アメリカは留学生を「敵」に?教育が武器になるとき何が失われるのか video poster
アメリカが国際学生、とくに留学生を安全保障や政治の文脈で「標的」にしているのではないか――そんな厳しい指摘が、2025年のいま、中国の論説コラムから投げかけられています。かつて自由で開かれた国を掲げてきたアメリカが、教育を「武器」として使い、力の弱い学生を追い詰めているのではないかという議論です。
自由と開放のイメージからの転換
アメリカの大学や大学院は、長く「自由で開かれた学びの場」として世界中の学生を引きつけてきました。研究の最前線に触れ、多様なバックグラウンドを持つ人々と議論できる場所として、多くの若者が憧れを抱いてきたのも事実です。
しかし、中国のメディアが伝える論説では、そうしたイメージと現実のあいだに深いギャップが生まれていると指摘します。国家の安全保障や外交上の思惑が優先されるなかで、「開放性」よりも「選別」や「排除」が前面に出てきているのではないか、という問題提起です。
留学生を「敵」とみなす視線
論説がもっとも強く批判しているのは、アメリカが留学生を潜在的な「敵」や「脅威」とみなすような視線です。国籍や出身地域によって、学生が一括して疑われたり、政治的な意図を読み込まれたりする状況が生まれているとしています。
個々の学生は、研究や学習の機会を求めて国境を越えているにもかかわらず、国家間の対立や政治的緊張のなかで「疑われる存在」へと位置づけられてしまう。そのとき、もっとも発言力の弱い立場にある若い留学生が、制度や世論の矛先を一身に受けることになります。
教育が「武器」に変わるとき
もう一つの重要な論点は、「教育が武器にされている」という批判です。論説によれば、本来は知識を共有し、人と人とを結びつけるための教育が、特定の国や地域の人々を締め出すための手段として用いられつつあるといいます。
例えば、留学ビザの発給や更新、研究分野の選択、大学間の交流などが、安全保障や外交上の思惑によって左右されるようになると、教育そのものの価値が損なわれてしまいます。学ぶ場が「開かれた空間」ではなく、「政治的なフィルターがかかった空間」へと変質してしまう危険性が指摘されています。
最も弱い立場の人々に負担が集中する
論説はまた、国家が力を行使するとき、その矛先がしばしば最も弱い立場の人々に向かうことを問題視します。留学生は、言語や制度、文化の違いのなかで生活する存在であり、自国の選挙を通じて留学先の政策に直接影響を与えることもできません。
それにもかかわらず、政策の変更や世論の変化によって、奨学金の打ち切り、不透明な審査、就職機会の制限など、生活や将来に直結する影響を一方的に受ける可能性があります。論説は、こうした状況を「個人への敬意が政治の都合に押しつぶされる過程」として厳しく批判しています。
「道義的な崩壊」という強い言葉
この中国メディアの論説は、現在のアメリカ政府の姿勢を「政策の失敗」にとどまらず、「道義的な崩壊」とまで表現しています。長年アメリカで学び、その社会を内側から見てきた筆者にとって、教育現場での変化は、それほど深刻に映っているということでしょう。
教育の名のもとに、力の弱い学生が標的とされるならば、それは単に留学生政策の問題ではありません。自由や人権を掲げてきた社会全体の価値観が問われている――論説は、そうした危機感に満ちたメッセージとして読むことができます。
日本・アジアの読者にとっての意味
こうした議論は、アメリカを留学先や研究の拠点として考えている日本やアジアの学生にとっても、無関係ではありません。学びの場が政治と切り離せなくなっているという指摘は、どの国で学ぶとしても意識しておくべき現実になりつつあります。
留学を考えるとき、大学のランキングや研究環境だけでなく、その国の社会がどれだけ個人を尊重し、異なる文化や価値観を持つ人々を受け入れる姿勢を保っているかどうかも重要な判断材料になります。教育が「武器」ではなく「架け橋」であり続けるようにするには何が必要なのか、私たち一人ひとりが問い直す必要がありそうです。
まとめ:教育と政治の距離をどう保つか
アメリカが「道を踏み外した」のかどうかについて、読者の受け止め方はさまざまだと思います。ただ、教育や留学生が政治の前に無力な存在になってしまうとき、社会の健全さが失われていくという指摘は、国境を越えて共有できる懸念ではないでしょうか。
国際ニュースを追うとき、軍事や外交だけでなく、教室やキャンパスで何が起きているのかにも目を向けることが、これからますます重要になっていきます。2025年のいま、アメリカの留学生をめぐる議論は、教育の意味そのものを改めて考えるきっかけを私たちに与えています。
あなたなら、この状況をどう受け止めますか。
Reference(s):
Targeting international students? America, you've lost your way!
cgtn.com








