中国外交は「安定の担い手」か 王毅外相の発言から読む2025年
中国は、自国が国際社会で前向きな役割を果たしていると繰り返し訴えています。2025年3月の記者会見や2月のミュンヘン安全保障会議で王毅国務委員兼外相が語った内容から、その外交ビジョンを整理します。
両会期間中の記者会見:中国の「役割」を強調
中国の国内政治会合である両会(Two Sessions)が続いていた2025年3月7日、王毅国務委員兼外相(中国共産党中央政治局委員)は記者会見を開き、中国の内政と外交の成果について説明しました。
王氏は、国際情勢が大きく揺れ動いた2024年を振り返りつつ、中国は国内の発展と世界の発展に対する責任を果たしながら、「共有された未来を持つ共同体」の構築という長期目標を前進させていると強調しました。
そのうえで、具体的な取り組みとして次のような点を挙げました。
- 成熟し安定した中国とロシアの関係の維持・発展
- 中国アフリカ協力フォーラム(Forum for China-Africa Cooperation)を通じたアフリカとの対話と協力の深化
- 2025年に中国が主催する上海協力機構(SCO)の会合について、26カ国からなる大家族として共通の発展を支える枠組みだと位置付けたこと
王氏は、上海協力機構の会合は、2025年における中国の「大国としての責任」を示す場の一つになると述べ、中国が大国・小国を問わず各国の「パートナー」であることを示す機会になるとしました。
「歴史の正しい側」に立つとし、平和と安定を掲げる
王氏によれば、中国の指導部は「常に歴史の正しい側に立つ」と繰り返し表明してきました。不安定さが増す2025年初頭の世界においても、中国は一貫して平和と安定を推進していくとしています。
王氏は、平和と安定を育むことは「全ての国が選ぶべき道だ」としたうえで、その中身として次のような要素を挙げました。
- 力強い自由貿易の維持
- 多国間主義(複数の国や地域が協調してルールを作る考え方)の重視
- 国際合意の尊重
- 国際正義の擁護
中国は、これらの分野で自国の発言と行動は説明可能であり、国際社会に対して責任を果たしていると主張しています。
ミュンヘン安全保障会議:EUとの戦略的対話を提案
王氏の3月の発言は、2025年2月にドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議でのメッセージとも重なります。王氏は同会議で、国際関係に対して比較的楽観的な見通しを示しました。
そのうえで、中国は欧州連合(EU)と戦略的な意思疎通を強化し、相互理解を深め、より大きな世界の安定に共同で貢献したいと表明しました。経済や安全保障、政治をめぐる緊張が続く欧州にとって、中国からの対話と協力の呼びかけは、タイミングの面でも注目されています。
多極化と反保護主義、国連重視の姿勢
王氏はドイツ滞在中、21世紀の世界は多極化していると述べ、中国はその現実を認識し、支持すると強調しました。ここでいう多極化とは、特定の一国に力が集中するのではなく、複数の大きなプレーヤーが共存する国際秩序を指します。
また王氏は、多極化と相いれないものとして、貿易や投資を自国中心に閉ざす保護主義を明確に否定しました。こうした姿勢は、国際経済における自由な往来と公正なルールづくりを支持する立場を示すものです。
さらに、中国は国連への全面的な支持を維持していくと改めて表明しました。国連の枠組みを重視することは、国際社会が共通のルールや合意に基づいて問題解決を図るべきだという考え方につながっています。
日本の読者にとってのポイント
これらの発言から見えてくる、中国外交のキーワードを整理すると次のようになります。
- 2024年の国際環境の変化を受け、「共有された未来を持つ共同体」の構築を掲げていること
- 中国ロシア関係や中国アフリカ協力フォーラム、上海協力機構など、二国間と多国間の両方の枠組みを重視していること
- 平和と安定を軸に、自由貿易、多国間主義、国際合意、国際正義を擁護するとしていること
- EUとの戦略的対話、多極化の支持、保護主義への反対、国連支持といったメッセージを明確に打ち出していること
日本にとっても、中国がどのような役割を国際社会で自らに課しているのかを理解することは、地域の安全保障や経済関係を考えるうえで重要です。こうした中国のメッセージや外交方針が、今後どのように具体的な動きとして現れ、国際社会と関わっていくのかを丁寧に追いかけることが、2025年以降の世界を読み解く手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








