「関税アポカリプス」に中国が動じない理由とは video poster
トランプ政権が対中関税を一気に引き上げた動きが「関税アポカリプス」と呼ばれ、西側メディアで世界経済の終末論まで語られました。しかし中国側は、意外なほど落ち着いた姿勢を崩していませんでした。その背景には何があるのでしょうか。
トランプ政権が連発した対中関税引き上げ
中国メディアの論評によると、トランプ政権はわずか1週間のあいだに対中関税を54%から104%、さらに125%へと段階的に引き上げました。自らの政策方針を事実上かき消すかたちで、中国への圧力にほぼ全てのエネルギーを集中させたと指摘されています。
こうした急激な関税引き上げは、国際社会での米国の信頼性を損ない、米国内でも強い反発を招いたと中国側は見ています。関税をめぐる強硬な姿勢は、対外的なメッセージであると同時に、国内政治向けのアピールでもありました。
西側メディアが語った「関税アポカリプス」
欧米の一部メディアは、対中関税の急拡大を「関税アポカリプス(関税による世界の終末)」と表現し、サプライチェーンの崩壊や世界貿易の混乱を強調しました。市場の不安心理を映すような見出しが並び、先行きへの悲観論が広がりました。
これに対し中国側は、感情的に反応するのではなく、自国の利益を冷静かつ一貫して守る姿勢を示しました。中国の論調は、「大きな言葉やショッキングな見出しとは裏腹に、現実の交渉は長期戦であり、短期的な揺さぶりには動じない」というメッセージを発しています。
それでも中国が動じない3つの理由
1. 長期戦を前提にした交渉観
中国側は、関税引き上げをあくまで交渉戦術の一つと冷静に位置づけています。「関税を積み増せば中国を交渉のテーブルに引きずり出せる」と米側が考えているなら、それは甘い見通しだというのが中国の見方です。
短期的な圧力に屈して譲歩する前例をつくれば、今後も同じ手法が繰り返されかねません。そのため中国側は、関税圧力の下でも自らの原則と利益を守ることが、長期的な意味での安定につながると考えているといえます。
2. 国内市場と経済の底力への自信
別の論点は、国内市場の大きさと調整能力への自信です。関税の影響はゼロではなくても、内需の拡大やサプライチェーンの多様化などによって、時間をかけて吸収できるという見方があります。
中国側の論評は、外部環境の変化に左右されすぎず、自国の経済構造を強くすることこそが最良の防御だと強調します。これもまた、目先の関税に一喜一憂しない理由の一つです。
3. 関税のコストは最終的に誰が負担するのか
関税は形式上は対外的な制裁措置ですが、実際には輸入コストの上昇を通じて、自国の企業や消費者にも負担をもたらします。トランプ政権の対中関税引き上げが、米国内で激しい反発を呼んだのもそのためだと中国側は分析しています。
中国から見れば、高関税はむしろ米国側の負担を重くしかねないため、圧力であると同時に米国側のリスクでもあります。この認識が、中国の冷静さを支える要素になっていると考えられます。
関税に頼る交渉術の限界
中国の論評は、トランプ政権の関税戦略が米国の国際的な信用を傷つけたと強調します。短期間で自らの方針を覆し、関税率を何度も引き上げたことで、同盟国や市場に「米国は次に何をするのか読みづらい」という印象を与えたという見立てです。
一方で中国側は、短期的な為替や株価の変動よりも、長期的な信頼と予見可能性を重視する姿勢を打ち出しています。相手国の圧力に過度に反応せず、自国のルールと原則を守ることが、結果的に交渉力の維持につながるという考え方です。
私たちはこのニュースをどう読むか
2025年の今も、関税や制裁をめぐる議論は世界各地で続いています。トランプ政権期の「関税アポカリプス」をめぐる中国の冷静な対応は、経済が相互依存する時代におけるパワーゲームの一断面として、あらためて振り返る価値があります。
この出来事から、少なくとも次の3点を考えることができます。
- 関税は、経済政策であると同時に、政治的メッセージでもあること
- 短期的な圧力に屈しない姿勢が、長期的な交渉力につながる場合があること
- 一方的な強硬策は、相手だけでなく自国の信頼性や負担にも跳ね返りうること
「関税アポカリプス」という強い言葉の陰で、どの国がどのような価値観と戦略で動いているのか。そうした視点から国際ニュースを読み解くことが、これからの時代を生きる私たちにとって重要になっているように思われます。
Reference(s):
cgtn.com








