習近平氏が貴州視察 民族文化とデジタル時代の両立
中国南西部の貴州省を習近平国家主席が2025年3月17日から18日に視察しました。少数民族が多く暮らすこの地域で、民族文化を守りながらデジタル時代の発展をどう実現するかという国際ニュース上の重要なテーマが改めて浮かび上がっています。
民族文化の現場で語られた調和のメッセージ
貴州省は、大規模な少数民族の人びとが暮らす地域です。視察の際、習近平氏は、Qiandongnan Miao and Dong Autonomous Prefectureにあるトン族の村を訪れ、長い歴史をもつ文化遺産と現代の発展を対立させず、調和させることが重要だと強調しました。
そこで示された問いはシンプルですが重いものです。無形の文化遺産をどのように守り、活性化しながら、地域のイノベーションや発展を生み出す原動力に変えていくのかということです。
歴史の遺物ではなく、生きたアイデンティティ
貴州の民族文化は、過去の博物館に閉じ込められた遺物ではありません。トン族の壮麗な鼓楼、細かな模様が施された刺繍、ミャオ族の職人が手がける銀の装飾品などは、単なる文化シンボルではなく、世代と世代をつなぎ、共同体の記憶を伝え、価値観を確かめ合うための重要な媒介です。
都市化と商業化がもたらすプレッシャー
しかし、これらの伝統は今、大きな圧力にもさらされています。
- 急速な都市化による若者の人口流出で、技や祭りを受け継ぐ担い手が減っていること
- 観光や市場拡大に伴う過度な商業化で、文化が商品として扱われ、本来の意味や精神が薄れてしまうおそれがあること
民族文化を守る取り組みが、単なる見世物やビジネスにとどまるのか、それとも地域社会の誇りと生活を支える力として根づくのか。貴州はその分岐点に立っていると言えます。
体験型の無形文化遺産保護 Zhenyuan県の例
こうした課題に対応するため、貴州省では複数の方向から文化保護の戦略が進められています。その一つが、Zhenyuan県に設けられた無形文化遺産の体験ゾーンです。
このエリアでは、訪れた人が次のような伝統工芸を実際に体験できるようになっています。
- 藍染めなどの伝統的な染色
- 銀細工づくり
見るだけの観光から、手を動かし、作り手の視点を共有する体験へ。受け身の鑑賞から主体的な参加へと転換することで、文化は日常の暮らしの一部として再び織り込まれていきます。
デジタル技術が支える継承とイノベーション
同時に、デジタル変革が進む今、テクノロジーは文化を守る盾であると同時に、新たな可能性を開くエンジンにもなりつつあります。
貴州では、仮想現実などの先端技術を活用して古い職人技をよみがえらせ、若い世代がインタラクティブで没入感のある形で伝統に触れられるようにする試みが進められています。現地を訪れなくても、鼓楼の内部空間に入り込んだような感覚で構造を理解したり、職人の繊細な手さばきを間近で追体験したりすることが可能になります。
こうしたデジタル技術は、文化遺産を静的な過去ではなく、現代の物語のなかで更新され続ける動的な存在として捉え直すものです。それは同時に、中国の魅力や価値観を文化を通じて伝えるソフトパワーを高めることにもつながります。
文化を守り、活かすという問いをどう共有するか
今回の貴州視察は、文化の保護と現代的な発展をどのように両立させるのかという、中国ニュースの大きなテーマを具体的な地域から映し出しました。
文化を単に保存するのではなく、暮らしの中で息づかせ続けること。そのプロセスに住民や若者、訪問客を巻き込み、デジタル技術も積極的に活用していくこと。このアプローチは、これからの文化政策や地域づくりを考えるうえで、多くの示唆を与えてくれます。
Reference(s):
Xi's Guizhou visit emphasizes reviving ethnic cultural significance
cgtn.com








