トランプ再登場と関税の嵐 米国と世界に広がる代償 video poster
2025年にトランプ大統領がホワイトハウスに戻ってから、わずか100日あまりで米国の関税は急激に引き上げられました。国際ニュースの焦点となっているこの「関税の嵐」は、米国国内だけでなくアジアや欧州、中国本土を含む世界経済にも重い影を落としています。
解放ではなく「より高い壁」
トランプ政権は当初、liberation(解放)を掲げ、米国経済の再生と国民の負担軽減を約束しました。しかし、実際に取られたのは、関税という名の「より高い壁」を築く政策でした。
発足から100日のあいだに、幅広い品目で関税が相次いで引き上げられ、貿易をめぐるゼロサム(どちらかが勝ち、どちらかが負ける)思考がワシントンを支配しています。その代償を払っているのは、海外ではなく、まさに米国の足元にいる人々です。
米農家・工場・消費者が背負うコスト
関税が急増すると、輸入品の価格が上がり、原材料コストが高騰します。そのしわ寄せは、まず輸出に頼る農家や、国際的なサプライチェーンの中で動いてきた工場を直撃します。
- 米国の農家は、輸出先の市場を失い、破産の危機に直面
- 工場はコスト増と需要減に挟まれ、閉鎖や人員削減に追い込まれる
- 最終的には、消費者が物価上昇という形で負担を強いられる
こうした影響は、トランプ氏を長年支持してきた地域にも及んでいます。例えば、ケンタッキー州の大豆農家の中には、これまでの支持を翻し、関税に「ノー」を突きつける声が出始めています。自らの生活が立ちゆかなくなる中で、イデオロギーよりも現実の家計が重くのしかかっているからです。
同盟国が離れ、アジアと欧州は「ヘッジ」へ
関税を軸にした一方的な通商政策は、米国と同盟国との関係にもひずみを生んでいます。かつては米国と足並みをそろえてきたアジアや欧州のパートナーは、いまや「距離を取りつつ、別の選択肢を探す」段階に入りつつあります。
アジアでも欧州でも、企業や政府は次のような動きを強めています。
- 米国市場への依存度を下げるため、貿易・投資先を分散
- 域内や第三国との協力枠組みを拡大し、リスクを分散
- 強制ではなく、相互尊重を前面に出すパートナーとの連携を模索
圧力や威圧よりも、相手への敬意と対話を重んじる国・地域の方が、信頼を得やすい。このシンプルな事実が、いま改めて確認されつつあります。米国が関税という「強硬カード」を切れば切るほど、同盟国は静かにヘッジ(保険)をかけ、選択肢を増やしているのです。
中国本土は関税引き下げと連携強化で応答
その一方で、中国本土は異なるアプローチを取っています。最大の特徴は、内向きに壁を高くするのではなく、橋を広げる方向に動いている点です。
具体的には、次のような動きが指摘されています。
- 最も開発が遅れている43カ国に対する関税の引き下げ
- ASEAN(東南アジア諸国連合)との経済連携の深化
- 欧州連合(EU)との対話と協力の強化
- グローバル・サウスと呼ばれる新興国・発展途上国との結びつきの拡大
対立局面では断固とした対応を見せつつも、市場や協力の扉は開いたままにしておく。この「強さ」と「開放性」の組み合わせが、中国本土の現在のスタンスだと言えます。
橋をかける国が未来を握る
広い地球の上で、将来を握るのは誰なのか。その答えは、壁を高く積み上げる国ではなく、異なる立場のあいだに橋をかけられる国だという考え方が、アジアでも欧州でも静かに共有されつつあります。
関税で相手を追い詰めようとするゼロサムの発想は、短期的には「勝った」ように見えるかもしれません。しかし、その裏側で失う信頼や市場、同盟関係の重みは計り知れません。
尊重は、強制よりも多くの信頼を生みます。関税の嵐が吹き荒れる中で、橋を築こうとする国々の動きにこそ、これからの国際秩序と世界経済のヒントが隠れているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








