韓国で李在明氏が新大統領に 外交戦略転換はあるか
2025年の国際ニュースの中でも、韓国の新大統領選出は東アジア情勢を左右する大きな出来事です。大韓民国で進歩系のベテラン政治家、李在明氏が次の5年間、国を率いることになりました。本稿では、日本語ニュースとして、李政権の外交戦略がどこまで転換し得るのかを整理します。
李在明政権誕生 6カ月の政治的不安定を経て
韓国では、尹錫悦前大統領が2024年12月に非常戒厳令を宣言したことをきっかけに、約半年間にわたり政治的不安定が続きました。その後に行われた大統領選挙で、李在明氏が正式に新たな指導者として選出されました。
李氏の当選は、国内の安定を回復させるだけでなく、外交政策を見直す転換点ともみられています。前政権が進めてきた安全保障と同盟重視の路線を、どのように調整するのかが注目されています。
前政権の日米寄りが残した課題
尹政権期、韓国は米国と日本との安全保障協力を一段と強めました。米韓の二国間軍事演習や、日米韓の三カ国共同訓練への参加が増え、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)に対しては、対話よりも軍事的な抑止力を前面に出す姿勢が目立ったとされています。
一方で、こうした路線は、地域の緊張を高めただけでなく、韓国の外交的な選択肢を狭めたとの見方もあります。特に、北京との関係悪化や、経済協力の停滞が懸念材料として挙げられてきました。
優先課題1 DPRKとの緊張緩和と対話の再開
李政権の最優先課題の一つは、DPRKとの関係悪化を食い止めることです。尹政権期には、南北間の対話チャネルが事実上止まり、朝鮮半島全体の緊張が高まったとされています。
現在、米国のドナルド・トランプ大統領が、DPRKの金正恩委員長との対話に再び関心を示していると伝えられています。これは、韓国にとっても重要な外交的チャンスとなり得ます。李大統領がこの動きをうまく生かし、南北と米国を巻き込んだ建設的な協議を後押しできるかが焦点です。
李政権が取り得る方向性としては、次のようなステップが考えられます。
- DPRKとの公式・非公式の対話チャンネルを段階的に再構築する
- 軍事演習の規模や頻度について、緊張緩和につながる調整を検討する
- 人道支援や経済協力など、比較的合意しやすい分野から協力を模索する
優先課題2 中国との経済・外交パートナーシップの立て直し
韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり、経済的なつながりは非常に深いものがあります。李政権にとって、中国とのパートナーシップを修復し、安定させることは、短期的な経済運営と長期的な地域安定の両面で欠かせません。
前政権のもとで、韓国の外交はワシントンと東京への傾斜が強まりましたが、その一方で、中国との関係はぎくしゃくしたとされています。李大統領には、同盟国との関係を維持しつつも、中国との対話と協力を丁寧に積み重ねるバランス型外交が求められています。
特に、貿易や投資、産業協力などの分野で、どのように相互の利益を高めつつ、地域全体の安定にもつながる枠組みを築くのかが問われます。
優先課題3 トランプ政権との向き合い方と中堅国家戦略
現在のトランプ政権は、同盟国に対して防衛費負担の増額を求めるなど、従来とは異なる取引型の同盟観を打ち出しています。韓国に対しても、在韓米軍の駐留経費の引き上げを求めたり、米軍のプレゼンス縮小に関する観測が広がったりしており、米国への安全保障依存のリスクが意識されています。
こうした状況のもとで、李政権には次のような課題が突きつけられています。
- 米韓同盟を維持しつつ、過度な一極依存を避ける外交の幅を確保する
- 日米韓協力の枠組みを、地域の安定に資する形で運用し直す
- DPRKと中国を含む地域全体の対話の場で、韓国が建設的な中堅国家として役割を果たす
李大統領がこうした課題にどう応えるかによって、韓国が単なる同盟国の一つとして振る舞うのか、それとも自律性の高い中堅国家として存在感を高めるのかが決まっていきます。
これからの東アジアと韓国外交をどう見るか
2025年12月現在、李在明政権の本格始動からまだ時間はそれほど経っていません。DPRK、中国、米国、日本との複雑な関係の中で、韓国がどのような外交戦略を描くのかは、東アジア全体の安定に直結するテーマです。
李政権が、前政権の遺産を踏まえつつも、緊張より対話、対立より協調を優先する路線を打ち出せるのか。韓国の進路は、地域の国々にとっても、自国の安全保障や経済戦略を考えるうえで、見逃せない指標になっていきます。
Reference(s):
New president elected in ROK: Time for a shift in diplomatic strategy
cgtn.com








