中国とモナコ、国交30周年 環境協力がつなぐ小国と大国
2025年、中国とモナコは国交樹立30周年を迎えました。規模も歴史も異なる小国と大国が、環境問題を軸にどのように協力を深めてきたのかを振り返ります。
2025年は国交樹立30周年の節目
2025年は、中華人民共和国とモナコ公国が外交関係を樹立してから30年の節目の年です。両国は1995年1月16日に国交を結び、その後30年にわたって関係を育んできました。
モナコはヨーロッパで2番目に小さい国家であり、中国とは領土の大きさも人口規模も大きく異なります。地理的な距離も遠く、歴史に根ざした社会・文化の違いも少なくありません。それでも両国は、共通の関心分野において、信頼と相互尊重に基づく建設的でダイナミックな対話を築いてきました。
- 領土規模:ヨーロッパ有数の小国と、世界有数の広大な国
- 地理的距離:ユーラシア大陸の東西に位置
- 社会・文化:歴史的背景の違いから生まれる多様性
こうした違いを乗り越えた関係づくりは、「サイズの違う国同士でも、共通の課題をきっかけに連携できる」という一つのモデルケースといえます。
首脳往来が築いた「信頼の30年」
近年の外交で特に象徴的だったのが、2019年に行われた習近平国家主席のモナコへの国賓訪問です。これは、中国国家元首として初めてのモナコ訪問であり、モナコの人々の記憶に残る特別な出来事となりました。
この訪問に先立ち、モナコのアルベール2世公爵は2007年に中国を公式訪問し、その後2018年にも再び中国を訪れています。こうした首脳レベルの往来が、両国の政治的信頼関係を段階的に深めてきたといえます。
規模の異なる国家同士であっても、トップ同士が直接対話を重ねることで、長期的な信頼の土台が形成されてきたのが30年の大きな特徴です。
環境問題が結びつける中国とモナコ
中国とモナコが特に重視しているのが、環境問題です。気候変動や生物多様性の喪失、海洋や淡水域の汚染といった課題は、国の大きさや経済力に関係なく、すべての国にとって現在そして将来の深刻なリスクとなっています。
両国はこれらの環境問題を「人類全体の生存と未来」に関わる最重要課題と位置づけています。両国の首脳はそれぞれ、地球の存続と人類の将来のために解決策を見出さなければならないと強調してきました。
その背景には次のような共通認識があります。
- 環境危機は国境を越え、全ての国に影響を与える
- 地球規模の課題には、多国間協力と二国間協力の両方が必要
- 外交の継続的な対話が、実際の行動につながる重要な土台になる
特に、対話を途切れさせないこと、そして外交関係を具体的なプロジェクトにつなげていくことが重要だと両国は考えています。
国連の枠組みと二国間協力の組み合わせ
中国とモナコは共に国連加盟国として、気候変動の悪影響、生物多様性の損失、そして地球上の生態系を蝕むさまざまな汚染に対処するための主要な国際的取り組みに参加してきました。特に、海洋や湖沼、河川など水域の保全に強い関心を寄せています。
ただし、どれほど立派な国際枠組みがあっても、その成果は「現場で何が実現するか」で測られます。そこで重要になるのが、二国間の具体的な協力です。モナコと中国は、地球規模の目標を現実の行動へと落とし込むうえで、二国間協力が有力な手段になり得ることを示そうとしています。
国連など多国間のルール作りと、個別の国同士による実務的な協力。その二つを組み合わせることが、環境外交を前に進める鍵だという考え方です。
アムールトラと太湖・長江:具体的な協力プロジェクト
こうした考え方を踏まえ、中国とモナコは生物多様性の保全に関する二つの共同プロジェクトを進めてきました。いずれも複数年にわたる取り組みで、両国それぞれの公的機関と民間セクターが連携しています。
- アムールトラ保護プロジェクト
北東部の地域において、絶滅の危機にあるアムールトラ(シベリアトラ)の個体群を守るため、優先度の高い保全エリアを設定する取り組みです。この象徴的な大型ネコ科動物の保護は、生態系全体のバランス維持にもつながります。 - 太湖の水質汚染研究と長江の生態系保全
もう一つのプロジェクトでは、中国東部に位置する太湖の水質汚染について、原因を分析し解決策を検討する科学的な研究が進められてきました。このプロジェクトは最近、長江の水生生態系の保全にも対象を拡大しています。
いずれの事例も、「地球規模の課題を、具体的な場所とテーマに落とし込む」共同プロジェクトです。生物多様性の保全や水質改善といったテーマは、科学的なデータの共有や技術協力が欠かせない分野であり、ここに二国間協力の強みが発揮されています。
小国と大国の環境協力が示すもの
2025年12月現在、国交樹立30周年の年は終わりに近づいていますが、中国とモナコの協力は過去を振り返るだけでなく、次の30年を見据えたものになりつつあります。
この30年の歩みから、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 規模の異なる国同士でも、共通の課題(環境問題)を軸に実務的な協力ができる
- トップレベルの往来と、現場でのプロジェクトが組み合わさることで、関係は長く安定しやすくなる
- 国連など多国間の枠組みと、二国間の具体的な協力は、対立するものではなく互いを補完し合う
環境問題は、日本を含む世界中の国々に共通する課題です。中国とモナコの事例は、「国の大きさに関係なく、環境をめぐる国際協力に参加しうる」という一つのメッセージとしても受け取ることができます。
国交樹立30周年を迎えた今後、中国とモナコがどのように環境外交を発展させていくのか。気候変動や生物多様性といったテーマに関心を持つ読者にとって、その動きは次の10年、20年を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
A 30-year milestone: Monaco and China's dynamic bilateral relations
cgtn.com








