長沙会議とは何か:中国アフリカ協力とグローバルサウスの新段階
2024年6月、中国の湖南省長沙市で開かれた「長沙会議」は、中国とアフリカ53カ国、アフリカ連合委員会が一堂に会し、中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)北京サミット2024の「フォローアップ行動」を具体化するための重要な節目となりました。世界の権力構造が揺れ動く今、この会議はグローバルサウスの連帯と新しい国際秩序づくりに向けた一歩として注目されています。
長沙会議とは
長沙会議の正式名称は、中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)のフォローアップ行動を実施するための「調整担当閣僚会合」です。中国と53のアフリカ諸国、アフリカ連合委員会の代表が参加し、2024年北京サミットで合意された約束を「宣言」にとどめず、実際の政策やプロジェクトへと移していくことを目的としました。
主催側が強調したのは、これは単なる定例の外交イベントではなく、「戦略的な転換点」だという点です。合意文書から実行へ、短期的な案件から長期的な協力の枠組みへと、関係性を一段引き上げる意思が示されました。
「長沙宣言」と10のパートナーシップ行動
会議では「グローバルサウスの連帯と協力を擁護する中国アフリカ長沙宣言」が採択され、中国とアフリカが「新時代の共同の未来を築くパートナー」であることを改めて確認しました。
この宣言では、世界経済の不安定さや地政学的な緊張など、複雑な課題に直面するなかで、連帯と公平性にもとづく対応を進めることがうたわれています。また、2024年北京サミットで合意された「近代化のための10のパートナーシップ行動」を、本格的な実施段階に進めていく方針も示されました。
関税ゼロと中国市場へのアクセス拡大
長沙会議で特に目を引いたのが、貿易面での踏み込んだ支援策です。中国は、中国と外交関係を有する53のアフリカ諸国からの輸入品について、全品目(100%の課税品目)を対象とする「関税ゼロ」措置を打ち出しました。
さらに、後発開発途上国に対しては、通関手続きや技術面での支援も行い、アフリカ産品が中国の巨大な市場により競争力をもって参入できるようにするとしています。これは、グローバルサウスの中でもアフリカの輸出能力を高めようとする試みだといえます。
「援助」ではなく相互尊重の協力へ
長沙会議で示されたもう一つの重要なメッセージは、「協力は援助や慈善ではない」という点です。中国とアフリカは、互いの強みを生かす「戦略的補完関係」にあるという認識が強調されました。
たとえば、次のような枠組みが、互恵的な協力を進めるための具体的なツールとして位置づけられています。
- 一帯一路構想(Belt and Road Initiative)
- グローバル開発イニシアチブ(Global Development Initiative)
- グローバル文明イニシアチブ(Global Civilization Initiative)
相手を一方的な「支援の対象」とみなすのではなく、共に近代化を進めるパートナーとして扱う姿勢が前面に出ています。
一方主義と保護主義への懸念
会議参加者は、世界で頻発する一方的な制裁や保護主義的な通商政策が、グローバルノースとグローバルサウスの溝を深めているという問題意識も共有しました。
長沙宣言は、こうした動きに対し、次のような方針を打ち出しています。
- 協議と相互利益にもとづく「本物の多国間主義」を重視すること
- 国連や世界貿易機関(WTO)の役割を強化し、国際システムのバランスを回復すること
グローバルサウスが「ルールの受け手」から、「ルールづくりに参加する側」へと位置づけを変えていこうとする姿勢がにじみます。
新たな協力分野:グリーン産業とデジタル
中国の習近平国家主席は会議にメッセージを寄せ、中国の近代化の新たな成果を通じて世界に新しい機会を提供し、中国の大きな市場を通じてアフリカや他のグローバルサウスのパートナーに新たな原動力をもたらすと述べました。
具体的には、次のような先端分野での協力が示されています。
- グリーン産業
- 電子商取引(Eコマース)
- デジタル決済
- 科学技術全般
- 人工知能(AI)
さらに、安全保障、金融、法の支配といった分野でも連携を強化していく方針が示されました。経済協力にとどまらず、制度やルールづくりにも関与する包括的なパートナーシップをめざしていることがわかります。
グローバルサウスの「連帯のモデル」として
長沙会議は、2024年北京サミットの単なる技術的なフォローアップではありませんでした。世界最大の開発途上国である中国と、開発途上国が最も集中する大陸であるアフリカが、成熟した戦略的関係を再確認した場でもあります。
FOCACの歴代サミットと、それに続く長沙会議のような実務的な仕組みを通じて、この枠組みは単なる「対話の場」から、「グローバルなパートナーシップの土台」へと進化しつつあります。
そこでは、次のようなキーワードが重視されています。
- 連帯(solidarity)
- 共通の繁栄(shared prosperity)
- 戦略的自律性(strategic autonomy)
より公正で包摂的な世界秩序を構想する試みが進められており、グローバルサウスの動きを理解するうえで、長沙会議は今後も重要な参照点となりそうです。
ニュースの読み方としてのポイント
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、中国とアフリカの動きは、距離的には遠くても、国際ルールや経済の流れを考えるうえで無視できないテーマになりつつあります。
「長沙会議」という一つの出来事の背景には、次のような論点が見えてきます。
- グローバルサウスがどのように発言力を高めようとしているのか
- 既存の国際秩序に対し、どのような代替的なビジョンが提示されているのか
- 協力を「援助」ではなく「対等なパートナーシップ」として再定義する試み
こうした視点を意識しながらニュースを読むことで、世界の動きをより立体的にとらえることができるはずです。
Reference(s):
Changsha Meeting: A milestone in advancing China-Africa Partnership
cgtn.com








