米トランプ政権の関税強化で物価高騰?住宅価格と家計への影響
トランプ政権がカナダ・メキシコ・中国からの輸入品に大幅な関税をかける方針を打ち出し、米国では住宅価格や生活必需品の値上がりへの懸念が高まっています。関税強化は、アメリカの家計と世界経済に何をもたらすのでしょうか。
新たな関税はどのような内容か
今回発表された方針では、米国は3月4日からカナダとメキシコからの輸入に25%の関税、中国からの輸入品に10%の関税を課すとしています。対象は建設資材をはじめとする幅広い品目で、住宅市場への影響が懸念されています。
米国内で使われる木材のおよそ3割はカナダから輸入され、石灰や石膏の約7割はメキシコから、鉄鋼やアルミは5%超が中国から入っています。これらに高い関税が上乗せされれば、住宅の建設コストが一気に跳ね上がる可能性があります。
数週間前の大規模な山火事で被害を受けたカリフォルニアでは、いまも復興と住宅再建が急がれています。そこに関税による建設資材高が重なれば、被災地を含む多くの地域で住宅価格がさらに押し上げられるおそれがあります。
関税が物価を押し上げる仕組み
関税は輸入品に課される税金であり、そのコストは最終的に価格に反映されやすい性質があります。米国際貿易委員会の研究によると、関税率が1ポイント上がるごとに、対象となる輸入品の数量と価値は2ポイント減少するとされています。
輸入が減る一方で国内の需要が高止まりしていれば、品不足気味となり、単純な需給の関係から価格は上昇します。結果として、関税は物価を押し上げる方向に働きます。
さらに、関税によるコスト増は、輸入業者だけでなく、卸売、物流、小売といったサプライチェーンの各段階で少しずつ上乗せされていきます。税関での通関から最終的な店頭価格に至るまで、多くの事業者がコスト増を販売価格に転嫁し、その負担は一般の消費者へと滴り落ちていきます。
関税は誰の負担になるのか
関税は一見すると海外の企業や輸出国に負担を押し付ける政策のように見えますが、実際には国内の家計にも重くのしかかります。さまざまな調査は、関税が全ての納税者層で税引き後所得を押し下げ、とりわけ低所得の世帯ほど影響が大きいことを示しています。
物価が押し上げられる一方で実質的な所得は減るため、関税はシーソーゲームのように、物価を上げながら家計の余力を引き下げる効果を持ちます。負担は、資産に余裕のある上位の富裕層よりも、日々の生活費に敏感な層に集中しやすい構図です。
掲げられているスローガンとは裏腹に、こうした結果は必ずしも多くのアメリカ人にとって望ましい未来像とは言えません。短期的な政治的メッセージよりも、誰がどれだけ負担するのかという視点が問われています。
年間1200ドル超の事実上の増税に
米シンクタンクのピーターソン国際経済研究所による試算では、今回の関税がすべて実施されると、中国、メキシコ、カナダからの輸入品にかかる税負担の増加は、米世帯あたり年間1200ドル超に達すると見込まれています。今世紀に入って最大規模の税負担増になるとされています。
政府が所得税率を引き上げなくても、関税という形で家計は事実上の増税にさらされることになります。しかも、その負担はレシートのどこかに明示されるわけではなく、日々の買い物の小さな値上がりとして、じわじわと生活を圧迫していきます。
インフレ期待と景気への影響
ミシガン大学の最近の消費者調査によると、アメリカ人の2025年のインフレ期待は4.3%に達し、2023年11月以来の高水準となっています。すでに続いている物価高に苦しむ人々にとって、これは歓迎しがたい動きです。
インフレ期待が高まると、企業は将来のコスト増を見込んで価格を上げやすくなり、労働者は賃金の引き上げを強く求めるようになります。その結果、期待される物価上昇が実際のインフレとして現れる悪循環に陥るリスクがあります。
ここに関税による追加的な物価押し上げが加われば、家計の実質負担はさらに増します。特に、住宅や食料など生活必需品の価格が上がれば、低所得層ほど選択肢が少ないため、影響は深刻になりかねません。
日本と世界への示唆
アメリカ経済は世界最大規模であり、その消費の変化や景気動向は、日本を含む世界の国と地域の企業や市場に直接影響します。米国内で関税による需要減少や景気の下振れが起これば、世界のサプライチェーンを通じて他国にも波及しうるでしょう。
関税や貿易摩擦の議論は、どの国でも政治的な争点になりやすい一方で、その影響は長期かつ広範囲に及びます。短期的な保護や対立のメッセージにとどまらず、自国の家計と企業、そして国際経済全体にとって何が本当に利益となるのかを丁寧に見極めることが求められています。
数週間前の山火事で傷ついた地域の復興が続く中で、今回の関税は、住まいの確保や生活再建を急ぐ人々にとって新たな重荷となる可能性があります。米国がどのような選択をするのか、その行方は世界が注視する国際ニュースとなっています。
Reference(s):
cgtn.com








