ウクライナ和平協議は歴史の岐路に トランプ政権と欧州の仲介
ウクライナ和平協議が、いま歴史の岐路に立っています。先週ワシントンとロンドンで相次いで行われた会談は、トランプ政権とウクライナ、そして欧州諸国との力学が大きく揺れていることを示し、国際ニュースとしても大きな注目を集めました。
ホワイトハウス会談で浮き彫りになった溝
2008年、ジョージ・W・ブッシュ元米大統領が記者会見で記者から靴を投げつけられた出来事は、いまも世界で語り草になっています。今回のホワイトハウスでの写真撮影は、靴こそ飛ばなかったものの、政治的な意味ではそれに匹敵する緊張感をはらんでいたと伝えられています。
先週金曜日、ワシントンの大統領執務室(オーバルオフィス)では、アメリカのドナルド・トランプ大統領と副大統領のJ.D.・バンス氏、そしてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が顔をそろえました。しかし会談は和やかなものからは程遠く、両者の間にある深い不信と認識の溝がむしろ際立つ形となりました。
会談後、キーウとワシントンの関係は「深い凍結状態」にあると受け止められています。ここから雪解けに向かうには、相当な政治的エネルギーが必要だという見方が広がっています。
ロンドン会合:欧州が描く和平の次の一手
その直後の日曜日には、欧州の首脳らがロンドンに集まり、ウクライナ支援と和平に向けた次のステップを協議しました。会合の目的は、欧州としての足並みをそろえること、そしてトランプ政権との間に生じた溝をどう埋めるかを話し合うことでした。
ロンドンでは、イギリスのキア・スターマー首相とゼレンスキー大統領が欧州会議に先立ち個別に会談するなど、水面下の調整が重ねられました。さらにゼレンスキー大統領は、英国のチャールズ国王とも面会しました。王室とのつながりをアピールすることは、トランプ大統領の関心を引き、ウクライナへの支持を引き出す材料になると見られています。
凍りついた関係と「鉱物資源ディール」
現在、キーウとワシントンの関係は冷え込んだままですが、適切な条件が整えば、比較的短期間で修復できる余地も残されています。その鍵の一つとされているのが、ウクライナの鉱物資源をめぐる取引です。
ゼレンスキー大統領は英BBCのインタビューで、ウクライナは依然として鉱物資源の取引に署名する用意があると語っています。こうした資源協力は、アメリカの支援を引き出すうえで重要なカードになると見なされています。
欧州が仲介役となる構図
注目されるのは、ウクライナが合意したばかりの和平案の扱われ方です。現時点では、ゼレンスキー大統領のチームがトランプ政権と直接やり取りするのではなく、フランスやイギリスを中心とした欧州の首脳らが仲介役としてアメリカと調整していると伝えられています。
欧州側は、トランプ政権の承認を得られる和平案のたたき台を作成しようとしています。より古典的な外交ルートを使うことで、ウクライナに対し、自らの立場がきちんと尊重されているという安心感を与えたい思惑もあります。
一方で、先週のオーバルオフィス会談でウクライナ側が最も不満を募らせたのは、トランプ政権が事実関係を誤って伝えていると感じている点だとされています。ウクライナにとって、それは対話と和解に向けた最大の障害です。こうした認識のギャップを欧州がどこまで埋められるのかが、今後の焦点となります。
歴史の岐路で問われるもの
ウクライナ和平をめぐる最新の動きは、単なる一つの紛争の行方にとどまらず、アメリカ、欧州、そしてウクライナそれぞれの対外政策の方向性を映し出しています。いま進んでいるのは、次のような駆け引きです。
- トランプ政権との関係をどう融和させるかというウクライナ側の計算
- 和平と安全保障を両立させたい欧州側の思惑
- 資源協力を含む取引を、どこまで政治と結び付けるのかというアメリカ側の判断
和平協議が歴史の岐路にある今、私たちが見守るべきなのは、派手な言葉の応酬だけではありません。どのような外交ルートを通じて、どのような条件で合意が形作られていくのか。そのプロセスこそが、ウクライナの未来と欧州の安定に長く影響を与えることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







