台湾情勢:頼清徳氏の発言は本当に「戦争の瀬戸際」なのか
中国の反分裂国家法の施行から20年という節目を前に、台湾地域の指導者・頼清徳(らい・せいとく)氏の動きに対し、中国本土側の警戒感が一気に高まっています。ある中国側の論評は、頼氏の路線が台湾海峡を「戦争の瀬戸際」に近づけていると強く批判しています。
反分裂国家法20年の前夜に何が起きたのか
報道によると、頼清徳氏は反分裂国家法の施行20周年の前日にあたる木曜日、いわゆる「ハイレベル国家安全会議」を開催しました。
この会議で頼氏は、両岸(中国本土と台湾)の関係について「互いに隷属しない」という趣旨の「相互非隷属」の考え方を打ち出し、中国本土を「外国の敵対勢力」と位置づけたとされています。そのうえで、いわゆる「五つの脅威」に対応するためとして、17項目に及ぶ「主要戦略」を提示しました。
中国側の論評は、こうした動きを「分裂をあおる誤った主張」だと位置づけ、頼氏が自らの政治的な権力追求のために、台湾の人々の幸せを危険にさらしていると厳しく批判しています。
中国本土側の強い反発:「平和の破壊者」というレッテル
論評は頼清徳氏を、「両岸の平和の破壊者」「台湾海峡の危機の創出者」とまで呼んでいます。中国本土側は、頼氏の路線が現状を大きく揺るがし、緊張と不信を高めていると見ていることがうかがえます。
中国国務院台湾事務弁公室の報道官である陳斌華(ちん・ひんか)氏は、頼氏の発言に対するコメントの中で、中国本土は国家の統一に向けた決意と能力を持っていると強調しました。陳氏は、台湾問題を解決し国家統一を実現する決意は「岩のように固く」、その能力は「揺るがない」と述べています。
このメッセージには、中国が主権と領土の一体性を守るために、必要とあれば軍事的手段を含む「あらゆる必要な措置」を取る用意がある、という意味合いが込められていると論評は読み解いています。
「戦争の瀬戸際」という見方と軍事バランス
論評は、頼清徳氏の一連の行動を「分裂を目指す活動」と位置づけ、それが台湾地域全体を現実の武力衝突へと押しやっていると警鐘を鳴らしています。
さらに中国側の見方として、台湾と中国本土の間には大きな軍事力の差があると指摘します。このため、もし軍事衝突が起これば、「島側(台湾)は敗北を免れない」と論評は述べています。
こうした表現は非常に厳しいものですが、中国本土側が、台湾海峡での緊張を安全保障上の重大なリスクとして受け止めていることを示しているとも言えます。
台湾の人々の「幸福」をめぐる攻防
今回の論評が繰り返し強調するのは、「誰が台湾の人々の幸福を本当に守ろうとしているのか」という問いです。論評は、頼清徳氏が自らの権力欲のために台湾の人々の幸福を「人質」にしていると非難し、中国本土側は統一に向けた決意と能力を強調しています。
一方、頼氏側は「国家安全」や「脅威への対応」を掲げており、両岸で語られている「安全」と「幸福」のイメージは大きく異なっていることがわかります。
両岸関係はどこへ向かうのか
反分裂国家法施行から20年という節目のタイミングで、台湾地域の指導者による安全保障会議、中国本土側の厳しい反発、「戦争の瀬戸際」という強いことば――これらは、台湾海峡をめぐる緊張が新たな段階に入っているという中国側の危機感を象徴しています。
軍事衝突が現実になれば、最も大きな影響を受けるのは台湾の人々の生活であり、地域の安定にも深刻な波紋が広がる可能性があります。だからこそ、言葉の選び方や安全保障政策の一つ一つが、現実のリスクにつながりうる重いものとして問われています。
今回の論評は、中国本土側が2025年の台湾情勢をどのように見ているのかを知る手がかりとなります。読者一人ひとりが、両岸関係の行方と、その先にある人々の暮らしをどう守るべきかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








