関税逆風の中で中国はどう動くか 外需と内需を支える新戦略
世界的な貿易摩擦が続く中、中国の対外貿易と国内需要をどう安定させるかは、日本の読者にとっても重要な国際ニュースです。2025年のデータを見ると、関税という逆風の中で、中国は外需と内需の両面から新しい対応を進めています。
世界で高まる貿易摩擦 米国が中国関連で突出
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)のデータによると、2025年2月の世界経済・貿易摩擦指数は106となり、高い水準が続いていました。この指数は、世界の経済・貿易環境が依然として厳しいことを示しています。
国・地域別に見ると、モニタリング対象となった20の国と地域のうち、米国、EU、南アフリカが上位3位を占めました。特に米国は長年「アメリカ・ファースト」を掲げ、一方的な追加関税や制裁措置などの貿易制限策を打ち出してきました。
CCPITが2025年4月28日に行った記者会見によれば、米国が実施した懲罰的な措置の金額は、少なくとも8カ月連続で最多となり、措置の件数も2カ月連続で最多でした。
中国関連に絞っても、米国の動きは際立ちます。2025年4月時点で、米国は中国からの輸入品に対し追加関税を相次いで課し、二国間の貿易関係に負担をかけてきました。その結果、多くの企業が関税コストの増大や市場アクセスの制約に直面し、輸出受注の減少や生産圧力の高まりにつながっています。
CCPITの「コンビネーションブロー」 外需を支える政策パッケージ
こうした関税の逆風に対して、CCPITは対外貿易を安定させるための政策と措置をまとめて打ち出し、「コンビネーションブロー」ともいえる支援策を展開しています。
主な取り組みは次のようなものです。
- 企業の海外市場開拓を強力に支援
- 各種国際見本市・展示会への参加を組織し、新規受注の獲得を後押し
- ビジネス環境の最適化を進め、通関手続きなどの負担を軽減
- 企業が経済・貿易摩擦に対応する際の相談や法的支援を提供
これらの支援策により、企業は急速に変化する貿易環境の中でも、海外市場での存在感を維持しやすくなっています。
企業は市場を分散 新興市場へのシフトが進行
現場の企業もまた、関税リスクを軽減するために、市場の分散化を進めています。多くの輸出企業は、特定の市場への過度な依存を避け、世界各地に販路を広げる戦略へと舵を切っています。
従来、欧州や米国向けを中心としてきた企業の一部は、資源を配分し直し、次のような新興市場への展開を強化しています。
- 一帯一路構想に参加する国々
- 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国
- アフリカ諸国
現地の展示会に参加したり、販売ネットワークを構築したり、現地企業との協力関係を築いたりすることで、企業は新興市場を徐々に開拓しています。これにより、欧米の貿易摩擦による影響を和らげると同時に、中長期的な成長の余地を広げようとしています。
越境ECとプラットフォーム企業が変える貿易の形
外需を支えるもう一つの柱が、プラットフォーム企業や越境電子商取引(越境EC)の活用です。中国のECプラットフォームである拼多多(Pinduoduo)などが、その代表例として挙げられています。
これらのプラットフォーム企業は、大量のデータを分析するビッグデータの強みを生かし、国内外の需要と供給を精度高くマッチングします。中小の輸出企業にとっては、自社だけではアクセスしづらい海外の買い手とつながる重要なチャネルとなっています。
越境EC企業も、取引コストの削減と貿易プロセスの短縮に貢献しています。例えば、次のようなサービスが提供されています。
- 在庫を持たずに販売できるドロップシッピング
- 現地近くに商品を保管する海外倉庫サービス
これにより、企業の在庫負担が軽くなり、消費者への配送効率も高まっています。同時に、これらのプラットフォームは輸出企業の国内販売も支援し、高品質な商品を国内消費者にも届けることで、内外需の連携した成長を促しています。
内需と外需の両輪で関税の逆風に向き合う
2025年のデータから見えてくるのは、関税や貿易摩擦という逆風の中でも、政策と企業の工夫によってリスクを分散しようとする動きです。CCPITの支援策、企業による市場分散、そしてプラットフォーム・越境ECの活用は、いずれも外需と内需を連動させる試みといえます。
グローバルな貿易環境の不確実性が高まる中、中国のこうした対応は、世界経済の行方を考える上でも注目すべき事例です。日本を含む各国の企業や政策担当者にとっても、リスク分散やデジタル技術の活用など、学ぶべき点が多いテーマとなっています。
今後、関税や貿易ルールをめぐる動きがどのように変化するのか。外需と内需の「両輪」をどう磨いていくのかを継続的に追うことが、国際ニュースを読み解くうえで重要になりそうです。
Reference(s):
Stabilizing foreign trade and growing domestic demand against tariffs
cgtn.com








