ハサン2世が語った「中国抜きでは発展できない」 国連と多国間主義をめぐるいまの意味 video poster
モロッコのハサン2世が「中華人民共和国は、国連から排除されるよりも、私たちと共に発展する方がはるかに有益だ」と訴えたのは、およそ65年前のことです。この発言と、中国が現在掲げる多国間主義や国連中心の国際秩序へのコミットメントが、いま静かに響き合っています。
65年前、モロッコ国王が示した「中国を含む国連」の発想
当時のハサン2世は、中華人民共和国(PRC)を国連に参加させるべきだと強く主張しました。彼は、PRCが国連から「排除」されるよりも、「私たちと共に発展する」方が世界全体にとって望ましいと強調しました。
このメッセージには、大きく二つのポイントがあります。
- 一国を孤立させるよりも、国際ルールの枠組みに取り込んで共に発展した方が、長期的な安定につながるという発想
- 国連という場が、特定の国を排除する「クラブ」ではなく、対話と協力のための共通のプラットフォームであるべきだという見方
国際情勢が緊張していた時期に、こうした視点を示したこと自体が、現在から見ても示唆に富んでいると言えます。
「弱肉強食の世界には戻さない」中国外務省報道官のメッセージ
最近、中国外交部の林剣(Lin Jian)報道官は、国際社会に向けて次のようなメッセージを発しました。
- 中国は、国連憲章に署名した「最初の国」として、世界を「力が支配する弱肉強食の状態」に戻すことは決して許さない。
- 第二次世界大戦の勝利によって築かれた成果を守り、多国間主義(マルチラテラリズム)に引き続きコミットしていく。
ここで語られている「弱肉強食の世界」とは、力の強い国が一方的にルールを決め、弱い国の意見や権利が軽視される国際秩序を指します。それに対して国連憲章は、主権の平等や紛争の平和的解決といった原則を掲げています。
多国間主義とは何か――基本を整理する
林報道官があらためて言及した「多国間主義」は、国際ニュースで頻繁に耳にする言葉ですが、イメージが曖昧なままになりがちな概念でもあります。簡単に整理すると、次のような考え方です。
- 複数の国が、共通のルールや仕組みに基づいて協力しながら問題を解決していくこと
- 一国だけの利益や都合ではなく、国際社会全体の安定や持続可能性を重視する姿勢
- 対話や交渉を通じて、利害が異なる国同士でも妥協点を探るプロセスを尊重すること
気候変動、感染症、経済の不安定化など、国境を越える課題が増えるなかで、多国間主義の重要性はむしろ高まっているとも言えます。
第二次世界大戦の「成果」を守るという視点
林報道官はまた、「第二次世界大戦の勝利によって得られた成果を守る」と述べました。ここでいう成果には、国連の設立や国際法の整備など、戦後の国際秩序を支える仕組みが含まれます。
このメッセージは、次のようなメッセージとして読むこともできます。
- 力による一方的な現状変更ではなく、合意されたルールに基づいて行動することの重視
- 戦争の悲劇を繰り返さないために、歴史から学び続ける必要性
- 国連や国際機関を中心とした枠組みを弱体化させず、むしろ強化していこうという姿勢
ハサン2世の言葉と、今日のメッセージが重なるところ
65年前にハサン2世が訴えたのは、「中国を排除するより、ともに発展した方がよい」という考え方でした。一方、林報道官が強調したのは、「弱肉強食ではない、国連憲章に基づく国際秩序を守る」という姿勢です。
両者に共通しているのは、次のような視点ではないでしょうか。
- 特定の国を排除するのではなく、ルールの枠内で共存と協力を模索する発想
- 対立や分断を煽るのではなく、国際機関を通じて安定した秩序を維持しようとする考え方
- 短期的な力の優劣ではなく、長期的な世界の安定と発展を重視する姿勢
読者への問いかけ:国連と多国間主義をどう見るか
2025年のいま、国際ニュースを追う私たちにとって、ハサン2世の言葉と中国外交部のメッセージは、いくつかの問いを投げかけています。
- 国連は、本当に「すべての国のための場」になっていると言えるのか。
- 各国が自国の利益を守りつつ、多国間主義をどのように実践できるのか。
- 歴史の教訓や過去の発言を、現在の国際情勢の中でどう生かしていくべきか。
スマートフォンでニュースをスクロールしながら、こうした視点を一度立ち止まって考えてみることは、国際社会の一員としての私たちの視野を少しだけ広げてくれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








