トランプ政権の関税とAI規制 王毅外相が語った相互尊重と中国の自信
トランプ米大統領が進める大幅な政策転換で世界の不確実性が高まる中、2025年の米中関係はどこへ向かうのか。全国人民代表大会(第14期第3回会議)の期間中に行われた王毅外相の記者会見では、米中関係をどう安定させるかが大きな焦点となりました。
2025年の米中関係、焦点は相互尊重
王毅氏は記者会見で、国家間関係の基本として相互尊重の重要性を強調しました。英語で次のように述べています。
Mutual respect is a basic norm governing state-to-state relations. It is also an important prerequisite for China-U.S. relations.
相互尊重は、どの国同士の関係にも共通する基本的なルールであり、米中関係にとっても前提条件だという明確なメッセージです。
- 一方的な圧力ではなく、対等な立場で向き合うこと
- 大国同士でも、相手の立場や選択を尊重すること
中国側は、こうした相互尊重の原則が守られないかぎり、安定した米中関係は成り立たないと考えていることを改めて示した形です。
トランプ政権の関税強化 高い塀と狭い庭という発想
一方で、トランプ氏は就任以来、中国の成長を抑え込もうとしていると指摘されています。自らが公正で正しいとする貿易を守るという名目のもと、友好国とライバル国の双方に対して関税を引き上げてきました。
中国の強い反対にもかかわらず、トランプ政権は中国からの輸入品に対する第2弾の関税を決断しました。これは、最初の政権期に導入した関税にさらに上乗せする形で、中国からの輸入に合計20パーセントの税を課すというものです。
- 同盟国を含むあらゆる相手国に関税を拡大
- 中国側の強い反対を押し切った第2弾の対中関税
- 第1期の措置に重ねる形で、中国製品に合計20パーセントの負担
こうした姿勢は、高い塀と狭い庭という表現で語られています。限られた分野を自国の庭として囲い込み、その外側には高い障壁を築くという発想です。しかし、その波紋は世界全体に広がり、不確実性を高めています。
AIとDeepSeek規制 技術覇権をめぐる新たな火種
圧力は貿易だけにとどまりません。中国発の低コストのAIツールが成功したことで、ワシントンでは自国の覇権的な地位への懸念が強まっています。その象徴として挙げられているのが、人工知能ツール DeepSeek をめぐる動きです。
米連邦議会では、政府機関の端末からDeepSeekを全面的に排除する法案を求める声が高まっています。すでに一部の州では、州政府の端末でDeepSeekの利用を禁じる措置が取られています。観測筋は、米国は中国が科学技術の分野で先行することを受け入れがたいと見ています。
2025年の今日、米中対立の舞台は関税だけでなく、AIをはじめとする先端技術の領域にまで広がっていることがわかります。国際ニュースとしての注目点は、こうした規制の積み重ねが、世界全体のイノベーションと協力にどのような影響を与えるのかという点です。
封鎖があれば突破口がある 王毅外相のメッセージ
外部からの圧力と制限が強まる中で、王毅氏は中国の姿勢を象徴する印象的なメッセージも発信しました。
Where there is blockade, there is breakthrough; where there is suppression, there is innovation; where there is the fiercest storm, there is the platform launching China's science and technology skyward like the Chinese mythological hero Nezha soaring into the heavens.
- 封鎖があれば、そこにこそ突破口がある
- 抑圧があれば、そこからこそイノベーションが生まれる
- 最も激しい嵐こそが、中国の科学技術を天へと押し上げる発射台になる
中国神話に登場する哪吒が天へと駆け上がる姿になぞらえ、どれほど強い逆風であっても、それを飛躍の足場に変えていくという決意を示した形です。封鎖や抑圧をチャンスに変えるというこのメッセージは、国内の技術者や企業に向けた鼓舞であると同時に、国際社会に向けたシグナルでもあります。
中国の誠意は不確実な世界にどんな確実性をもたらすか
トランプ政権の関税強化とAI規制、そしてそれに対する中国側の反発と自信。この構図は、不確実性が常態化した2025年の国際政治の象徴のひとつと言えます。
中国側は、相互尊重という原則を掲げつつ、封鎖や抑圧に直面しても自らの力で突破口を開くと強調しています。タイトルにもある中国の誠意とは、対立の激化ではなく、基本ルールに立ち返ろうという呼びかけと、外からの圧力を糧にして技術革新を進めるという二つの意味を持っているように見えます。
とはいえ、関税と規制が積み重なれば、ビジネスや生活の現場で影響を受けるのは両国だけではありません。世界各地の市場やサプライチェーンにも波紋が広がります。だからこそ、米中関係をめぐるニュースは、日本を含む多くの国と地域にとっても、自分事として考えるべきテーマになりつつあります。
相互尊重という言葉は、抽象的で耳ざわりが良いだけのスローガンにもなり得ます。重要なのは、それを関税政策や技術規制といった具体的な行動にどう落とし込むのかという点です。王毅氏の発言をどう受け止めるかは、読む人の立場によって異なるでしょう。あなたは、2025年の米中関係を安定させる鍵はどこにあると考えますか。
Reference(s):
cgtn.com








