AI時代の教育を変える武漢WDEC 中国とASEANが描く協働の未来
AI時代の教育をどう変えるか
2025年5月14日から16日まで、中国湖北省武漢市で「2025世界デジタル教育会議(World Digital Education Conference, WDEC)」が開催されました。人工知能(AI)時代の国際ニュースとして、デジタル教育のあり方と各国の協力のかたちが改めて浮かび上がりました。
AI時代にデジタル教育が急がれる理由
会議ではまず、「なぜいまデジタル教育なのか」という問いが共有されました。研究によれば、現在一般的とされるコアスキルの約4割が、2030年までに、あるいはそれより早くAIによって代替されると見込まれています。
すでに多くの学生はAIを日常的に利用しており、英国の大学では学生の約92%がAIツールを使っているというデータも紹介されました。こうした変化の中で、教育の中心は単なる知識の伝達から、次のような21世紀型能力へと移りつつあります。
- 批判的思考力
- 問題解決のための高次の思考力
- 人と機械が協働するスキル
授業スタイルも、教師が一方的に話す講義型から、教師と学生、そしてAIが協働する形へと変化しつつあります。AIをうまく活用することで、教育の質と効率を同時に高めることが期待されています。
武漢で開かれた世界デジタル教育会議
このような背景のもとで開かれた2025年のWDECには、国際機関のトップ、大学や学校の代表、教育の専門家などが参加し、知性の時代における教育の発展と変革について議論しました。
中国の丁薛祥・国務院副総理は、デジタル化とAIを活用した教育改革に向けた中国の方針を示しました。中国は、あらゆる世代の人々の生涯学習を支えるために、インクルーシブ(包摂的)で公平かつ知能的な質の高い教育システムを構築していくとしています。
その実現に向けて、次のような取り組みが強調されました。
- 各国・地域とのハイレベルな国際協力の強化
- テクノロジーを活用した教育変革の推進
- 教育インフラの接続性向上と教育資源の共有
- デジタル教育における倫理・安全面での協力とガバナンス
会議の目的は、新しいテクノロジーの力を生かしながら、教育内容や方法、学びのスタイルをどのように革新していくかを、各国の政策や実践事例を共有しつつ探ることでした。
未来の教室・学校・教師像を可視化
WDECの会場では、未来の教育をイメージできる展示やデモンストレーションが行われました。そこでは、次のような姿が紹介されました。
- デジタル教材やAIが組み込まれた未来の教室
- 学習データを活用し、一人ひとりに合わせた指導を行う未来の学校
- 教師・学生・AIが対話しながら学びをつくる協働型の授業
参加者は、学校や大学、職業訓練校、公開大学を訪問し、学びの各段階でデジタル技術がどのように授業や学習プロセスを支えているかを実際に見学しました。
こうした取り組みを通じて、会議全体が、国や文化、専門分野、そして公的・民間セクターの枠を超えた対話の場となりました。さまざまな国の関係者が、自国の経験や課題を持ち寄り、デジタル教育に向けた戦略や方法について意見を交わしました。
中国とASEANの対話が象徴する「協働」の力
今回の会議のハイライトの一つが、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)による閣僚級対話でした。この対話では、次のようなテーマに焦点が当てられました。
- AI時代に対応した人材育成
- 大学と企業などによる産学連携の強化
- 教育現場でのAIの具体的な活用方法
AIを前提とした社会では、一国だけで答えを出すことは難しくなります。今回の対話は、地域レベルで協力しながら人材育成と教育イノベーションを進めようとする動きを象徴するものだと言えます。
会議ではさらに、中国のスマート教育に関するホワイトペーパーや、「Global Digital Education Development Index 2025」といったデジタル教育に関する文書も発表されました。これらは、教育システムをどのような方向に変革していくのか、そのビジョンを示すとともに、政府、教育機関、企業など主要な関係者が協力することで生まれる相乗効果を可視化する役割も果たしています。
日本の読者への問いかけ: これからの学びをどうデザインするか
2025年のWDECで示された議論や取り組みは、日本にとっても他人事ではありません。AIが急速に普及し、働き方も学び方も変わる中で、私たちはどのように教育をアップデートしていくべきでしょうか。
今回の会議から、少なくとも次のような視点が浮かび上がります。
- 学びは子どもだけのものではなく、すべての世代の「生涯学習」として捉えること
- AIに「置き換えられる」かどうかではなく、AIと「どう協働するか」を教育の中心テーマに据えること
- 技術だけでなく、倫理や安全、ルールづくりまで含めて国際的に連携していくこと
AI時代の教育をめぐる国際ニュースは、同時に私たちの学びの未来を考えるヒントでもあります。武漢での対話と協力の場は、世界各地でこれから進む教育のデジタル変革の一つの出発点として位置づけられそうです。
Reference(s):
cgtn.com








