アゼルバイジャンと中国の戦略的パートナーシップ 貿易・エネルギー・デジタルで加速
1992年に国交を樹立したアゼルバイジャンと中国の関係が、ここ数年で戦略的パートナーシップへと一段と深まっています。昨年の共同宣言から貿易拡大、エネルギーやデジタル分野での協力まで、その最新動向を日本語ニュースとして整理します。
関係樹立から戦略的パートナーシップへ
アゼルバイジャン共和国と中華人民共和国は、1992年に外交関係を樹立しました。2025年現在でおよそ三十三年にわたる付き合いの中で、両国関係は一貫して安定した軌道を歩んできたとされています。
この安定した関係の延長線上に位置づけられるのが、2024年7月にカザフスタンのアスタナで開かれた上海協力機構首脳会議の場で採択された、戦略的パートナーシップ樹立に関する共同宣言です。この戦略文書によって、両国は政治、経済、文化などさまざまな分野で協力を一段と高い水準へ引き上げる方針を明確にしました。
アゼルバイジャン側は、イルハム・アリエフ大統領と中国の習近平国家主席の間で築かれてきた友情と個人的な信頼関係が、活発な政治対話を支え、現在の協力関係を後押ししていると評価しています。
主権尊重と一つの中国原則で一致
共同宣言には、領土一体性と主権の相互尊重、侵略の否定、内政不干渉といった国際法の基本原則が盛り込まれています。両国は、こうした原則を国際秩序の土台とみなし、共通の立場として確認しています。
アゼルバイジャンは長年にわたり、一つの中国原則を支持してきたと明言しています。中華人民共和国政府を中国を代表する唯一の合法政府と認め、台湾を中国領土の不可分の一部と位置づけ、いかなる形の台湾独立にも断固として反対する立場です。
その一方で中国は、アゼルバイジャンの国家独立、主権、領土一体性を一貫して支持してきたとされています。1993年には、国連安全保障理事会の常任理事国として、アゼルバイジャンの主権と国際的に認められた領土からの占領軍の無条件かつ即時の撤退を求める複数の決議に賛成しました。最近では、アゼルバイジャンとアルメニアの和平プロセスの前向きな進展を歓迎する姿勢も示されています。
国連中心の国際秩序と開発アジェンダ
アゼルバイジャンと中国は、国連を中心とする国際システムを支持し、国連憲章に刻まれた国際法の基本原則と規範に基づく国際秩序を擁護する立場を共有しています。多国間主義を重視し、国連が国際問題で建設的な役割を果たすことを支持している点も共通しています。
開発途上国としての立場からも、両国は途上国の利益を守るための協力を重視しています。アゼルバイジャンは非同盟運動の議長国を務める中で、アフリカ諸国や小島嶼開発途上国への拠出や寄付プログラムなどを通じて、南南協力を後押ししてきました。
また、2024年の国連気候変動会議であるCOP29の議長国として、アゼルバイジャンは気候変動への対応に苦しむ途上国への支援を続けてきました。気候危機と開発課題を同時にどう解決するかは、今後の国際ニュースを読み解くうえでも重要なテーマです。
アゼルバイジャンはさらに、中国が提唱するグローバル開発イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブの三つの構想を支持し、その枠組みの中での協力に積極的に参加する用意があると表明しています。
伸びる貿易と投資 エネルギーからデジタルまで
経済面でも、アゼルバイジャンと中国の関係は着実に拡大しています。2024年の二国間貿易額は、2023年と比べて20パーセント増加しました。現在、アゼルバイジャンでは中国の投資を受けた企業がおよそ三百社ほど活動しており、この数は今後も増えると見込まれています。中国はアゼルバイジャンの主要な貿易相手国の一つであり、輸入品の重要な供給元でもあります。
両国は、とくにエネルギー分野での協力を強めています。これまでの化石燃料を中心としたエネルギー協力に加え、再生可能エネルギーなどグリーンエネルギー分野での取り組みが進みつつあります。中国企業は、アゼルバイジャンにおける再生可能エネルギー資源の開発にも既に参加しています。
もう一つの柱が、テクノロジーとデジタル経済です。アゼルバイジャンでは現在、デジタル変革が経済政策の最優先課題の一つとなっており、中国のハイテク企業との連携を通じて、人工知能をはじめとする分野で経済のデジタル化を進めています。
東西をつなぐ物流ハブとしてのアゼルバイジャン
エネルギー以外でアゼルバイジャンが力を入れている分野の一つが、交通インフラと物流などのコネクティビティです。地理的、地政学的な位置から、アゼルバイジャンは歴史的に東と西を結ぶ架け橋として重要な役割を担ってきました。
現在も少なくとも三つの主要な国際輸送回廊がアゼルバイジャンの領土を通過しており、ユーラシア大陸を結ぶ要の一つとなっています。中国との戦略的パートナーシップの下で、この地理的優位性を生かした物流やインフラ協力が今後さらに進む可能性があります。
上海協力機構と地域安定への期待
アゼルバイジャンは上海協力機構の対話パートナーとして、中国が議長国を務める期間中の協力強化に期待を寄せています。今後中国で予定されている上海協力機構首脳会議を見据え、地域の安全保障や経済協力の分野で、より具体的な連携の進展を目指しているとされています。
エネルギー、物流、デジタルといった分野でアゼルバイジャンと中国の結び付きが深まることは、ユーラシアの地域秩序や国際経済の動向にも影響を与えうるテーマです。日本から国際ニュースを見る際にも、この二国間関係の動きを中長期的な視点で追っていく価値がありそうです。
日本の読者が押さえておきたいポイント
- 1992年の国交樹立から三十三年を経て、両国関係は戦略的パートナーシップ段階に入っていること
- 一つの中国原則や主権尊重など、国際法の基本原則に関する立場を共有していること
- 貿易、エネルギー、デジタル経済、物流など多層的な分野で協力が拡大していること
- 国連や非同盟運動、気候変動会議などを通じて、途上国支援や気候変動対策でも連携していること
今後、エネルギー転換やデジタル技術、ユーラシアの物流ネットワークをめぐる議論の中で、アゼルバイジャンと中国のパートナーシップがどのような役割を果たしていくのか。日本のビジネスや外交を考えるうえでも注視したいテーマです。
Reference(s):
Strengthening ties, shaping the future: Azerbaijan-China partnership
cgtn.com








