中国ユニコーン企業に底力 なぜ成長を前向きに評価できるのか
中国のユニコーン企業の成長は、世界平均と比べて数の伸びこそ控えめですが、評価額の増加や国有企業の台頭、潜在ユニコーンの厚みなど、質の面で大きな強みを示しています。本記事では、その背景と今後の見どころを整理します。
政府活動報告が示したユニコーン重視の方針
3月5日に全国人民代表大会に提出された政府活動報告では、2025年に向けてイノベーション企業を段階的に育成する方針が打ち出されました。中小企業の中でも、特殊で高度な技術を用い、独自性の高い製品を生み出す企業を後押しし、ユニコーン企業やガゼル企業の発展を支援することが明記されています。
- 革新的企業の段階的な育成
- 専門性と独自技術を持つ中小企業の成長支援
- ユニコーン企業・ガゼル企業の重点的なサポート
つまり政策レベルで、ハイテク分野やニッチ市場で競争力を持つ企業を面ではなく点から丁寧に育てる姿勢が鮮明になっていると言えます。
数では世界2位、質で存在感を高める中国
フルン研究院の2024年グローバル・ユニコーン・インデックスによると、中国には340社のユニコーン企業があり、米国に次いで世界2位の規模となっています。
2019年から2024年までの6年間をみると、中国のユニコーン企業数の年間平均成長率は8.3パーセントで、世界全体の14.9パーセントを下回ります。年間の平均増加数も、中国は28社に対し、世界平均は216社と大きな差があります。
この数字だけを見ると、中国のユニコーン成長は鈍化しているようにも映りますが、実態はそれほど単純ではありません。
国有ユニコーンの台頭と産業安全保障
一つのポイントは、国有ユニコーン企業の急増です。2020年には10社未満だった国有ユニコーンが、2024年には20社超へと大きく増えました。
こうした企業は、中国のサプライチェーンに存在する構造的なボトルネックを解消し、産業の安全保障を高める役割を担っています。単なる成長期待の高いスタートアップというより、国家の基盤産業を支える戦略プレーヤーとして位置付けられている点が特徴です。
評価額の伸びと上場のしやすさが示す強さ
ユニコーン企業の平均評価額の伸び率を見ると、中国は19.3パーセントと、世界平均の18.3パーセントを上回っています。企業数の伸びは抑えつつ、一社一社の価値を高めている構図がうかがえます。
さらに注目されるのが上場動向です。2024年に上場を果たしたユニコーンは世界全体で29社ですが、そのうち18社が中国の企業でした。米国の5社、その他地域の6社と比べて、中国企業の出口の多さが際立ちます。
これは、資本市場がユニコーン企業を受け入れる仕組みを整えつつあることを意味します。投資回収の道筋が見えやすいほど、次のイノベーションへの投資も生まれやすくなります。
統計に表れにくい潜在ユニコーンの存在
中国のユニコーンを語るうえで見落とせないのが、統計上はユニコーンとカウントされていないものの、実質的には同等の力を持つ企業群の存在です。
例えば、特定のニッチ分野で世界トップクラスのシェアを持つ単項目チャンピオンや、高度な技術力と集中した事業領域を武器とする小さな巨人と呼ばれる企業群です。こうした企業の多くは、適切なタイミングで上場する道を選んでおり、伝統的な定義では非上場であるユニコーンには含まれません。
その結果、統計上のユニコーン企業数は、中国経済のイノベーション力を完全には反映していない可能性があります。
科創板に見るユニコーン育成の厚み
その一例が、上海証券取引所のハイテク市場である科創板(スター・マーケット)です。2024年末時点で上場企業は581社に達し、時価総額は6兆3400億人民元(約8819億ドル)を超えています。
このうち370社が、1社あたり10億ドル超というユニコーンの評価額基準を満たしています。こうした企業は、上場しているという理由だけでユニコーン統計から外れているに過ぎず、ユニコーン育成の成果として見れば、中国の基盤は非常に厚いと言えます。
2025年以降、中国ユニコーンを見るための視点
2025年12月の現在、私たちが参照できる体系的なデータは主に2024年までのものですが、その傾向は今後を考えるうえでも重要なヒントを与えてくれます。
- 数の伸び率よりも、評価額や上場実績といった質の指標に注目すること
- 国有ユニコーンが、産業政策やサプライチェーンの安全保障とどう結びついているかを見ること
- 統計に現れにくい単項目チャンピオンや小さな巨人を含めた、広い意味でのユニコーンエコシステムを意識すること
日本を含むアジアや世界の企業にとって、中国のユニコーン企業の動きは、サプライチェーン構造や技術協力の可能性を考えるうえで無視できない存在です。
表面的な社数の増減だけで評価するのではなく、政策の方向性、資本市場の受け皿、潜在ユニコーンの厚みといった要素をあわせて見ることで、中国のユニコーン成長をより前向きに、立体的に捉えることができるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








