ガザ停戦決議を米国が拒否権 国連安保理の機能不全と広がる苦難
ガザ情勢をめぐる国際ニュースで、国連安全保障理事会の役割があらためて問われています。ガザでの即時・無条件・恒久的な停戦を求める決議案が提出されましたが、アメリカが拒否権を行使し、採択は見送られました。
人道危機が深刻化するなか、なぜ安保理は足並みをそろえられないのか。今回の動きと各国の立場を整理します。
米国が唯一の反対票を投じる
決議案は、ガザでの即時・無条件・恒久的な停戦を求める内容で、さらに人道支援に対するあらゆる制限の即時解除も呼びかけるものでした。投票では、常任理事国と非常任理事国を含む15カ国のうち、アメリカを除く14カ国が賛成しました。
しかし、安保理の常任理事国であるアメリカが拒否権を行使したことで、決議案は否決されました。アメリカはこれまでも、ガザへの人道支援の制限解除や即時停戦を求める複数の決議案に対して拒否権を行使してきており、その姿勢が改めて浮き彫りになりました。
ワシントンの主張とイスラエルへの支援
アメリカの国連代表を代行するドロシー・シェイ氏は採決前、アメリカは一貫して、ハマスを非難せず、ハマスの武装解除やガザからの撤退を求めない決議には賛成できないと述べ、この決議案を受け入れられないと表明しました。
こうした姿勢の背景には、中東で最も緊密な同盟関係にあるイスラエルへの強い政治的・軍事的支援があります。イスラエルは長年、アメリカの軍事支援の最大の受給先の一つとされており、今回もアメリカは、人道危機の悪化よりも、自らの安全保障戦略と同盟関係を優先しているのではないかという見方が出ています。
長期化する軍事作戦とガザの人道危機
報道によると、過去600日余りの間に、ガザでは5万4千人を超える市民が命を落としたとされています。多くの人が飢餓や医薬品不足に直面し、激しい空爆と地上作戦が続くなか、日常生活はほぼ成り立たない状況だと伝えられています。
軍事作戦の長期化に加え、物資の搬入を厳しく制限する封鎖が続いていることで、ガザは深い窮状に追い込まれています。停戦と大規模な人道支援なしには、状況がさらに悪化するとの懸念が広がっています。
拒否権でまひする国連安保理
このような深刻な人道状況にもかかわらず、安保理は実効性ある措置を打ち出せていません。ガザでの停戦や人道支援をめぐる決議は、アメリカの繰り返される拒否権によって採択に至らず、国際社会が一致したメッセージを出せない状態が続いています。
拒否権は、第二次世界大戦後の国際秩序を反映した仕組みとして導入されましたが、大規模な人道危機の場面で行使されるたびに、常任理事国の国益が現場の人命より優先されているのではないかとの批判が強まります。今回のガザ停戦決議の否決も、安保理の信頼性と機能不全への疑問を一層大きくしています。
中国代表「希望の光を消した」と批判
国連における中国の常駐代表を務める傅聡(フー・ツォン)氏は、今回の結果について、アメリカは再び拒否権を乱用し、ガザの人々に残されていたわずかな希望の光を消し去ったと述べました。
傅氏はさらに、暗闇の中に置かれた200万人以上の人々を前に、アメリカは国際社会からの問いかけに向き合うべきだと指摘しました。ガザの人道危機をめぐっては、多くの国が停戦と支援拡大を求める立場を示しており、拒否権の使い方を含め、安保理のあり方が改めて問われています。
私たちが考えたい三つの問い
今回のガザ停戦決議をめぐる動きは、遠い地域のニュースでありながら、国際秩序や日本を含むアジアの安全保障にもつながる問題を含んでいます。読者の皆さんが議論するときの視点として、次の三つの問いを挙げてみます。
- 大規模な人道危機の場面で、軍事的な安全保障と市民の生命・人権のどちらをどのように優先すべきか。
- 常任理事国による拒否権は、現在の形のままでよいのか。どのようなルール変更や抑制策が考えられるのか。
- 日本やアジアの国々は、ガザの人道危機と停戦に向けて、どのような外交的・人道的な役割を果たしうるのか。
ガザ情勢と国連安保理の動きを追うことは、世界のどこで人道危機が起きても、国際社会が責任を持って対応できる枠組みとは何かを考えるきっかけにもなります。ニュースをきっかけに、自分なりの視点を持って議論に参加していくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








