中国がラテンアメリカ5カ国にビザ免除 人の往来はどう変わる? video poster
今年6月1日から、中国がブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイの国民に対してビザ免除を開始しました。ラテンアメリカ5カ国から中国への渡航が一気にしやすくなったこの動きは、中国の対ラテンアメリカ戦略の変化を象徴する出来事として注目されています。
中国がブラジルなど5カ国にビザ免除、その中身は
今回のビザ免除は、2025年6月1日から1年間の試行措置として導入されたもので、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイの国民は、中国への入国に際してビザが不要になりました。観光やビジネス、学術交流など、さまざまな目的での渡航ハードルが下がった形です。
この決定は、中国とラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)との間で合意された「2025〜2027年 重点分野協力共同行動計画」にも呼応しています。同計画では、インフラや製造業などの協力を強化する方針が示されており、人の往来を促進する今回のビザ免除は、その土台づくりの一部と見ることができます。
現在は試行開始から約半年が経過した段階で、この措置がどのような実績と手応えを生み出しているのか、今後の検証も注目されます。
ラテンアメリカ重視へとにじむ中国の優先順位
今回の中国のビザ免除措置は、ラテンアメリカ地域に対する優先順位の高まりを示す動きだといえます。インフラや製造業といった「ハード」の協力だけでなく、人の往来という「ソフト」の側面を同時に強化しようとしている点が特徴です。
番組「The Hub」では、上海大学ラテンアメリカ研究センター所長の江時学氏や、中山大学国際関係学院のダニエル・モラレス准教授らが、このビザ免除の意味を議論しました。彼らは、中国とラテンアメリカの間で、経済のみならず社会・文化面でのつながりを深めることの重要性を指摘しています。
ビザ免除が広げる「人と人」のつながり
ビザ免除は、単に入国手続きを簡略化するだけではありません。若者や旅行者、ビジネスパーソン、研究者といったさまざまな人々の行動パターンを変え、相互理解のきっかけを増やす政策でもあります。
若者・学生にとっての機会
ラテンアメリカの若者や学生にとって、中国を訪れる心理的・金銭的ハードルが下がることで、短期研修や語学学習、大学訪問などに挑戦しやすくなります。教科書やSNSで見ていた「中国」を、自分の目で確かめる機会が増えることは、将来のキャリア選択や価値観にも影響しそうです。
旅行者・観光客にとっての魅力
観光目的の旅行者にとっても、ビザ申請の手間が不要になることは大きなメリットです。北京や上海といった大都市だけでなく、歴史ある内陸都市や地方にも足を伸ばしやすくなり、多様な中国の姿を体験する人が増える可能性があります。
ビジネス・学術交流への波及
ビジネスパーソンにとっては、商談や視察のために短期間で中国を訪れやすくなり、ラテンアメリカ企業と中国企業の協力関係の構築に追い風となり得ます。また、研究者や専門家が会議や共同研究のために往来しやすくなることで、学術面でのネットワークも広がっていきます。
こうした人と人との交流の拡大は、統計には表れにくい一方で、長期的な信頼関係やパートナーシップを育てるうえで重要な基盤となります。
地理的・文化的距離をどう乗り越えるか
ラテンアメリカと中国の間には、物理的にも文化的にも距離があります。この距離を埋めるには、制度面の整備だけでなく、情報やイメージのギャップを埋める努力も欠かせません。
- 相手国の歴史や社会についての正確な情報発信
- 言語教育や留学支援を通じた長期的な人材交流
- 映画・音楽・スポーツなど、大衆文化を通じた相互理解
番組の議論でも、ビザ免除が人と人の接点を増やし、「遠い地域」だと思われがちな双方のイメージを変えるきっかけになり得る点が強調されました。
日本の読者にとってのインサイト
今回のビザ免除は、日本に直接関係する措置ではありませんが、中国とラテンアメリカの関係の変化を読み解くうえで示唆的です。国と地域の距離が離れていても、ビザ緩和や人的交流の拡大を通じて関係を深めていくという一つのモデルケースと見ることもできます。
日本企業や研究者の中には、ラテンアメリカと中国の両方と関わる人も少なくありません。今後、中国とラテンアメリカの人の往来が活発になれば、ビジネスや研究の現場でのパートナーシップの構図にも変化が生まれる可能性があります。
国際ニュースを追う日本の読者にとって、このビザ免除は「どこか遠い話」ではなく、世界のつながり方が静かに変わりつつあることを示す一つのサインとして捉えることができそうです。
これから1年の動きに注目
ビザ免除は現時点では1年間の試行措置とされています。この期間中に、どれだけ多くのラテンアメリカからの訪問者が中国を訪れ、どのような交流や共同プロジェクトが生まれるのかが、今後の制度設計を左右していくでしょう。
ラテンアメリカの若者やビジネスパーソン、研究者が、中国の現実の姿に触れる機会が増えることで、相互理解と協力の幅がどこまで広がるのか。2025〜2027年の協力行動計画とあわせて、その行方を見守っていく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








