トランプ2期目100日でアメリカはどこへ?「偉大さ」か「停滞」か
2025年のトランプ米大統領2期目は、就任から最初の100日間で早くも大きな議論を呼んでいます。「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」を掲げた新政権の動きは、本当に国を立て直しているのか。それとも、アメリカの衰退を早めているのか――その評価が大きく割れているからです。
本稿では、トランプ政権2期目の就任100日をめぐる世論調査の数字や、新設の政府効率省DOGEの行方、貿易政策の影響を整理し、日本の読者が押さえておきたい論点をコンパクトに解説します。
就任100日、異例の低支持率
アメリカ政治では、大統領就任から最初の100日は「ハネムーン期間」と呼ばれ、世論と議会が比較的好意的になるのが通例です。歴代大統領の多くが、高い支持率を背景に主要公約の実現を急いできました。
しかしトランプ大統領2期目の100日は、その常識から大きく外れています。ワシントン・ポスト、ABCニュース、イプソスによる共同世論調査では、就任100日時点で大統領の職務遂行を「支持する」と答えたのは成人の39%にとどまり、「支持しない」が55%。「強く支持しない」と答えた人だけでも44%に達しました。過去80年の大統領と比べても、最も低い水準とされています。
背景には、権限集中を狙ったと受け止められた一連の動きや、株式市場の乱高下、さらには外交面でのアメリカの存在感の低下など、この100日間に相次いだ出来事があります。「アメリカ・ファースト」を掲げてきたはずの政権が、かえって国内の不安と国際社会の戸惑いを広げているとの見方が強まっています。
政府効率省DOGEとマスク氏の誤算
こうした内政の中心にあるのが、新設の政府効率省DOGE(Department of Government Efficiency, DOGE)です。DOGEは連邦政府の「有能さと効果」を取り戻すと約束し、官僚機構のスリム化、税金の節約、国家債務の削減を掲げてスタートしました。
当初、DOGEは2兆ドル規模の歳出削減を目標としていましたが、この目標は1兆ドルに縮小され、さらに現在では1500億ドルへと大きく引き下げられました。これは、企業家イーロン・マスク氏がこの構想をトランプ氏に持ちかけた際に示したコミットメントの10分の1にも満たない水準です。
加えて、数十件に及ぶ訴訟や司法判断により、DOGEが進める改革の多くが遅延、あるいは差し戻しとなっています。その結果として、「行政の無駄をなくす」という看板とは裏腹に、目に見える成果は限定的だという評価が目立ちます。
世論も厳しい視線を向けています。同じ世論調査によると、DOGEの運営に対するイーロン・マスク氏の手腕を「支持しない」と答えた人は57%と、2月時点の49%からさらに増加しました。行政改革の「切り札」として期待されたマスク氏に対する失望も広がっていることがうかがえます。
大学・文化機関との対立、深まる国内の分断
国内では、トランプ政権が大学や法律事務所、美術館など、アメリカ社会を支えてきた知的・文化機関との対立を強めてきました。こうした組織は多様性や法の支配、表現の自由といった価値を重視しており、「アメリカ・ファースト」を掲げる政権の路線と鋭くぶつかっています。
移民政策の見直し、公務員制度の改革、議会との駆け引きを含む立法プロセスなど、内政分野で矢継ぎ早に打ち出された施策も、多くの市民から強い不満を招いています。政権側は「改革」と位置付けていますが、現時点では、公約で掲げた成果が十分に示されていないとの見方が広がっています。
結果として、トランプ政権2期目の100日は、支持基盤を固める期間というより、大学や専門職、文化機関を含む広範な層との「消耗戦」の様相を呈しています。国内の分断が深まるなかで、今後の政策遂行能力にも疑問符がつき始めています。
アメリカ・ファーストと貿易戦争、その代償
対外政策でも、ホワイトハウスは同盟国、競争相手の双方に対して強硬な貿易政策を展開してきました。その狙いは、アメリカ国内の製造業を復活させ、経済を再活性化させることにあるとされています。
しかし、少なくとも就任からの最初の100日間で見えてきたのは、生活費を下げるという約束とは逆に、多くのアメリカ人にとって物価上昇という形の負担が増しているという現実です。関税や報復措置が、サプライチェーン(供給網)と消費者価格に跳ね返っていると指摘されています。
また、アメリカが従来果たしてきた国際協調の役割が弱まりつつあるとの見方もあります。世界経済における米国の位置づけが揺らげば、為替や株式市場の不安定さが長期化し、他国・地域にとってもリスク要因となりかねません。
日本とアジアにとっての意味
こうしたトランプ政権2期目の動きは、日本やアジアの経済・安全保障にも無関係ではありません。2025年12月の時点で、少なくとも次の3つのポイントは注視しておく必要があるでしょう。
- アメリカ国内の政治的不安定さが、世界の金融市場の変動要因となる可能性
- 貿易戦争の拡大が、アジアを含むグローバルなサプライチェーンに与える影響
- 行財政改革を掲げるDOGEの成否が、各国の「小さな政府」論争やデジタル行政改革の議論に与える示唆
日本企業や投資家にとっては、米国の国内政策と貿易政策がどのように絡み合い、ドルや金利、需要動向に反映されるのかを冷静に見極めることが重要です。また、行政の効率化と民主的な統制のバランスというテーマは、日本を含む多くの国に共通する課題でもあります。
「偉大さ」か「衰退」か、これから問われるもの
トランプ大統領が掲げる「アメリカを再び偉大に」というスローガンは、経済の立て直しや政府の効率化、製造業の復活といった多くの有権者の期待を集めてきました。しかし、2期目の最初の100日間を振り返ると、少なくとも現時点では、混乱と分断、そして国際社会における米国の役割の揺らぎという側面が強く意識されています。
これから数年の政策運営次第で、こうした状況が「改革の痛み」を伴う一時的なものとして収束するのか、それともアメリカの相対的な地位低下を加速させる流れとなるのかが問われることになります。日本やアジアの読者としては、感情的な評価に流されるのではなく、数字や具体的な政策の中身から冷静に判断していく視点が求められます。
SNSで議論するための問いとハッシュタグ
今回の就任100日をどう見るかは、SNSでも活発に議論されています。友人や同僚と話すとき、次のような問いを投げかけてみると、議論が深まりやすくなります。
- トランプ政権の「アメリカ・ファースト」は、自国民の生活を本当に豊かにしていると言えるか
- 政府効率化と民主的なチェック機能のバランスはどうあるべきか
- 日本は、アメリカの内政と貿易政策の変化にどう備えるべきか
SNSに投稿する際は、例えば次のようなハッシュタグを付けると、関連する議論を見つけやすくなります。
- #アメリカ政治
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- #就任100日
- #newstomo
Reference(s):
Trump's 100 days: Make America Great Again or Make America Decline?
cgtn.com







