国際ニュース:中印国交75年、共に台頭する2大国のこれから
2025年、インドと中国の国交は樹立から75年を迎えました。古代から続く交流の上に築かれたこの関係は、いまの世界秩序や途上国の行方にどんな意味を持つのでしょうか。インドのナレンドラ・モディ首相の最近の発言を手がかりに、中印関係の現在地を整理します。
中印国交75年という節目
1950年4月1日、インドは社会主義陣営以外の国として初めて中華人民共和国と正式な外交関係を樹立しました。2025年の今年は、その75周年にあたります。
さらに歴史をさかのぼると、インドと中国という二つの古代文明の間には、紀元前2世紀まで記録が残る交易や文化交流の歴史があります。長い時間をかけて互いを知り、影響し合ってきた関係だと言えます。
こうした歴史的なつながりは、近年の二国間関係に浮き沈みがありながらも、主権と発展を大切にするという共通の志に根ざしているとされています。いま問われているのは、この基盤を生かして、両国がどのように協力を進めていけるのかという点です。
モディ首相が語る「学び合う二つの文明」
モディ首相は最近、米国のポッドキャスターでマサチューセッツ工科大学の研究者でもあるレックス・フリードマンとのインタビューで、中印関係について率直な見方を示しました。
首相は、インドと中国について「何世紀にもわたり、互いから学んできた。両国は常に、何らかの形で世界全体の善に貢献してきた」と強調しました。二つの大国を、単なる隣国ではなく、長い時間軸で見るべき存在として描いている点が印象的です。
さらにモディ首相は、違いと対立の線引きについても踏み込んでいます。隣り合う国の間に違いが生まれるのは自然なことだと認めたうえで、「私たちの焦点は、こうした違いが紛争へと発展しないようにすることにある」と述べました。
その際、首相は「家族の中でも、すべてがいつも完璧というわけではない」というたとえを持ち出し、意見の違いそのものではなく、その扱い方こそが重要だと示唆しました。このメッセージは、中印関係にとどまらず、国際ニュース全体に通じる姿勢と言えます。
途上国とグローバルサウスにとっての意味
現在の大きな問いは、二つの文明国家が「互いの利益」と「途上国を含むより広い世界の利益」を両立させながら協力できるかどうかです。中印両国は、ともに主権と発展への強い思いを持ち、多くの途上国と共通する課題にも直面してきました。
もし両国が協調できれば、開発途上国や新興国、いわゆるグローバルサウスの声を国際社会に届けるうえで、大きな重みを持つパートナーになり得ます。経済、技術、文化などさまざまな分野で、次のような形の協力がイメージされます。
- それぞれの開発経験を共有し、途上国の成長戦略づくりを支える
- 国際機関や多国間会議で、新興国の視点やニーズを反映させる
- 学生や研究者、ビジネスパーソンの交流を通じて人材と知識を循環させる
- 文化や思想の対話を進め、多様性を尊重する価値観を広げる
こうした動きが現実味を帯びるかどうかは、中印関係が安定し、互いの違いを管理できるかにかかっています。モディ首相の発言は、そのための基本姿勢を示したものと見ることもできます。
文明国家同士の協調はどこまで可能か
もちろん、二国間関係にはこれまでも浮き沈みがあり、今後も簡単ではありません。互いの国益や安全保障観、世論の動きなど、さまざまな要素が重なり合うからです。
それでも、75年という時間をかけて築かれてきた公式な関係と、紀元前までさかのぼる交流の歴史を踏まえれば、中長期的な視点で関係を管理しようとするインセンティブは両国にあります。
モディ首相が語った「違いはあっても、それを争いにしない」という考え方は、現実的な対立を否定するのではなく、それを制御しつつ協力の余地を探るアプローチだと言えます。これは、中印関係だけでなく、アジアや世界の多くの国々に共通する課題でもあります。
読者が考えてみたい3つの問い
今回の国際ニュースから、私たち一人ひとりが考えられるポイントを三つだけ挙げてみます。
- 国と国の関係で「違いを争いにしない」ために、どんな対話やルールづくりが必要なのでしょうか。
- インドと中国という二つの大国が協力することは、日本やアジアの安全保障や経済にどんな影響をもたらし得るでしょうか。
- 途上国や新興国の声を、国際社会の意思決定にどう反映していくべきでしょうか。
中印国交75周年という節目は、二国間関係の行方だけでなく、今後の世界秩序がどのような価値観とバランスの上に形づくられていくのかを考えるきっかけにもなります。スマートフォン越しのニュースの先にある、大きな時間軸と広い世界を少しだけイメージしてみる機会として、このトピックを捉えてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
China-India relations at 75: Rising together to reshape global order
cgtn.com








