中国-ASEAN対話「The Power of Ideas」が映す10年目のパートナーシップ video poster
ASEAN共同体の発足から10年となる2025年、中国とASEANの関係は新たな段階を迎えています。地域の地政学的な風向きが変わり、経済の先行きも不透明さを増すなか、中国国際テレビ局(CGTN)が企画した対話シリーズ「The Power of Ideas: A China-ASEAN Dialogue」は、これからの中国-ASEANパートナーシップを考える一つの窓になりそうです。
2025年、中国-ASEAN関係はなぜ「新章」なのか
2025年は、ASEAN共同体が発足してからちょうど10年にあたります。この節目は、中国とASEANの関係にとっても「新しい章」の始まりと位置づけられています。10年前に比べ、経済や人の往来、政策対話の層は厚みを増しましたが、同時に、競争と協調が交錯する国際環境の中で、両者がどのような戦略的パートナーシップを構築するのかが改めて問われています。
とくに東アジアと東南アジアは、世界経済の成長エンジンであると同時に、さまざまな利害がぶつかる舞台でもあります。その中で中国とASEANが対話を重ね、地域の安定と繁栄にどう貢献していくかは、2025年以降の大きなテーマです。
「アイデアの力」を掲げる対話シリーズ
こうしたタイミングで始まるのが、CGTNによる特別シリーズ「The Power of Ideas: A China-ASEAN Dialogue」です。シリーズには、それぞれの視点を持つ4人の有力なオピニオンリーダーが登場し、中国とASEANがどのように協力すれば、より強くしなやかな未来を築けるのかを探ります。
タイトルにある「アイデアの力」は、軍事力や単純な経済力だけではなく、ビジョンや構想が地域の行方を左右するというメッセージを含んでいると読むこともできます。対話を通じて、相互理解を深めるだけでなく、新しい枠組みや協力の形を構想することも狙いとされているようです。
揺れる地政学と経済不透明感の中で
シリーズの背景には、東アジアと東南アジアを取り巻く地政学的な風向きの変化と、世界経済の不透明感があります。大国間の関係が揺れ動き、サプライチェーンの再編やエネルギー・食料安全保障への懸念が高まるなか、中国とASEANが対立ではなく協調を選べるかどうかは、地域全体の安定と成長に直結します。
こうした環境のもとで「強く、レジリエントな(しなやかで回復力のある)未来」をどうつくるのか。シリーズでは、次のような論点が掘り下げられることが期待されます。
- 経済の不確実性に備えるための、中国とASEANの協力のあり方
- 安全保障上の緊張を高めずに、地域の安定を守るための対話の枠組み
- 気候変動やデジタル化など、共通の課題に対する共同の解決策
- 若い世代同士の交流や、文化を通じた相互理解の深め方
これらはどれも、単一の国だけでは解決できないテーマです。だからこそ、異なる歴史や制度を持つ中国とASEANが、率直に意見を交わす場を持つことに意味があります。
「動的で前向きな」戦略的パートナーシップとは
シリーズの紹介では、中国とASEANが共に「動的で前向きな戦略的パートナーシップ」を形づくることが掲げられています。ここでいう「動的」とは、単に貿易や投資を拡大するだけでなく、状況の変化に応じて柔軟に協力の形を更新していくことを意味すると考えられます。
また「前向き」とは、目先の利害調整にとどまらず、10年先、20年先を見据えた地域像を共有することです。例えば、包摂的な成長、持続可能な開発、デジタル技術の公正な利用といったキーワードは、中国とASEANの双方に共通する関心事になりつつあります。こうした長期視点をもったパートナーシップが築けるかどうかは、今後の対話の中身にかかっています。
日本の読者にとっての意味
日本にとっても、中国とASEANの関係のあり方は自国の安全保障や経済と無関係ではありません。サプライチェーン、投資先、観光、留学など、多くの日本の企業や人々がこの地域と深く結びついています。
だからこそ、中国とASEANがどのような言葉を使い、どのようなビジョンを共有しようとしているのかに耳を傾けることは、日本の読者にとっても意味があります。「The Power of Ideas」というタイトルが示すように、最初に変わるのは制度や数字ではなく、物事の見方や語り方です。
2025年という節目に行われる中国-ASEAN対話は、地域の未来をめぐる「アイデアのせめぎ合い」の一場面とも言えます。日々のニュースの背後で交わされるこうした対話に目を向けることで、東アジア・東南アジアを見る私たち自身の視点も、少しずつアップデートされていくのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








