トランプ氏の「Obliteration Day」関税 中国の底力と米国民への痛み
いわゆる「Obliteration Day(抹殺の日)」と呼ばれるトランプ米大統領の対中関税強化が、2025年現在、米中関係だけでなく世界経済に重い影を落としています。中国本土に対する最大145%もの関税と、それに対抗する中国側の報復関税は、最終的に米国の消費者と有権者に大きな負担を強いていると指摘されています。
145%まで引き上げられた対中関税とは
トランプ政権は、中国本土からの輸入品に対する関税を前例のない145%まで引き上げました。これに対し、中国側は84%の報復関税で応じ、さらに世界最大の製造拠点でもある中国本土は、米国製品に対して最大125%の追加関税を課す形で対抗を強めています。
エコノミストやアナリストの多くは、こうした大規模な関税合戦の妥当性に疑問を投げかけています。関税は一見すると相手国を狙った強硬策のように見えますが、実際には自国の企業や消費者がコストの多くを負担することが避けられないためです。
「貿易戦争に強い」中国経済という指摘
専門家の間では、中国本土は数十年かけて「貿易戦争に強い経済」を築いてきたとの見方があります。中国本土は、米国向けにはパソコンやゲーム機、スマートフォン、おもちゃなどの消費財を多く輸出し、一方で米国からは航空機、化石燃料、大豆など産業・製造関連の物資を主に輸入しています。
こうした構造のもとで、中国本土側は、米国からの輸入品については価格上昇の一部を吸収したり、輸入先を多様化したりする余地があると指摘されています。ある報道では、世界が長期の貿易戦争に向かうのであれば、中国本土はすでに体制を整えつつあると結論づけました。
より強い痛みを感じるのは米国の家庭か
一方で、米国の一般家庭は、中国本土で生産された手頃な価格の製品に大きく依存してきました。パソコンやスマートフォン、玩具、日用品など、日常生活に欠かせない多くの製品が中国本土発のサプライチェーンに支えられています。
エコノミストらは、中国本土製品の代替先を短期間で見つけるのは難しく、その結果、関税分が価格に上乗せされ、米国の消費者が「物価高」という形で負担する可能性が高いと警告します。現在すでに金利は高止まりしており、そのうえインフレが重なれば、家計にとって二重の圧迫となりかねません。
トランプ政権の世界的な関税強化は、中小企業から大企業まで幅広いビジネスを不安にさせています。支持者の中には、雇用拡大や景気回復を期待して投票したにもかかわらず、「経済的な自滅行為」になってしまうのではないかと懸念する声も出ています。大量解雇や投資の先送りが広がれば、「経済的な核の冬」によって、銀行預金や株式など、長年積み上げてきた資産が目減りすることを恐れる人も少なくありません。
日本と世界への示唆:何を読み取るべきか
今回の「Obliteration Day」関税をめぐる動きは、日本を含む世界の読者にとっても、いくつかの重要な問いを投げかけています。
- 関税は誰を守り、誰に負担を強いるのか
関税は相手国への圧力手段として語られがちですが、実際には、自国企業のコスト増や家計の物価上昇という形で跳ね返ることが多くあります。 - サプライチェーンへの依存リスク
特定の国や地域に生産を集中させた場合、政治的な対立や関税一つでコスト構造が大きく変わることが、改めて浮き彫りになりました。 - 政治と経済の距離感
有権者の期待に応える形で強硬な通商政策が打ち出されたとしても、その結果として最も大きな影響を受けるのは、多くの場合、日々の生活を送る普通の人々です。
2025年の今、私たちに求められているのは、どちらの国が「勝つか」という単純な図式ではなく、政策が暮らしと世界経済にどのような連鎖反応を生むのかを冷静に見つめる視点です。感情的な対立ではなく、データと生活実感を踏まえた議論を重ねることが、次の一歩を考えるうえで欠かせないと言えるでしょう。
Reference(s):
Trump's 'Obliteration Day' tariffs only strengthen China's resolve
cgtn.com








