トランプ流アメリカ・ファーストとウクライナ 米ロ接近の衝撃
ウクライナ情勢をめぐり、トランプ米大統領のアメリカ・ファースト路線が改めて鮮明になっています。火曜日にサウジアラビアで開かれた米ロ会談では、ウクライナ和平に向けた協力と関係正常化に向けた動きが一気に進みましたが、その裏側でウクライナと欧州の不安が強まっています。
サウジでの米ロ会談 何が合意されたか
今回の国際ニュースの中心となったのは、サウジアラビアで火曜日に行われた約四時間半の米ロ会談です。会談後、両国はウクライナの和平案作りに協力していくことで合意しました。
アメリカ側の発表によると、ロシアとの間でワシントンとモスクワにある双方の外交代表部の機能を回復させ、関係の立て直しを進める方針も打ち出されました。これは、前政権であるバイデン政権が進めてきたロシアの国際的な孤立路線からの明確な転換と言えます。
米国務長官マルコ・ルビオ氏は、ロシアと地政学的にも経済的にも協力するための驚くべき機会があると述べ、ロシアとのパートナーシップ構築に前向きな姿勢を示しました。これに対し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相も、互いの主張を単に聞くだけでなく理解し合えたとし、アメリカ側がロシアの立場をより理解し始めたと評価しています。
バイデン路線からの転換としてのアメリカ・ファースト
ワシントンとモスクワの和やかな雰囲気は、トランプ大統領が前政権の対ロシア強硬路線を後退させ、西側によるロシア孤立の試みから距離を置きつつあることを象徴しています。これは、アメリカの国益を最優先するアメリカ・ファーストの外交路線が、ウクライナ問題にも貫かれていることを示しています。
アメリカ・ファーストという考え方は、同盟国との価値観や結束よりも、合意によって得られる直接的な利益やコスト削減を重視する傾向があります。ロシアとの関係改善に力を入れる一方で、ウクライナや欧州の懸念にどこまで応えるのかという点が、国際社会の大きな焦点になっています。
招かれなかった当事者ウクライナ
注目されたのは、今回の会談にウクライナが招かれていなかったことです。ウクライナ抜きでウクライナの和平が話し合われた形であり、当事者不在のプロセスに対する懸念は小さくありません。
トランプ大統領は記者団からウクライナへのメッセージを問われると、ウクライナを非難する形で、そもそも戦いを始めるべきではなく、取引で解決できたはずだと発言しました。この言葉には、アメリカが自国の負担を増やす形でウクライナを支え続けることには消極的であるという姿勢がにじみます。
ウクライナが求めてきた領土の完全な回復や安全保障上の保証が、アメリカ・ファーストの優先順位の中でどこまで重視されるのかは、ますます見通しが立ちにくくなっています。
欧州が感じる裏切りと不安
ウクライナ危機の発生以降、欧州の同盟国はアメリカとの安全保障の共有を前提としてきました。しかし今回の動きは、その前提が揺らぎつつあることを示しています。トランプ大統領のメッセージは、欧州側には裏切りと映りかねません。
米ロ会談の前から、アメリカと欧州の間には緊張が高まっていました。アメリカのヘグセット国防長官は、ウクライナの北大西洋条約機構への加盟や失われた領土の完全な奪還という目標は現実的ではないとの見方を示しています。これは、ウクライナが掲げる戦争目的と、アメリカが想定する落としどころの間に大きな差があることを意味します。
欧州にとって、アメリカがどこまで自らの安全保障にコミットしてくれるのかという疑問は、これまでになく切実なものになりつつあります。
これから読み取れる三つのポイント
今回のアメリカ・ファースト路線の表れからは、少なくとも次の三点が見えてきます。
- 第一に、米ロ関係の改善は、ウクライナの利益ではなくアメリカの計算に基づいて進む可能性が高いことです。和平の中身よりも、対ロシア関係の再構築という大きな取引が優先されるかもしれません。
- 第二に、ウクライナは、自ら望んだ最大限の目標よりもはるかに厳しい妥協を迫られるおそれがあります。当事者でありながら交渉の場にいないという構図は、そのリスクを一層高めます。
- 第三に、欧州は、アメリカ頼みの安全保障からどの程度自立すべきかという問いを、改めて突きつけられています。アメリカ・ファーストの下では、同盟であっても優先順位は常に変動し得るからです。
日本の読者にとっての意味
ウクライナや欧州で起きていることは、遠い地域の話に見えるかもしれません。しかし、同盟国との関係に大きく依存するという点で、日本も例外ではありません。アメリカがどのような論理で行動しているのかを丁寧に読み解くことは、日本の安全保障や外交を考える上でも重要です。
アメリカ・ファーストがウクライナ情勢をどう動かしていくのか、そして欧米関係はどこに向かうのか。今後の米ロ協議の行方は、日本を含む国際社会にとって注視すべきテーマとなっています。
Reference(s):
cgtn.com








