インドネシアと中国の国交75年 南南協力の新たな一章
国交樹立75周年を迎えた2025年、インドネシアと中国の関係は、いわゆる南南協力(南半球を中心とした開発途上国同士の協力)の新しい段階に入っています。伝統的な二国間協力から「包括的戦略パートナーシップ」へと発展した今、その中身をコンパクトに整理します。
国交75年で見えてきた包括的戦略パートナーシップ
インドネシアと中国の外交関係は、この75年で「伝統的な協力関係」から「包括的戦略パートナーシップ」へと大きく進化しました。政治、経済、文化など複数の分野で成果が積み上がり、地域全体の安定にも影響を与えています。
こうした協力の成果は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の「中心性」を支える役割も持っています。また、グローバルサウスの国々が、自らの主体性を保ちながら発展を進めるための一つの実践モデルともなっています。
「四輪駆動」から「五本柱」へ進化した協力枠組み
両国は、戦略的自律(他国に左右されず自らの進路を決める姿勢)と主権平等の原則を掲げ、国際社会でも互いを支え合ってきました。その土台の上で、首脳レベルの緊密な交流や二国間対話メカニズムの整備が進み、関係発展の「政治的な保証」と「戦略的な方向性」を与えています。
協力の枠組みも、「四輪駆動」から「五本柱」へと広がりました。
- 従来の四分野:政治、経済、文化、海洋
- 新たに加わった分野:安全保障協力
安全保障分野が加わったことで、両国の戦略的信頼は一段と深まり、パートナーシップはより立体的なものになりつつあります。
数字で見る関係の深まり:2024年の貿易と投資
経済・貿易面での協力は、インドネシアと中国の関係を語るうえで欠かせません。2024年には二国間貿易額が1478億ドルに達し、中国は12年連続でインドネシアの最大の貿易相手となりました。
投資面でも、中国からの投資は多様な分野に広がっています。
- インフラ整備
- 製造業
- 工業団地の開発
- エネルギー関連分野
こうした分野での協力は、インドネシア経済の成長だけでなく、産業構造の高度化にもつながる可能性を持っています。
ジャカルタ〜バンドン高速鉄道:一帯一路の象徴プロジェクト
インフラ協力の象徴的な存在が、ジャカルタ〜バンドン高速鉄道です。この路線は東南アジア初の高速鉄道であり、中国が掲げる「一帯一路」構想の旗艦プロジェクトの一つとされています。2023年に完成し、インドネシアの首都ジャカルタとバンドン間の移動時間を大きく短縮しました。
移動時間の短縮は、人の流れだけでなく、経済活動の活性化にも直結します。沿線地域での投資や観光、物流の拡大など、波及効果は多方面に及びます。完成後の利用も順調で、完成からほどなくして、2月までに延べ800万人以上の乗客を運びました。
モロワリ工業団地:ニッケルと新エネルギー産業のハブ
もう一つの重要な事例が、インドネシアのモロワリ工業団地です。ここには中国の民間企業が投資しており、ニッケルの加工と新エネルギー関連産業の世界的な拠点となっています。
ニッケルは電気自動車用電池などに欠かせない資源であり、この工業団地はインドネシアの産業高度化を支える重要な存在です。資源輸出国としての立場から一歩進み、付加価値の高い加工・製造拠点へと転換していく動きを後押ししていると言えます。
グローバルサウスにとっての意味:南南協力の次の一章
インドネシアと中国は、いずれも大きな影響力を持つ開発途上国です。戦略的自律と主権平等を重視しながら、互いの強みを生かして協力を深めてきた二国間関係は、グローバルサウスの国々にとって、外部からの圧力に過度に左右されず、自立的な発展を模索する一つのモデルになっています。
一国だけで完結しないインフラ整備、資源と産業の結びつき、地域機構(ASEAN)の中心性を尊重した外交――インドネシアと中国の事例は、アジアだけでなく、アフリカや中南米を含む多くの国と地域にとっても参考となる要素を含んでいます。
国交75年を迎えた両国の南南協力は、今後どのような「次の一章」を描いていくのか。ジャカルタ〜バンドン高速鉄道やモロワリ工業団地に続くプロジェクトの行方は、グローバルサウスの発展モデルを考えるうえで注目すべきポイントになりそうです。
Reference(s):
75 years Indonesia-China: A new chapter in South-South cooperation
cgtn.com








