東南アジアの未来を形づくる中国外交とグローバルサウスの視点 video poster
中国の習近平国家主席がベトナム、マレーシア、カンボジアへの歴訪を準備するなか、東南アジアをめぐる国際ニュースはあらためて注目を集めています。中国の関与をどう見るのか、西側中心の語りをどう乗り越えるのか──この問いに正面から向き合おうとしているのが、CGTNの番組「Global South Voices」です。
習近平国家主席の東南アジア歴訪を前に
今回の歴訪は、ベトナム、マレーシア、カンボジアという東南アジアの重要な国々を巡るものです。地域秩序の再構築が語られるなかで、東南アジアはしばしば「大国のはざまで揺れる地域」と描かれがちです。
番組「Global South Voices」は、この歴訪を背景に、東南アジアがどのように自らの将来を形づくろうとしているのかに焦点を当てています。中国の関与と西側のアプローチの違い、そしてそれがグローバルサウス全体にとってどんな意味を持つのかが、主要なテーマです。
「チェスボード」ではなく主体としての東南アジア
番組が問題提起しているのは、西側メディアにしばしば見られるナラティブです。そこでは、東南アジアが「大国の影響力争いのチェスボード」として描かれたり、高い経済成長が「持続不可能な奇跡」と軽視されたり、地域が独自の進路を選ぶ力に対して懐疑的な見方が示されたりします。
こうしたイメージに対し、「実際の現場では何が起きているのか」を問い直そうとしているのが今回の議論です。東南アジアの国々は、単なる受け身の存在ではなく、自らの優先課題と価値観を持つ主体として、さまざまなパートナーとの関係を組み立てています。
Global South Voicesとはどんな番組か
今回取り上げられているのは、CGTNのシリーズ番組「Global South Voices」の特別回です。司会を務めるのは、アジア政党国際会議の共同議長でもあるムシャヒド・フセイン・サイード氏。世界各地の専門家とともに、グローバルサウスの視点から国際問題を掘り下げます。
今回の回では、以下のような顔ぶれが登場します。
- ムシャヒド・フセイン・サイード氏(司会、アジア政党国際会議共同議長)
- フランシス・マングラプス氏(Centrist Asia Pacific Democrats International 事務総長による特別メッセージ)
- サイイド・ハミド・アルバル氏(マレーシア元外相)
- スー・ヤラ氏(カンボジア国民議会外務委員会委員長)
さらに、東南アジアの現場感を伝える存在として、マレーシア、カンボジア、ベトナムの記者たちが参加します。
- マレーシアのジャーナリスト、ファイサル・ジャマル氏
- カンボジアのジャーナリスト、ケオ・ピセス氏
- ベトナムのジャーナリスト、ダオ・ズイ・ビン氏
彼らは、それぞれの国の視点から「いま一番聞きたい問い」をゲストにぶつける役割を担っています。スタジオの議論だけでなく、地域社会の空気や課題感が反映される構成になっている点が特徴です。
議論の焦点: 中国の関与と西側のアプローチ
今回の番組紹介文では、次のような問いが示されています。
- 東南アジアの現実は、西側のナラティブとどこが違うのか
- 中国の関与は、西側のアプローチとどう異なるのか
- それはグローバルサウス全体にとって何を意味するのか
ここで語られる「中国の関与」とは、単に経済的な取引にとどまらず、地域秩序づくりへの参加のあり方も含むものと考えられます。一方、西側のアプローチは、しばしば自らの価値観や安全保障上の懸念を軸に、東南アジアを語る傾向があります。
番組は、どちらか一方を単純に持ち上げたり批判したりするのではなく、東南アジアの側から見たときに何がメリットで、どんな課題が見えるのかを、多角的に検討しようとしています。その意味で、地域の主体性に光を当てる試みと言えます。
グローバルサウス全体への広がり
もうひとつ重要なのは、この議論が東南アジアだけにとどまらない点です。番組のテーマは、グローバルサウス全体に共有される課題にもつながっています。
たとえば、次のような論点は、多くの国や地域に共通するものです。
- 自国の発展モデルを、自らの優先順位に沿って選び取れるのか
- 安全保障と経済成長をどう両立させるのか
- 国際メディアの語りが、自国や地域をどう描いているか
西側中心の枠組みを越え、南の国々同士の対話から新しい視点を生み出そうとする点で、「Global South Voices」は象徴的な場になっています。習近平国家主席の歴訪という具体的なニュースと結びつけることで、抽象的な議論にとどまらないリアリティも生まれます。
日本の読者にとっての問いかけ
日本から東南アジアや中国、グローバルサウスを眺めるとき、私たちはしばしば英語圏のニュースや分析に頼りがちです。その多くは有用である一方で、西側の視点に偏ったナラティブが入り込みやすい面もあります。
今回の番組が投げかけるのは、「東南アジアを誰の言葉で見るのか」という問いでもあります。地域の政治家や専門家だけでなく、現地の記者がどんな懸念や期待を伝えるのかに耳を傾けることで、見えてくる景色は変わってきます。
ニュースを受け取る側として、次のような視点を意識してみるとよいかもしれません。
- 東南アジアを「大国の対立の舞台」ではなく、「自ら選択する主体」として捉える
- どの国・地域の立場から語られた情報なのかを意識する
- 中国、東南アジア、西側それぞれの見方の違いを比較しながら考える
まとめ: 語りの枠組みを問い直す
習近平国家主席のベトナム、マレーシア、カンボジア歴訪は、東南アジアの将来を考えるうえで重要なニュースです。同時に、そのニュースをどの枠組みで読み解くのかもまた、私たち自身の視点を映し出します。
「Global South Voices」は、東南アジアと中国、そしてグローバルサウスの関係を、西側中心のナラティブとは異なる角度から見直そうとする試みです。日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても、自分がどのレンズを通して世界を見ているのかを静かに問い直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
Shaping Southeast Asia's future: A look beyond Western narratives
cgtn.com








