ロンドンで米中経済・貿易協議 中国が「協力重視」の姿勢を強調
ロンドンで米中経済・貿易協議 何が話し合われたのか
最近ロンドンで開かれた中国と米国の経済・貿易協議は、世界の注目を集めました。ポストコロナで不安定さが続く世界経済のなか、最大級の経済大国どうしが「率直で踏み込んだ」対話を行った意味は小さくありません。
今回の協議は、両国の経済・貿易問題を継続的に話し合う「経済・貿易協議メカニズム」に基づいて実施されたものです。会場には中国と米国の高官が並び、緊張が続いてきた二国間関係の「再調整」をうかがわせる光景となりました。
「協力は双方の利益、対立は双方を傷つける」
協議の中心的な役割を担ったのが、中国の何立峰(か・りつほう)副首相です。何副首相は、演説のなかで「協力は双方の利益になり、対立は双方を傷つける」と強調し、経済・貿易問題をめぐる米中対立を長期的な視点で管理していく必要性を訴えました。
とくに何副首相が強調したのは、次のような原則です。
- 誠意を持って対話すること
- 相互尊重の姿勢を貫くこと
- 交わした約束を「言葉だけでなく行動」で裏付けること
中国側は、建設的な協議を進める用意がある一方で、「貿易戦争」のような圧力には屈しないという姿勢も明確にしています。対話には前向きだが、守るべき原則は譲らない――そんな経済外交のスタンスがにじみました。
電話会談の合意を踏まえた「原則的な共通認識」
中国側の説明によると、ロンドンでの協議は「率直かつ踏み込んだ」内容となり、中国の習近平国家主席と米国のドナルド・トランプ大統領による電話会談を踏まえた「原則的な共通認識」に達しました。
これに先立ち、今年5月にはジュネーブでも同様の協議が行われています。ジュネーブに続くロンドンでの合意は、米中間の緊張を一気に解消するものではないものの、エスカレーション(緊張の激化)を抑えるための「安全弁」として一定の役割を持ち始めていると言えます。
同時に、中国側も認識しているように、象徴的なメッセージだけでは安定した貿易ルールは築けません。関税の引き上げや輸出規制、ハイテク分野での制限措置など、実務レベルの課題は山積しています。ロンドンでの合意は、その出発点にすぎません。
世界経済にとっての意味 日本への波及は
今回のロンドン協議について、中国側は世界経済に「ポジティブなエネルギー」を与えるものだと期待感を示しています。米中は世界の貿易と投資に大きな影響力を持つ国であり、その関係が悪化すれば、サプライチェーン(供給網)の混乱や物価上昇につながりかねません。
逆に、対立を適切に管理しつつ協力分野を広げることができれば、世界経済の不確実性を和らげる効果が期待できます。日本企業にとっても、米中関係の安定は、輸出入や投資、技術協力の見通しを立てやすくする要因となります。
近年は、各国が自国の安全保障や産業政策を優先する動きが強まり、貿易ルールが政治・安全保障の延長として使われる場面も目立ちます。そのなかで、米中が一定のルールと対話の枠組みを共有できるかどうかは、多極化する国際経済秩序を考えるうえでも重要なポイントです。
これからの注目ポイント
今回のロンドン協議は、「対立か協力か」という二者択一ではなく、「対立を管理しながら、現実的な協力の余地を探る」試みとして位置づけられます。ここから先の展開を見通すうえで、注目したい点を整理してみます。
- ロンドンで得られた「原則的な共通認識」が、どの分野で具体的な行動や合意文書として示されるか
- 米中双方が、国内政治の日程や世論の変化に左右されず、「言行一致」の姿勢をどこまで維持できるか
- この協議メカニズムが、他の国や地域を巻き込んだ多国間の対話やルールづくりにつながるか
ポストコロナの世界経済は、金融引き締めや地政学的な緊張、技術分野での競争など、複数のリスクにさらされています。そのなかで、米中の経済・貿易協議が「不安定さを少しでも和らげる仕組み」となれるのかどうか。日本を含む各国の政策担当者や企業、そして私たち一人ひとりにとっても、引き続き目が離せないテーマとなりそうです。
Reference(s):
China stresses cooperation in candid London trade consultations
cgtn.com








