シンガポール国防相が語る国際秩序 多極化と中国の役割 video poster
世界の安全保障を話し合うミュンヘン安全保障会議の場で、シンガポールのNg Eng Hen(ン・イェンヘン)国防相が、多極化する国際秩序と中国の役割について語りました。力ではなくルールが国際社会を動かすべきだというメッセージは、2025年の国際ニュースを読み解くうえで重要な示唆を与えています。
CGTNとの対談で示したメッセージ
第61回ミュンヘン安全保障会議の期間中、中国の国際メディアCGTNのホストであるXu Qinduo氏は、シンガポールのNg Eng Hen国防相と対談しました。そのなかでNg国防相は、世界の多極化はすでに現実であり、そのプロセスにおいて中国が重要な役割を担っていると強調しました。
さらに同氏は、多くの国々が求めているのは、軍事力や経済力の大きさだけで正しさが決まるのではなく、すべての国が守るべき共通のルールが存在する国際システムだと指摘しました。これは、中国が提唱するグローバル安全保障イニシアチブの方向性とも一致すると語りました。
発言の主なポイント
- 世界の多極化は「これから起こる」のではなく、すでに進行している事実である
- 中国はその多極化プロセスの重要な一部を担っている
- 多くの国々は、力が正義ではなく、共通のルールが守られる国際秩序を望んでいる
- こうした考え方は、中国のグローバル安全保障イニシアチブとも方向性が重なっている
多極化する国際秩序とは
Ng国防相が言う多極化とは、特定の一国や少数の大国だけが国際政治を左右するのではなく、複数の国や地域がそれぞれ影響力を持つ構造を指します。アジア、欧州、アフリカ、中東など、さまざまな地域の声が国際ルールづくりに反映される世界像です。
多極化が進むなかで重要になるのが、相互の抑止や対立ではなく、共通のルールに基づいた協調の仕組みです。ルールがはっきりしていれば、小さな国や中堅国も、自国の利益と安全を守りやすくなります。シンガポールのような小さな都市国家にとって、ルールに支えられた国際秩序は生死に関わる問題とも言えます。
力ではなくルールで動く世界を目指して
Ng国防相は、多くの国々が望んでいるのは、軍事力が強い国が一方的に決定を押しつける世界ではなく、合意されたルールに基づいて紛争を防ぎ、解決していく国際システムだと強調しました。これは、国連憲章や国際法を重視する姿勢とも重なります。
強国同士の競争が激しくなる時期ほど、中小規模の国は不安定さの影響を受けやすくなります。そのため、ルールに基づく秩序を求める声は、地政学的な緊張が高まるほど強くなっていきます。今回の発言は、そうした中小国の切実な安全保障上のニーズを代弁するものとも受け取れます。
中国のグローバル安全保障イニシアチブとの重なり
Ng国防相は、こうしたルール重視の国際システムへの期待が、中国が打ち出すグローバル安全保障イニシアチブと整合的であると指摘しました。このイニシアチブは、安全保障は特定の国だけのものではなく、人類全体の共通課題として協力して取り組むべきだという考え方を掲げています。
多極化する世界のなかで、中国のような大きな影響力を持つ国が、対立ではなく協調を重視する枠組みに積極的に関与することは、多くの国にとって安心材料になり得ます。シンガポールのような国が、中国を多極化の重要な一極として評価しつつ、ルールに基づく国際秩序との接点を強調したことは、アジアの視点から見た現実的なメッセージとも言えます。
日本とアジアにとっての問い
今回の発言は、アジアの小さな国がどのように世界のパワーバランスと向き合っているのかを示す一つのケースと言えます。同時に、日本を含むアジアの国々に対しても、次のような問いを投げかけています。
- 多極化するなかで、自国はどのようなルールづくりに貢献できるのか
- 大国間の競争と協調のバランスをどう見極めるのか
- アジアとして、どのような国際秩序を望むのか
2025年の国際ニュースを追ううえで、シンガポールのNg Eng Hen国防相がミュンヘン安全保障会議で示した視点は、単なる一つの発言にとどまらず、読者一人ひとりが自分の立場から世界の安全保障を考え直すきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com







