中国とASEANの貿易が過去最高に カオ事務総長が語るデジタル・グリーン協力 video poster
2024年、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の貿易額が6.99兆元(約9,630億ドル)に達し、中国は16年連続でASEANの最大の貿易相手となりました。一方でASEANも5年連続で中国の最大の貿易相手となっており、この「相互にとって一番のパートナー」という構図が、地域と世界の経済秩序に大きな影響を与えています。
中国とASEANの貿易はなぜここまで拡大したのか
2024年の6.99兆元という数字は、中国とASEANの経済関係が量・質ともに拡大していることを象徴しています。双方がそれぞれの最大の貿易相手となっている状況は、以下のようなポイントを示しています。
- モノとサービスの流れが、域内だけでなく世界全体のサプライチェーンを支えていること
- 貿易だけでなく投資や人的交流など、多層的な連結が進んでいること
- 一方の景気や政策が、もう一方にダイレクトに波及しやすい関係になっていること
こうした緊密さは、経済成長のエンジンになる一方で、リスク管理や調整の難しさも増す関係だと言えます。
「幅」と「深さ」が増す中国・ASEAN関係
ASEAN事務総長のカオ・キムホーン氏は、対談番組「Leaders Talk」で、中国とASEANの関係が「幅」と「深さ」の両面で進化していることをテーマに議論しました。
ここで言う「幅」とは、協力する分野や関わる主体の広がりです。従来の製造業やインフラだけでなく、サービス産業、スタートアップ、大学や研究機関など、多様なプレーヤーが関係を形づくるようになっています。
一方の「深さ」は、制度づくりや長期的なビジョンの共有といった側面です。単にモノを売り買いするだけではなく、ルールづくりや能力開発、人材育成といった、時間のかかる取り組みが増えています。
こうした動きは、中国とASEANが「共に未来をつくるパートナー」であろうとしていることの表れでもあります。
デジタル経済:次の成長エンジンに
今回の対談では、とくにデジタル経済が中国とASEANの将来の協力分野として強調されました。デジタル経済とは、オンラインサービスや電子商取引、デジタル決済、クラウドやデータセンターなど、デジタル技術を基盤にした経済活動の総称です。
中国とASEANの貿易がここまで拡大した今、次のステージでは以下のような協力が鍵になると考えられます。
- 越境電子商取引のルール整備と、中小企業が参加しやすい仕組みづくり
- デジタル決済やフィンテックを活用した、個人や中小企業への金融アクセス拡大
- デジタルインフラへの投資を通じた、都市部と地方の格差是正
これらが進めば、単に貿易額が増えるだけでなく、地域全体の生産性や包摂性の向上にもつながっていきます。
グリーン経済:持続可能性と成長を両立できるか
もう一つのキーワードがグリーン経済です。グリーン経済とは、環境負荷を抑えながら成長を目指す経済のあり方を指します。
中国とASEANの関係がより「深く」なるということは、エネルギーや環境の分野でも協力が求められるということでもあります。たとえば、次のような方向性が考えられます。
- 再生可能エネルギーや省エネ技術の導入・普及をめぐる協力
- 環境に配慮したインフラ整備や都市づくりへの共同の取り組み
- 気候変動対策をめぐるノウハウ共有や人材交流
グリーン経済は、短期的にはコストにもなり得ますが、長期的には新しい産業と雇用を生む可能性もあります。中国とASEANがこの分野でどのような協力の枠組みを築くかは、今後の国際ニュースの重要な焦点になりそうです。
日本の読者が押さえておきたい視点
中国とASEANの関係強化は、日本にとっても決して他人事ではありません。6.99兆元という規模の貿易関係が動けば、サプライチェーンや投資の流れ、技術標準やデジタル規制のあり方にも影響が及びます。
日本の企業や個人にとっては、次のような点が今後の注目ポイントになります。
- デジタル経済やグリーン経済のルールづくりで、中国とASEANがどのような方向性を取るのか
- そのルールが、東アジア全体のビジネス環境にどのような形で波及するのか
- 日本企業が、中国やASEANとの協力・競争の中で、どのような役割を果たしうるのか
2024年の貿易額6.99兆元という数字は、一つの通過点にすぎません。今後、デジタルとグリーンという二つのキーワードを軸に、中国とASEANがどのような「共有される未来」を描いていくのか。日本からも継続的にフォローしていきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








