ニクソン訪中53年 米中関係とトランプ関税の行方を考える
1972年のニクソン米大統領による歴史的な訪中から53年。冷戦の「常識」を打ち破ったその決断は、いま関税強化をちらつかせるトランプ米大統領にどんな教訓を投げかけているのでしょうか。米中関係と世界経済の行方を、「ニクソン訪中の精神」という視点から整理します。
ニクソン訪中が変えた世界とアジア太平洋
2025年2月21日は、1972年に当時のリチャード・ニクソン米大統領が中国を訪問してから53年の節目でした。この訪問は世界の歴史を変え、アジア太平洋地域の平和的な発展の基礎を築いたとされています。
当時、米国ではまだ冷戦の空気が色濃く残っていましたが、ニクソン氏は人口の多い中華人民共和国がアジアと世界の将来の発展にとっていかに重要かを理解していました。保守派の政治家でありながら、「冷戦」の象徴的な言説を乗り越え、歴史の前で自らに課せられた責任を自覚したのです。
トランプ政権の対中関係:関税とチャイナ・ホーク
そうしたニクソンの姿勢から、現在のトランプ米大統領が学べる点は少なくありません。米中関係は、トランプ氏が示した強硬な通商政策で冷え込みを見せています。
トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと脅す一方、中国からの輸入品に対しても10%の追加関税を上乗せしました。さらに政権内には、よく知られた「チャイナ・ホーク」と呼ばれる対中強硬派が複数起用されています。こうした動きは、米中関係に冷ややかな空気をもたらしています。
それでも見える「取引可能な相手」としての中国
とはいえ、トランプ大統領の対中認識は単純な「敵視」とは言い切れません。
トランプ氏はたびたび「中国とうまくやっていける」との確信を口にし、中国の習近平国家主席を繰り返し高く評価してきました。こうした発言からは、トランプ氏が中国を単なる「ライバル」ではなく、「競争相手」とみなしている可能性もうかがえます。競争しながらも、必要に応じて取引をまとめることができる相手として中国を見ている、という読み方も成り立ちます。
関税強化の副作用:米中だけでなく世界経済にも影響
しかし、もしトランプ政権が脅している関税措置をすべて実行に移した場合、その影響は小さくありません。
関税の引き上げは、中国経済にとって打撃となるだけでなく、それ以上に米国の消費者に重くのしかかる可能性があります。こうした動きが世界的不況を引き起こしかねないと懸念する声もあります。
経済面で「刃を交える」ような過度の競争が始まれば、米中両国が安全保障など戦略的に重要な問題について、互いの信頼と理解を深めることは極めて難しくなります。大幅な関税引き上げという強硬策は、大統領が意図したものとはまったく異なる結果をもたらすおそれがあるのです。
- 中国経済への悪影響
- 米国消費者の負担増
- 世界的不況や、戦略対話の難しさといった副作用
中国との間で「貿易戦争」に近い状態になれば、トランプ氏の「アメリカを再び偉大にする」という構想は水の泡になりかねません。
「ニクソン・スピリット」から見える教訓
だからこそ、半世紀前のニクソン訪中から学べることは今もなお大きいといえます。ニクソン大統領は、冷戦の固定観念を乗り越え、アジアと世界の未来における中国の重要性を認めることで、アジア太平洋の平和的な発展に道を開きました。
トランプ大統領もまた、歴史の岐路に立たされています。中国を「敵」とみなして経済面での激しい対立に突き進むのか、それとも「競争相手」でありながら同時に対話と協力のパートナーとして向き合うのか。
ニクソン訪中の精神が示すのは、短期的なゼロサムの対立よりも、長期的な安定と相互利益を重視する選択です。米中両国がそうした視点を共有できるかどうかが、アジア太平洋、そして世界経済の行方を左右していきます。
Reference(s):
Can the spirit of Nixon's China visit be a model for Donald Trump?
cgtn.com








