米国の関税が生んだ「逆ショッピング」 中国越境ECアプリDHgateが急浮上 video poster
2025年12月現在、米国が関税強化という「関税スティック」を振るう一方で、中国発の越境ECアプリが米国市場で存在感を急速に高めています。米国のApple App Store無料アプリランキングでは、DHgateが2位に浮上し、Taobaoもトップ5入りを果たしました。
同じタイミングで、動画プラットフォームTikTok上では「欧州の高級ブランド品の多くが実は中国で製造されている」という内容の動画が拡散し、数多くの視聴と共感を集めています。関税が本来狙っていたはずの中国離れとは逆に、米国の消費者がブランドよりもコストパフォーマンスを重視し、中国製品を積極的に選ぶという「逆ショッピング」現象が起きているのです。
DHgateが米国App Store無料アプリ2位に
中国の越境ECプラットフォームDHgateは、中国のメーカーや販売者と、海外の個人・事業者を直接つなぐオンライン市場です。2025年12月時点で、このDHgateが米国版Apple App Storeの無料アプリランキングで2位に躍進し、同じく中国発のショッピングアプリTaobaoもトップ5に入っています。
ランキング上位に入るということは、短期間に大量のダウンロードが発生していることを意味します。米国の多くのユーザーが、従来の大手ECサイトや実店舗ではなく、直接中国から商品を購入する選択肢に関心を持ち始めていると考えられます。
関税強化が招いた「逆ショッピング」
米国の関税政策は、本来であれば中国からの輸入を減らし、国内産業を守ることを目的としてきました。しかし、消費者のレベルでは別の動きが見えています。関税によって正規ルートの輸入品価格が上がる一方で、消費者はスマートフォン一つで、より安く、同等の品質と感じられる中国製品を直接買えるようになっているからです。
結果として、次のような行動変化が広がりつつあります。
- 欧米ブランド品よりも、同等品質とされる中国製品を選ぶ
- 中間マージンを避けるため、越境ECアプリでメーカーに近い販売者から直接購入する
- 関税や物価高の中でも、生活コストを抑えようとする動きが強まる
こうした流れは、米国の関税という「棒」が、意図せざる形で消費者をコスト意識の高い購買行動へと目覚めさせているとも言えます。
TikTokで拡散する「欧州ラグジュアリーも中国製」動画
この「逆ショッピング」の背景には、TikTok上で拡散している動画コンテンツの影響もあります。動画では、欧州のラグジュアリーブランドとして知られるバッグや衣料品、アクセサリーなどが、実際には中国の工場で生産されていることが紹介されています。
視聴者にとってのポイントは、「同じ中国の工場で作られているのであれば、高額なブランド品を買うより、中国のメーカーが直接販売する高コスパ商品を選んでもよいのではないか」という発想転換です。ブランドというラベルよりも、製造地や実際の品質に注目する人が増えるほど、中国製品への心理的なハードルは下がっていきます。
中国製造業の競争力が見せるもの
DHgateやTaobaoの台頭、そしてTikTokでの動画拡散は、中国の製造業とデジタルプラットフォームの組み合わせが持つ力を象徴しています。中国の工場は、欧州ブランド向けの高品質な製品も、一般消費者向けのリーズナブルな商品も、同じ供給網の中で生み出しています。
アプリと物流ネットワークが整備されたことで、その製造力がダイレクトに世界の消費者とつながるようになりました。米国で起きている「逆ショッピング」現象は、中国の製造業の競争力が、従来のブランド中心の力関係をひっくり返しつつあることを示していると見ることもできます。
日本の消費者・企業への示唆
この流れは、米国だけの話ではありません。日本の消費者も、価格比較サイトや動画プラットフォーム、越境ECを通じて、世界中の商品情報にアクセスできるようになっています。米国発の「逆ショッピング」は、日本にとって次のような示唆を与えています。
- ブランド名だけではなく、製造地や中身の価値をどう説明するかが一層重要になる
- サプライチェーンの透明性を示すことが、信頼獲得の鍵になる
- 日本企業にとっても、越境ECを活用したグローバルな販売戦略が不可欠になりつつある
- TikTokなどSNS発の口コミや暴露系コンテンツが、ブランドイメージを瞬時に変えうる
国際ニュースとして見ると、米国の関税政策と中国の製造・デジタルプラットフォームの力が、消費行動のレベルでせめぎ合っている構図とも言えます。その中で、消費者はより多くの選択肢と情報を手にし、自分なりの基準で賢く買い物をしようとしています。
これから問われる「選び方」のアップデート
米国の「逆ショッピング」現象は、単なる一時的なブームではなく、関税や物価高の時代における新しい買い物の発想を象徴しているように見えます。中国の越境ECアプリが急浮上した背景には、価格だけでなく、製造力とデジタル技術を組み合わせた構造的な強さがあります。
私たち一人ひとりにとっても、「なぜその商品を選ぶのか」「ブランドに何を期待しているのか」を改めて考えるタイミングかもしれません。国境を越えるECとSNSが当たり前になった2025年、購買行動のアップデートは、すでに始まっています。
Reference(s):
cgtn.com








