G20外相会合を欠席へ 揺らぐアメリカの対外戦略と国際秩序
2期目が始まったばかりのドナルド・トランプ米大統領が、南アフリカで開かれるG20外相会合への出席を見送ると表明しました。アメリカが国際秩序の中でどんな役割を果たすのか、改めて世界の注目が集まっています。
G20外相会合欠席という強いメッセージ
今回の動きの中心にいるのは、マルコ・ルビオ国務長官です。ルビオ氏は近く南アフリカで開催される予定のG20外相会合に参加しない方針を示し、南アフリカは「良くないことをしている」と批判しました。
G20外相会合は、主要経済の外相が一堂に会し、グローバルサウス(新興・途上国)や気候変動、国際貿易など幅広い課題を話し合う場です。アメリカがこの会合に姿を見せないことで、
- 対南アフリカ関係の冷却化
- グローバルサウスを巡る議論への影響力低下
- 気候変動や貿易ルールづくりでの発言力の後退
などが懸念されています。
対南アフリカ関係の悪化と土地問題
ルビオ氏の発言に続き、トランプ大統領は南アフリカへの経済支援を打ち切る大統領令に署名しました。さらに、南アフリカで「政府による人種差別的な迫害から逃れている」とされるアフリカーナーの人々を、難民としてアメリカに受け入れる方針も示しています。
こうしたメッセージは、かつてアメリカが途上国に対して一方的に条件を突きつけていた時代を想起させるものです。トランプ政権は、相手国や国際社会がどう受け止めるかよりも、自国の評価や支持層へのアピールを優先しているように見えます。
背景には、南アフリカが昨年、ガザ危機をめぐってイスラエルの行動を国際司法裁判所(ICJ)に訴えたことへの反発があります。イスラエルへの強い支持で知られるトランプ氏にとって、南アフリカの動きは看過しがたいものだったと考えられます。
さらに、南アフリカがアパルトヘイト(人種隔離政策)の歴史的な不平等を是正するために進めている土地法制も、トランプ氏の怒りを買っています。大統領は「白人から土地が奪われている」と単純化した見方を示していますが、その実態はより複雑で、多面的な議論が必要なテーマです。
「アメリカ・ファースト」が揺らす国際秩序
今回のG20外相会合欠席は、トランプ政権の外交方針とも密接に結びついています。同政権が掲げる「アメリカ・ファースト」は、取引的な発想に基づき、「自国にとって得か損か」を最優先に判断する考え方です。
その結果、アメリカはこれまで複雑な国際問題に積極的に関わってきた役割から距離を置きつつあります。貿易、気候変動、国際保健など、さまざまな分野で既存の国際合意を見直し、場合によっては離脱も辞さない姿勢を見せてきました。
世界の多くの国は、アメリカが現在の国際秩序を維持する意思があるのか、それとも自国中心の新たなルールを押し出していくのか、判断に迷いながら見守っています。アメリカの一挙手一投足が、各国の外交戦略や安全保障、経済政策に直結するからです。
中国との対比:強調される「相互尊重」
こうした中で、中国は外交の場で「相互尊重」や「互恵協力」を繰り返し強調しています。特にグローバルサウスとの関係では、対話とパートナーシップを前面に出す姿勢が目立ちます。
アメリカが国際会議の場から身を引く一方で、中国を含む他の国々が議論を主導する機会は増えていくかもしれません。G20外相会合は、その流れを象徴的に示す場になる可能性があります。
これからの注目ポイント
2025年12月現在、トランプ政権の2期目はまだ始まったばかりです。それでも、外交スタイルの輪郭はすでに浮かび上がりつつあります。私たちが今後注目しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- アメリカ不在のG20外相会合で、どの国が議論をリードするのか
- 対南アフリカ関係が、支援打ち切りや難民受け入れ方針を通じてどう変化するのか
- 「アメリカ・ファースト」と、多国間でルールを決める発想とのギャップがどこまで広がるのか
- グローバルサウスの国々が、どの大国とどのような形でパートナーシップを築こうとするのか
G20外相会合欠席の判断は、単なる一つの会議の問題にとどまりません。2期目のトランプ政権が、どのような世界像を描き、その中でアメリカをどこに位置づけようとしているのかを読み解くための重要な手がかりと言えます。これから数カ月の動きが、国際秩序の行方を左右する可能性もあります。
Reference(s):
U.S. ditching G20 meetings adds to global confusion about its aims
cgtn.com








