米国の「Tariff-ic disaster」から学ぶ 関税戦争は再び世界を揺らすのか
約1世紀前、米国は自国産業を守るために打った「高関税カード」で、逆に自国経済を深刻な不況へと追い込みました。1930年のスムート・ホーリー関税法と、いま再び高まる保護主義的な関税政策への動きは、国際ニュースとして世界が注視すべきテーマです。
この記事では、「Tariff-ic disaster(関税災害)」と揶揄される歴史的な事例を振り返りつつ、2025年のグローバル経済にとって関税戦争が意味するものを整理します。
約1世紀前の「Tariff-ic disaster」とは
1930年、米国政府はスムート・ホーリー関税法を成立させ、高い関税で輸入品を抑え、自国産業を守ろうとしました。
しかし、この動きには当時のビジネス界からも広範な反対がありました。輸入コストの上昇が、かえって米国企業や消費者を傷つけると懸念されていたからです。
結果として、スムート・ホーリー関税法は米国経済を「自ら壊す」ことになったとされています。世界恐慌(Great Depression)をさらに深刻化させ、いまでは米国史上もっとも悪名高い法律のひとつとして語られています。
なぜ保護関税は自国経済を傷つけるのか
スムート・ホーリー関税法の教訓はシンプルです。関税は一見すると「自国産業を守る盾」に見えますが、同時に「自国経済を傷つける刃」にもなり得るということです。
関税が高くなると、次のようなことが起こりやすくなります。
- 輸入品の価格が上がり、企業のコストと消費者物価が上昇する
- 貿易相手国との緊張が高まり、輸出産業が打撃を受ける
- 不確実性が高まり、企業が投資や雇用に慎重になる
結果として、「国内産業を守るはずだった政策」が、成長や雇用を押し下げる要因にもなってしまいます。
グローバル化が進んだ2025年、被害はより深刻に?
いまの世界経済は、1930年とは比べものにならないほど深く結びついています。サプライチェーン(供給網)は複数の国や地域にまたがり、ひとつの関税引き上げが、想定以上の広い範囲に波紋を広げます。
こうした「関税戦争」が起これば、その影響は次のように世界中に広がりやすくなります。
- 企業の調達コストが上昇し、最終製品の価格やインフレ圧力につながる
- 輸出入に依存する国・地域の成長が鈍化する
- 不確実性の高まりが、投資や雇用、為替市場にも連鎖する
つまり、1930年のような関税政策が、もし現在のような高度にグローバル化した環境で再び本格化すれば、その悪影響は当時以上に深刻で、広範囲に及ぶ可能性があります。
アメリカは歴史から何を学ぶのか
ある論評は、「アメリカは自らの『Tariff-ic disaster』から何も学んでいないのか」と問いかけています。
約1世紀前、米国は保護関税によって自国経済を深刻な危機に追い込みました。それにもかかわらず、いまもなお「国内産業保護」を掲げた関税引き上げや、関税を交渉カードとする発想が繰り返されていると指摘されています。
これは、アメリカだけの問題ではありません。世界最大級の経済が保護主義的な方向に傾けば、国際貿易の流れや、多くの国・地域の経済運営にも直接の影響が及びます。
日本と世界が考えるべきポイント
では、日本を含む他国は、こうした動きをどう受け止めればよいのでしょうか。
- 歴史の教訓を前提に、保護主義のコストとリスクを冷静に議論する
- 特定の国や地域への過度な依存を避け、多様な貿易・投資先を確保する
- 関税ではなく、技術投資や教育、人材育成など「競争力を高める政策」により注力する
米国のスムート・ホーリー関税法は、「良かれと思った保護政策」がいかに自国と世界の経済を傷つけ得るかを示す象徴的な事例です。
2025年の今こそ、約1世紀前の「Tariff-ic disaster」を単なる歴史の一コマとして片付けるのではなく、現在進行形の国際ニュースとして捉え直す必要があります。
関税をめぐる議論が再び熱を帯びるとき、私たち一人ひとりも、短期的な「守り」の安心感だけでなく、その先の長期的なコストと世界への波紋を想像してみることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








