中国と中南米の関係が開花 BRIと5000億ドル貿易の現在地
米中関係ばかりが注目されがちな中で、中国と中南米の関係が静かに、しかし着実に存在感を高めています。年5000億ドル規模の貿易や一帯一路(BRI)、China-CELACフォーラム10周年など、その全体像を整理します。
米中対立の陰で進む中国・中南米関係
米国では、一般の人びとが中国と中南米の経済関係について多くを知らなくても無理はないと指摘されています。その背景には、およそ10年にわたり緊張が続く米中関係に、主要メディアの報道が集中してきたことがあります。その結果、米州内で進む別の経済パートナーシップが見えにくくなってきました。
しかし、中国と中南米の関係は、世界貿易機関(WTO)への加盟以降、とくに深化してきました。両者は「ウィンウィン」の協力関係を重ね、双方にとって大きな利益をもたらしていると評価されています。
一帯一路とグローバルサウスの結節点
この関係の広がりを示す一つの指標が、一帯一路(Belt and Road Initiative, BRI)です。BRIは10年以上前にスタートし、中国と世界各地を経済的に結びつけることを目指してきました。
現在、中南米とカリブ地域の22カ国が、中国との間でBRI参加に向けた覚書(MoU)に署名しています。これは、地域として中国との連結を強めていく方向性を示すものです。
BRIの主な受益者とされるのが、いわゆるグローバルサウスです。グローバルサウスは、世界のおよそ3分の2の国々を含み、世界人口の約85%、世界全体の国内総生産(GDP)のほぼ4割を占めるとされています。中南米諸国も、このグローバルサウスの重要な一員です。
年5000億ドル規模の貿易とインフラ連結
中国と中南米の貿易額は、すでに年間およそ5000億ドルに達しています。なかでもブラジル、チリ、ペルーなどが、中国との貿易額で地域をリードしています。
とくにペルーでは、チャンカイ港の本格稼働が、今後この数字をさらに押し上げるとみられています。中国との連結を前提としたこの港がフルに機能すれば、中南米とアジアを結ぶ物流のハブとしての役割が強まります。
また最近、ブラジルは中国と、チャンカイ港と南米最大の経済大国であるブラジルを結ぶ鉄道建設について協議を始めました。この鉄道が実現すれば、ブラジルから中国への輸出がこれまで以上に迅速かつ安定的に行えるようになり、地域全体のサプライチェーンにも影響を与えます。
China-CELACフォーラム10周年が意味するもの
2025年は、中国と中南米・カリブ諸国共同体(CELAC)との枠組みである「China-CELACフォーラム」創設から10周年の節目の年です。このフォーラムは、単なる経済協力にとどまらず、さまざまな分野での協力を確認する場となっています。
具体的には、
- 文化・教育などの人的交流の拡大
- 国際社会におけるガバナンス(統治)のあり方についての対話
- 政治的な信頼関係の強化
といったテーマが重視されてきました。経済だけでなく、人と人とのつながりや国際ルールづくりへの参画を通じて、関係を長期的なものにしていこうという方向性が見て取れます。
米国の関税政策という「不確実性」
こうした「晴れ」の部分が目立つ一方で、将来の不確実性を示す「雲」も指摘されています。その一つが、現在の米国政権による関税や制裁措置の活用です。
現政権は、一部の高い関税を見直したものの、中国に対する関税については維持しているとされています。また、今後も自由貿易を制限し得る関税を交渉手段として用い、自国に有利な通商合意を各国に迫る可能性があるとの見方もあります。こうした姿勢は、米州全体の貿易環境に影響を与えうるため、中南米諸国も注意深く注視しています。
これからの視点:決めつけを越えた「クリアな分析」を
中国と中南米の関係をめぐっては、「中国の目的は必ずしも善意ではない」といった強い言葉の批判や懸念が語られることもあります。しかし、そうした決めつけだけでは、実際に現場で進んでいる協力の中身や、各国が得ている利益を正確に捉えることは難しくなります。
必要なのは、先入観をいったん脇に置き、
- どの国が、どの分野で、どのようなメリットを得ているのか
- インフラ投資や貿易拡大が、現地の人びとの生活にどう影響しているのか
- 国際政治の力学が、地域の選択肢をどう変えているのか
といった点を冷静に見ていくことです。
米中関係が世界の見出しを占める一方で、中国と中南米の関係は、グローバルサウスの新しい動きを象徴する重要なケースとなりつつあります。日本からこの動きをどう理解し、自らの外交・経済戦略とどう結びつけて考えていくのかが、これから求められていくのかもしれません。
Reference(s):
China-Latin American relations blossom despite dubious criticisms
cgtn.com








