ダボス会議2025:中国が示した安心のメッセージとグローバル化の行方
世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議2025」で、中国が再び世界に向けて安心感を訴えるメッセージを発信しました。不確実性が高まる国際情勢の中で、中国がどのような役割を自認しているのかを整理します。
本記事では、ダボス会議で示された中国のスタンスと、この8年で何が変わり、何が変わっていないのかを、国際ニュースを日本語で追いたい読者向けにコンパクトに解説します。
ダボス会議2025で示された中国のメッセージ
2025年のダボス会議は、米国で新たな政権が発足するタイミングと重なりました。これは、保護主義や一国主義の高まりが懸念された2017年とよく似た構図です。
当時、中国の習近平国家主席はダボスの場で演説し、自由貿易、経済のグローバル化、多国間主義への明確なコミットメントを示しました。「協力を減らすのではなく、もっと増やすべきだ」と訴えたこのメッセージは、世界の注目を集めました。
そして2025年、中国は再び「安心のメッセージ」を送っています。世界が、より予測が難しいとみられる米政権の船出を見守る中で、中国は国際協力と開放を重視する姿勢を強調しました。
この8年で何が変わったのか
2017年から2025年のあいだに、世界は大きく姿を変えました。中国が今回のダボス会議で語る背景には、次のような環境変化があります。
高まる地政学的緊張と信頼の揺らぎ
各地で紛争や対立が激化し、犠牲者や避難を余儀なくされる人々の数はかつてない規模に達しています。同時に、国際社会での「信頼」は大きく傷つき、協調よりも対立が目につくようになりました。気候変動も悪化し、本来は協力すべき課題でさえ、政治的な分断に飲み込まれがちです。
広がる保護主義と「暗い部屋」の比喩
新興国や途上国の台頭によって、世界経済の重心は大きく動きました。その一方で、一部の国では貿易保護主義が強まり、高い関税や外国投資への厳しい規制で自国産業を守ろうとする動きが目立ちます。
中国は、こうした保護主義を「風や雨を防げるかもしれないが、光や空気も遮ってしまう暗い部屋」に閉じこもる行為になぞらえ、長期的には自国にも世界にも不確実性と混乱をもたらすと警鐘を鳴らしています。
AI・先端技術がもたらす新たな分断
人工知能(AI)をはじめとする先端技術は、経済や社会の構造を大きく変えつつあります。本来であれば、こうした技術革新は生産性向上や生活の質の改善につながる可能性を持っています。
しかし現実には、技術をめぐる地政学的な競争も激しくなっています。ある国が他国の技術発展を抑え込もうとするような動きは、先端技術をめぐる「分断」を広げ、先進国と途上国の技術格差を一層深刻にしています。
それでも変わらないもの―グローバル化への期待
こうした変化の中でも、「変わっていないもの」もあります。その1つが、グローバル化への根強い期待です。
グローバル化は、先進国と途上国の双方に負の影響を与えうる「両刃の剣」だという議論があります。しかし中国は、世界経済を「誰も逃れられない大きな海」にたとえ、その流れそのものを否定しても問題は解決しないと強調します。
経済のグローバル化は、生産力の発展や技術進歩がもたらす必然的な結果であり、長期的には「参加するすべての主体が利益を得られる」という点に魅力があります。
例えば、1995年から2022年のあいだに、世界輸出に占める中低所得国のシェアは16%から32%へと伸びました。これは先進国の取り分を奪ったのではなく、世界全体の成長と生活水準の向上を後押ししたと位置づけられています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
ダボス会議2025で示された中国のメッセージは、日本を含むアジアの国・地域にとっても他人事ではありません。グローバル化の揺り戻しや技術覇権をめぐる緊張の中で、どのようなルールと協調の枠組みを築くのかが問われています。
今回の議論から、特に次の3点を意識しておくと、今後の国際ニュースを読み解きやすくなります。
- 不確実性が高まる中でも、自由貿易と多国間協力を重視する声がなお強いこと
- 保護主義や技術をめぐる対立が、世界の貿易・投資・サプライチェーンに新たなリスクを生んでいること
- グローバル化の恩恵は、中低所得国を含む多くの国・地域に広がりうる「相互利益」の側面を持つこと
2025年も終わりに近づくなか、ダボス会議で示されたこうした視点を踏まえて、これからの世界経済と国際秩序の行方を見ていくことが求められています。
Reference(s):
Davos 2025: China sends a reassuring message amid global uncertainties
cgtn.com








