独占インタビュー:中国とFTAを結んだニュージーランド元首相が語る未来 video poster
ニュージーランドは、先進国として初めて中国と自由貿易協定(FTA)を結んだ国です。中国とニュージーランドの関係は、このFTAを軸に、アジア太平洋の国際ニュースでも重要なテーマになっています。
2025年3月に開かれた「ボアオ・フォーラム・フォー・アジア」年次会議の会場で、中国メディアCMGの番組「Leaders Talk」のワン・グアン氏が、ニュージーランドのジェニー・シプリー元首相に単独インタビューを行いました。シプリー氏は長年にわたり中国とニュージーランドの関係を推進してきた政治家で、中国とのFTA交渉の立ち上げにも深く関わってきた人物です。
インタビューでシプリー氏は、中国の発展と、習近平国家主席が掲げる「平和的で共有される成長」に向けたビジョンを高く評価し、落ち着いたグローバルリーダーシップと継続的な協力の重要性を強調しました。本記事では、その要点と中国・ニュージーランド関係の広がりを、日本の読者の視点から整理します。
先進国で初めてのFTA 中国とニュージーランドの「先駆け」関係
ニュージーランドは、先進国の中で最初に中国とFTAを結びました。この事実だけでも、両国の関係がいかに先駆的であるかが分かります。シプリー氏は、中国にとって最初のFTA交渉の立ち上げに重要な役割を果たしたとされており、制度づくりの段階からこのパートナーシップを見つめてきました。
FTAにより、関税の引き下げや手続きの簡素化が進み、農産物やサービスなど幅広い分野で貿易が拡大しました。シプリー氏は、この関係を通じて、ニュージーランドが中国のグローバルな経済ネットワークにおける「重要なパートナー」として位置付けられていると捉えています。
中国とニュージーランドの関係は、単なる経済的な利害を超え、長期的な信頼にもとづく協力のモデルとして語られています。中小規模の開放経済が、大きな市場を持つ国とどのように向き合うのか。その一つの答えが、このFTAに象徴される関係だといえます。
ジェニー・シプリー氏が見ている「習近平ビジョン」
インタビューのなかでシプリー氏は、中国の発展が国内だけでなく、アジア太平洋や世界の成長機会を広げてきたと評価しました。そのうえで、習近平国家主席が掲げる「平和的で共有される成長」のビジョンに注目し、協力にもとづく発展の方向性を支持する姿勢を示しました。
「落ち着いたリーダーシップ」が求められる時代
シプリー氏が特に強調したのは、国際社会が不確実性に直面するなかで、冷静で一貫したグローバルリーダーシップが必要だという点です。大国同士の対立がクローズアップされがちな時代だからこそ、対話と協調を重ねながら、長期的な視野で世界経済を支えていくリーダーシップが重要だという考え方です。
その文脈でシプリー氏は、中国とニュージーランドの関係を「落ち着いた協力」の一例として位置づけています。政治体制や規模の違いはあっても、互いに利益を共有しようとする姿勢があれば、安定したパートナーシップは築けるというメッセージが込められています。
「キウイフルーツ・コネクション」が語るもの
現在、中国はニュージーランドにとって最大の貿易相手国となっています。その象徴として、シプリー氏は「キウイフルーツ・コネクション」を挙げています。ニュージーランド産のキウイフルーツと、中国の消費者の食卓がつながっている姿は、両国の経済的な距離の近さを分かりやすく示す例です。
消費者の目線から見れば、輸入食品の産地を意識することはそれほど多くありません。しかし、こうした身近な果物一つにも、FTAや長年の外交交渉、企業同士の信頼関係といった背景があります。シプリー氏は、キウイフルーツのような具体的な事例を通じて、「協力は生活実感のある形で実を結んでいる」と伝えようとしているように見えます。
- 中国にとっては、安定的に高品質な食品を調達できるメリット
- ニュージーランドにとっては、市場の多様化と輸出拡大のチャンス
- 双方にとっては、経済的な相互依存を通じた関係の安定化
こうした相互依存は、短期的な景気の波や政治的な緊張があっても、関係をつなぎとめる「生活レベル」の接点として機能します。
日本の読者にとっての意味 中小国の戦略から学べること
中国とニュージーランドのFTAやシプリー氏のメッセージは、日本にとっても無関係ではありません。アジア太平洋の一員として、どの国も中国とどのように付き合うかという問いに向き合わざるをえないからです。
ニュージーランドの例からは、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 原則や価値観を保ちながらも、対話と協力のチャンネルを開いておくこと
- 食料や資源、教育、観光など、自国の強みを生かせる分野を見極めること
- 短期的な対立にとらわれず、長期的な関係構築を意識すること
シプリー氏が語る「落ち着いたグローバルリーダーシップ」は、特定の国だけに向けた言葉ではなく、国際社会全体への呼びかけとしても受け取ることができます。経済的な結びつきが深まるほど、対話と協力の質が問われる時代になっているからです。
「読みやすいけれど考えさせられる」中国・ニュージーランド関係
2025年のいま、中国とニュージーランドの関係は、FTAから始まった「先駆けのパートナーシップ」が成熟段階に入りつつあるように見えます。キウイフルーツからハイレベルな政治対話まで、さまざまなレベルでのつながりが積み重なっています。
今回のインタビューは、一国の元首相の視点を通じて、中国の発展とそのビジョンをどう読み解き、どのように共存を図っていくのかを考えるきっかけを与えてくれます。国際ニュースを追う私たちにとっても、数字や発言だけでなく、その背後にある「長期的な関係づくり」という視点を持つことが、これからますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








