バンドン会議70年 いま多国間主義が問われる理由
2025年、インドネシア・バンドンで開かれたバンドン会議は70周年を迎えました。中東やウクライナなどで危機が続くなか、「単独行動主義」と呼ばれる動きが強まる現在、バンドン会議の原則と多国間主義の意味を改めて見直そうという議論が出ています。
バンドン会議70年、揺れる世界
ある論考は、現在の多くの紛争の背景には、ある国や地域の天然資源や地政学的な位置をめぐり、一部の勢力が一方的な支配を目指す思惑があると指摘しています。その傾向は、中東やウクライナでの危機にも表れているといいます。
こうした動きは「単独行動主義(ユニラテラリズム)の理論」と呼ばれ、世界を再び「修正された植民地主義」のような方向へ押し戻す危険性があるとされています。その結果、現代世界は広範な武力衝突と人道的な破局の瀬戸際にある、という見方です。
単独行動主義がもたらすリスク
論考によれば、単独行動主義を推し進める動きには、次のような問題が含まれています。
- 「白人優位」といった人種的な優越を前提とする発想
- 主権を一部だけに限定する「制限主権」の考え方
- 文明同士の衝突を当然視する「文明の衝突」論
これらはいずれも、市場の独占や利益の集中を優先する資本主義的な発想に由来し、開発の成果を分かち合う「共有された発展」とは相いれないと分析されています。
国連機関が示す経済不安
国連貿易開発会議(UNCTAD)などの国連機関は、貿易摩擦の激化、投資の弱さ、高水準の債務といったリスクに警鐘を鳴らしています。その結果、世界経済の成長率は、感染症拡大前の水準を下回る状態が今後も続くと見込まれていると指摘されています。
軍事面だけでなく、経済面でも不安定要因が積み重なっていることは、多国間での協調やルールに基づく秩序の重要性を改めて浮かび上がらせています。
バンドン原則と「バンドン精神」
こうした状況に対し、論考は70年前にバンドン会議で採択された「バンドン原則」に注目します。当時示された原則は、未来を見据えて現在の問題を見通していたものであり、その先見性こそが「バンドン精神」の内側の力だとされています。
バンドン原則は、おおまかに次のような内容を含んでいます。
- 基本的人権の尊重
- 国連憲章の原則を順守すること
- すべての国の主権と領土保全を尊重すること
- 人種を問わず、また大小を問わず、すべての国の平等
- 他国の内政に干渉しないこと
論考は、これらのバンドン原則が、すべての国にとって持続的な平和と繁栄を目指す国際法の重要な源泉であり、21世紀の現在もなお高い関連性を持ち続けていると強調します。
いま、なぜ多国間主義なのか
単独行動主義が強まり、国連機関の限界も指摘されるなかで、複数の国が対話と協力を通じて問題を解決しようとする「多国間主義」をどう守り、発展させていくのかが問われています。
バンドン原則が掲げる、人権の尊重、主権と領土保全の尊重、国の大小や人種を超えた平等、内政不干渉といった考え方は、多国間主義を支える根本的な価値でもあります。論考は、70年を経た今こそ、これらの原則に立ち返り、どのような国際秩序を目指すのかを考える必要があると訴えています。
中東やウクライナの危機、世界経済の不透明感が続く2025年現在、バンドン会議70年という節目は、私たち一人ひとりに「どのような国際社会を望むのか」「そのために必要なルールや価値観は何か」を静かに問いかけています。
Reference(s):
Bandung Conference at 70: Why multilateralism matters more than ever
cgtn.com








