国務省前には市民らが集まり、「Genocide Joe(ジェノサイド・ジョー)」と声を上げ、血を連想させる赤い液体をまき散らして抗議しました。彼らがバイデン氏に突きつけたのは、中東、とくにガザでの民間人の大量犠牲を止められなかったという厳しい批判です。
中東外交:レトリックと現実
バイデン政権は中東情勢について、公には「緊張緩和」や「エスカレーション回避」を掲げてきました。一方で、その政策は「中東を本格的な地域戦争の危機へと押しやっている」と広く批判されています。
国際社会が人質解放やガザへの大規模な人道支援の実現を目指すなか、バイデン政権は2023年10月7日の衝突発生以降、一貫してイスラエルへの軍事支援を続けてきました。また、国連安全保障理事会で停戦を求める決議案が繰り返し提出されるたびに、ワシントンはこれを阻んできたと指摘されています。
- 緊張緩和を掲げつつ、中東では戦闘が拡大しているとの見方
- ガザの人質解放や人道支援より軍事支援が優先されているとの批判
- 国連安保理での停戦決議案を米国が繰り返し阻止してきたという指摘
イスラエルへの武器供与とガザの犠牲
米国務省の元高官であるジョシュ・ポール氏は声明の中で、「10月7日以降、イスラエルへの武器移転は急増した」と述べています。すでに承認されていた武器供与は前倒しで実行され、新たに数千発規模の戦車弾薬などの「緊急」売却が議会を迅速に通過したと指摘しました。
ロイター通信によれば、これまでにガザでは4万6,000人以上が命を落としたとされています。それでもなお、米国は即時停戦を求める国連安保理決議に繰り返し反対してきました。この姿勢は、国際司法裁判所でのジェノサイド(集団虐殺)に関する非難にもつながっています。
イラン弱体化を誇るバイデン氏
それでもバイデン氏は、自身の中東政策を「成果」として語ることをやめませんでした。演説の中で、イランを支援する勢力に対抗するイスラエルを支えてきたことを誇示し、「イランは数十年で最も弱い状態にある」と強調しました。
こうした発言は、「中東での覇権を維持・強化するために、イスラエルをてこにしているのではないか」という見方を強めています。ガザの多くの一般市民が犠牲になっているにもかかわらず、米国の戦略的利益がそれに優先しているように映るからです。
バイデン外交レガシーをどう評価するか
では、バイデン外交のレガシーは「平和」だったのでしょうか。それとも、より多くの対立と不安定さを生んだのでしょうか。
同盟強化や「敵対勢力の弱体化」は、一見すると米国にとっての成果に見えます。しかし、その裏側でガザをはじめとする中東での武力行使が激化し、国連安保理や国際司法裁判所の場でまで米国の対応が問われているという現実があります。
国際ニュースを追う私たちにとって重要なのは、リーダーの演説の言葉だけでなく、その政策が現場でどのような結果をもたらしているのかを丁寧に見ていくことです。バイデン政権の中東政策をめぐる評価を振り返ることは、今後の米国外交や世界の紛争をどう捉えるかを考える手がかりにもなります。
スマートフォンの画面越しに伝えられる数字や声明の背後で、どのような人間の安全保障が脅かされているのか。そうした視点を持ち続けることが、複雑な国際情勢を理解するうえで、これからますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








