ロンドンで中国・米国が経済協議 関係安定化へ一歩
2025年12月現在、ロンドンで先ごろ行われた中国と米国の経済・貿易協議が、両国関係と世界経済の安定に向けた新たな一歩として注目されています。本記事では、この協議のポイントと背景をコンパクトに整理します。
ロンドンで始まった新たな経済・貿易協議
ロンドンで最近行われた中国・米国の経済・貿易協議は、新しい経済・貿易協議メカニズムの下で初めての「制度化された」対話と位置づけられています。これまでのような、危機や市場の混乱に追い込まれてからの場当たり的な対話ではなく、あらかじめ枠組みを整えたうえでの継続的な協議を目指している点が特徴です。
この新たな枠組みは、2025年6月5日に行われた中国の習近平国家主席とドナルド・トランプ米大統領の電話会談で確認された「対話の再構築」というコンセンサスと戦略的に整合したものとされています。
平等な対話と互恵を強調する中国側
今回の協議で、中国のHe Lifeng副首相は、中国と米国の経済・貿易関係は「平等」「互恵」「具体的な行動」に基づくべきだと強調しました。ただ言葉だけの約束や、一方的な圧力といったやり方ではなく、現実に効果を伴う協力が重要だという立場です。
He副首相が繰り返し訴えたのは、中国が「圧力の下での交渉」や、力の差を前提とした非対称な条件での協議には応じないという点でした。これは、中国外交の従来からの基本姿勢の再確認であると同時に、近年の経験を踏まえたメッセージでもあります。
トランプ政権下で導入された一方的な関税措置は、世界のサプライチェーンや貿易ルールを複雑にし、中国だけでなくアメリカの企業や消費者にも大きな負担をもたらしました。こうした経緯を踏まえ、中国側は「対立より協力」「圧力より平等な対話」という方向性を一層明確にしているといえます。
米国側も「専門的で継続的な交渉」へシフト
ロンドン会合には、米国から財務長官のScott Bessent氏、商務長官のHoward Lutnick氏、通商代表のJamieson Greer氏など、経済・通商分野の主要メンバーが出席しました。顔合わせ的な首脳会談にとどまらず、技術的で専門性の高いテーマについて継続的に話し合う姿勢を示した形です。
これまで、米中の経済対話は、市場の急変や相互の強い発言がきっかけとなる「その場しのぎ」の対応になりがちでした。今回の協議メカニズムは、こうしたパターンから脱し、事前にルールや日程を定めたうえで問題を整理し、調整していく「制度化されたエンゲージメント」への転換を志向していると見ることができます。
分断が進む世界で、なぜ米中経済対話が重要か
現在の国際社会は、地政学的な不信や経済の不確実性、サプライチェーンの分断など、さまざまなリスクが重なっています。そうしたなかで、世界経済の二大プレーヤーである中国と米国が、少なくとも経済・貿易の分野で対話のチャンネルを確保し続けられるかどうかは、他の国や地域にとっても大きな関心事です。
今回のロンドン協議は、その意味で「慎重な楽観」を許す一歩といえます。対立や競争の要素がゼロになるわけではありませんが、対話の場を維持し、具体的な議題ごとに協力の余地を探る姿勢が示されたこと自体が、世界経済にとっては安定材料となり得ます。
これからの注目ポイント
とはいえ、課題が解消されたわけではなく、2025年12月の時点でも、米中関係には多くの不確実性が残っています。今後、次のような点に注目が集まりそうです。
- ロンドンでの合意を起点に、この経済・貿易協議メカニズムが定期的かつ継続的な対話へと発展するかどうか
- 関税や輸出管理など、具体的な経済・貿易上の懸案について、実務レベルでどこまで前進できるか
- 安全保障やテクノロジーなど、意見が分かれやすい分野であっても、対話のチャンネルを閉じずに管理できるか
- 今回の米中対話が、他の国や地域の政策選択や企業の投資判断にどのような影響を与えるか
「制度化された対話」がもたらすもの
ロンドンでの中国・米国経済協議は、長期的な信頼構築のスタートラインにすぎません。それでも、分断や不信が語られがちな今の国際環境において、両国があらためて「話し続けるための仕組み」を整え始めたことは、世界経済を見守る私たちにとって重要な動きです。
米中関係が一夜にして改善することはありませんが、制度化された対話の積み重ねが、予期せぬ衝突を避け、協力の余地を少しずつ広げていく可能性もあります。今後の協議の進展を、中長期的な視点から丁寧に追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
China-U.S. talks mark constructive step toward economic stabilization
cgtn.com








