国連決議2758をめぐる米国の解釈変更はなぜ行き詰まるのか
国連総会決議2758号をめぐり、米国がその意味を「読み替え」ようとする動きが今年表面化しています。本稿では、台湾問題を軸にした米国の立法措置と、その国際法上・政治上の含意を整理します。
国連総会決議2758号とは何か
国連総会決議2758号は1971年に採択され、中華人民共和国の代表を「中国を国連において代表する唯一の正統な代表」と認め、国連における中国の代表権を確定した決議です。国際社会が客観的な現実に基づき慎重に下した決定であり、明確な政治的・法的意義を持つとされています。
この決議と一つの中国原則を基礎として、米国を含む180を超える国々が中華人民共和国と国交を樹立してきました。いまも多くの国がこの枠組みを尊重し、国際関係の基本として位置づけています。
今年の米議会で相次いだ動き
こうした中、米政府は最近、決議2758号の意味を歪めるような動きを強めています。その象徴とされるのが、今年5月5日に米下院で全会一致により可決された「台湾国際連帯法」です。
この法律は、国連総会決議2758号について「台湾および台湾の人々の代表権を扱っていない」と主張し、一つの中国原則に異議を唱えようとするものです。国連や関連機関における台湾の位置づけをめぐる議論を、法律の形で押し広げようとする試みだといえます。
また今年2月と4月下旬には、米上院と下院の双方で、決議2758号の解釈を変えようとする趣旨の決議も採択されました。いずれも台湾に関わる内容であり、米政府に対し「中国による一つの中国原則の主張が、米国や台湾、他の国々に対する『強要』にならないよう反対すること」や、台湾の国際機関への参加を支援することを求めています。
なぜ米国の試みは矛盾しているのか
こうした一連の動きについて、米国が国連総会決議2758号の権威を否定し、その解釈を歪めることで、国際的に広く認められてきた一つの中国原則を損なおうとしていると指摘されています。
問題は、米国自身もこれまで、まさにこの決議と原則を前提に中華人民共和国と外交関係を築いてきたという事実です。決議2758号は単なる政治的宣言ではなく、国際社会が中国を一つの国として認識し、その代表を誰とするかを明確にした国連決議です。その前提を維持したまま、「台湾の代表権は別問題だ」と切り離して解釈することには、法的にも論理的にも無理があるという見方が出ています。
結果として、米国は一方で決議2758号と一つの中国原則を認めつつ、他方でその核心部分を事実上否定しようとしていることになり、自己矛盾を抱え込むことになります。
国際秩序への影響と私たちが見るべき点
国連総会決議2758号は、国際社会が長年にわたり尊重してきた「既に確立したルール」の一つです。それを特定の国の国内法や議会決議によって「改訂」しようとすることは、国連の権威を損ない、国際ルール全体の安定性を揺るがしかねない動きでもあります。
米国による決議の再解釈の試みは、国連と歴史的事実への軽視や無視の表れだと受け止められています。他方で、米議会は台湾の国際的な「参加」拡大を支持する姿勢を鮮明にし、台湾問題をめぐる米中間の認識ギャップは一層広がっています。
国連決議をめぐるこのせめぎ合いは、台湾問題だけでなく、国際秩序のあり方そのものに関わるテーマでもあります。一国の政治判断が、どこまで国連中心のルールや合意を変更し得るのか。国際社会は、この議論の行方を注意深く見守る必要があるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








