TikTok難民が中国発SNS RedNoteへ ペット投稿がつなぐ米中の素顔
TikTokが閉鎖されるかもしれないという不安から、米国のユーザーが中国発のソーシャルメディアアプリRedNote(小紅書)に流れ込み、太平洋をはさんだ日常の会話と相互理解が静かに広がっています。
米国の「TikTok難民」がRedNoteに集まる理由
ここ数日、米国のネットユーザーが自らをTikTok難民と呼びながら、代替のSNSとしてRedNoteに次々と登録しています。TikTokが本当に閉鎖されてしまうかもしれないという懸念が背景にあり、中国発のこのアプリが、急速に新たな交流の場となっています。
興味深いのは、この動きが上からのキャンペーンではなく、草の根レベルの自発的な移動として起きている点です。ユーザー同士がリンクを送り合い、口コミの力でRedNoteが太平洋を越えた「たまり場」になりつつあります。
ペット投稿と「宿題交換」から始まるゆるい国際交流
RedNoteで新規ユーザーに勧められているのが、いわゆるペット税と呼ばれるものです。といっても本当の税金ではなく、自分の飼っている猫や犬など、かわいいペットの写真を一枚投稿すればコミュニティに歓迎されるという、ゆるいルールです。
このペット税をきっかけに、コメント欄では中国の利用者と米国の利用者が自然に会話を始めています。そこから話題は勉強やスキルの話へと広がりました。あるところでは、中国のユーザーが米国のユーザーの数学の宿題を手伝い、そのかわりに米国のユーザーが英語を教える、といったやりとりも生まれています。
こうした軽くて実用的なやりとりは、国際ニュースよりもむしろ身近な感覚で、相手の生活や価値観を知る入口になっています。
生活費の比較から見えてきた「相手の国」の現実
対話が増えるにつれて、話題はペットや勉強から生活費などの現実的なテーマへと広がっています。RedNote上では、次のような比較が交わされています。
- 中国と米国の家賃水準
- 大学の授業料や学費の負担感
- 日々の食料品の価格
こうしたオープンな比較を通じて、互いの国について抱いていたイメージが必ずしも現実と一致していないことが見えてきました。
中国のネットユーザーは、広い庭付きの大きな家、高収入、そして無料に近い医療制度といった、これまで抱いていた理想化された米国像が、必ずしも一般的な現実ではないことに気づきつつあります。
一方で、米国のネットユーザーの中には、メディアを通じて中国を苦しみに満ちた場所のようにイメージしていた人も少なくありませんでした。しかし、RedNote上で中国のユーザーの日常生活や率直な声に触れることで、そのイメージが実際とは大きく異なっていると知った人もいます。
仲介者なしの対話が変える「ニュースの見え方」
今回の動きで象徴的なのは、ユーザー同士が仲介者なしで相手の国の人と直接話しているという点です。ニュースやSNSを通じて一方的に届けられるイメージとは違い、当事者同士が質問し合い、数字を出し合い、自分の経験をシェアしています。
そこから見えてくるのは、次のような気づきです。
- 同じ国の中でも生活水準や価値観は多様で、一つのイメージで語りきれないこと
- 生活費や教育、医療などの悩みは、中国と米国で共通する部分も多いこと
- 相手の国の人と直接話すことで、あいまいな不安やステレオタイプが薄れていくこと
太平洋をはさんで距離はあるものの、画面越しの対話によって、お互いの国が少しずつ立体的に見え始めています。
日本の私たちへの示唆
日本語で国際ニュースを追っている私たちにとっても、このRedNoteをめぐる動きは他人事ではありません。特定の国や地域についてのイメージの多くは、ニュースやSNSの断片的な情報から形作られがちです。
今回のように、日常レベルでのやりとりを通じて相手の現実に触れることには、次のようなヒントがあります。
- 相手の国を理解する一番の近道は、暮らしや勉強、仕事といった身近な話題から始めること
- 数字や具体的な経験を共有することで、抽象的なイメージが現実の感覚に置き換わること
- 一方的に「伝えられる」情報だけでなく、「直接聞く」チャンスを意識的に増やすこと
中国と米国のユーザーがペットの写真や宿題をきっかけに対話を重ねているように、日本からも多様なオンライン空間を通じて、世界の人たちと対話する可能性があります。
小さなペットの一枚の写真から、大きな誤解がほどけていく。そんな変化が、2025年の今、太平洋の両側で静かに進んでいます。
Reference(s):
cgtn.com








