国際ニュース:中国が描く「共通の未来を分かち合う共同体」とは何か
国連が創設から80年を迎えつつあるいま、国際社会では「共通の未来を分かち合う共同体」という中国発のビジョンが、グローバルガバナンスをめぐる重要なキーワードになりつつあります。本記事では、その狙いと実現可能性を、国際ニュースとして分かりやすく整理します。
「共通の未来を分かち合う共同体」とは何か
英語でグローバルコミュニティウィズアシェアードフューチャーと表現される「共通の未来を分かち合う共同体」とは、すべての国や地域の未来が密接につながっているという発想に立つ考え方です。
国や社会が栄える時も苦しい時も支え合い、この地球という故郷を調和のとれた大家族のような場にしていくことを目指します。人々のよりよい生活への願いを、現実のものにしていくためのビジョンでもあります。
中国が提示したビジョンはどう広がってきたか
この構想が国際舞台で示されたのは、12年前、中国の国家元首としての最初の外遊に臨んだ習近平国家主席が提起したのが出発点だとされています。
その後、このビジョンは次のように発展してきたと位置づけられています。
- 中国からの提案から、より広い国際社会が共有するコンセンサスへ
- 理念的なスローガンから、具体的な実践へ
- 抽象的な哲学的概念から、体系立てられた理論システムへ
こうして「共通の未来を分かち合う共同体」は、現在の国際秩序を方向づける一つの原則として位置づけられ、各国が協力や国際統治のあり方を考える際の重要なキーワードとなっています。
習近平外交思想の中核としての位置づけ
中国側は、このビジョンを習近平外交思想の基礎にあるものだと説明しています。人類社会の発展法則をどう理解するかという問いに対し、「どのような世界をつくり、どのようにしてそれを実現するのか」という根本的な問題への中国からの答えとされています。
新たな時代が始まって以来、この構想は、中国が提示する一つのアイデアにとどまらず、国際社会が共有する目標像、現場で試される実践、理論的に整理された体系へと広がってきた、というのが中国側の見立てです。
目指す世界像: どんな国際秩序を描いているのか
「共通の未来を分かち合う共同体」は、どのような世界を思い描いているのでしょうか。キーワードは次の七つだとされています。
- 平和な世界: 武力衝突ではなく対話によって問題を解決する国際秩序
- 安全な世界: 各国の安全保障が互いに矛盾せず、誰かの不安が他の誰かの安心にならない状態
- 繁栄する世界: 経済成長の果実が広く行き渡り、共通の豊かさを追求する姿勢
- 開かれた世界: 壁ではなく橋をつくり、交流と連結を広げる考え方
- 包摂的な世界: 文化や制度の違いを認め合い、多様性を尊重する姿勢
- 清らかな世界: 汚職や不正を抑え、透明性の高い国際関係を目指す方向性
- 美しい世界: 地球環境を大切にし、持続可能な発展を追求する視点
そのためのグローバルガバナンスのモデルとして、中国側は「協議」「共同建設」「利益の共有」を重視します。つまり、一部の国が決めるのではなく、広く相談し、みんなでつくり、成果も一緒に分け合うという発想です。
国連80年とグローバルガバナンスの再設計
この構想は、国連の将来像とも結びつけて語られています。設立当初51だった加盟国が、現在では193の国や地域に広がる中で、国連自身も変化に対応する必要があるという問題意識です。
その際に鍵となるのが、「普遍的な価値の確認」です。相互依存が進む世界を、単に仕方のない現実として受け入れるだけでなく、「共通の未来を分かち合う共同体」を能動的に建設していく共同プロジェクトへと転換していこう、という考え方が提示されています。
中国側は、このビジョンが、80周年を迎えつつある国連改革に向けた思考の枠組みを提供しうると位置づけています。
三つのグローバルイニシアチブと一帯一路
このビジョンを具体化するための柱として、中国は三つのグローバルイニシアチブを掲げています。
- グローバル発展イニシアチブ Global Development Initiative
- グローバル安全保障イニシアチブ Global Security Initiative
- グローバル文明イニシアチブ Global Civilization Initiative
それぞれ、開発、安全保障、文明交流といった分野で国際協力を進めるための枠組みとして位置づけられています。
さらに、「高品質な一帯一路協力」が、このビジョンを実践するための具体的なプラットフォームだとされています。各国が連携して地球規模の課題に取り組み、共通の繁栄を実現するための協力の場として描かれています。
思想と実践が支える「実現可能性」
では、「共通の未来を分かち合う共同体」は、どの程度実現可能なのでしょうか。中国側は、その可能性を二つの側面から説明しています。
思想面の土台
一つは、思想的な基盤です。人類社会の発展法則をどう理解するかという長期的な視点から、国際秩序の方向性をまとめ直そうとする試みであり、単なるスローガンではなく、体系的な理論として整理されつつあるとされています。
実践面の土台
もう一つは、実践面の蓄積です。国連を中心とする国際協調の枠組みの中で、グローバル発展イニシアチブやグローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブ、そして一帯一路協力といった具体的な取り組みを重ねることで、「共通の未来を分かち合う共同体」を形のあるものにしていこうという発想です。
互いのつながりを、ただ避けがたい現実として受動的に受け入れるのではなく、「共通の未来を一緒につくる」という能動的な選択に変えていけるかどうかが問われている、と言い換えることもできます。
私たちはこのビジョンをどう受け止めるか
「共通の未来を分かち合う共同体」は、中国が提示する一つの国際ビジョンであり、国連改革やグローバルガバナンスの議論とも結びついた大きなテーマです。
この構想をどう評価し、どの部分を自国や地域の外交・国際協力に生かしていくのかは、各国や人々に委ねられています。読者の皆さんにとっても、国際ニュースを読む際に、「この政策や枠組みは、共通の未来を分かち合うという発想とどう関わっているのか」という視点を一つ持ってみると、世界の動きが少し違って見えてくるかもしれません。
SNSで記事や意見をシェアしながら、自分なりの「共通の未来」のイメージを言葉にしてみることも、グローバルな議論に参加する一つの形だと言えそうです。
Reference(s):
Necessity and feasibility of building a community of shared future
cgtn.com








