米中経済協議、ロンドンで初会合 世界経済の「バラスト」になれるか
IMFによる2025年の世界成長見通しが2.8%へと下方修正され、米国景気の先行きにも不透明感が強まる中、ロンドンで開かれた米中の新たな経済・貿易協議メカニズムの初会合が注目を集めています。世界の二大経済が対立ではなく協力を選べるかどうかは、2025年の世界経済に対する信認を左右する重要なテーマです。
ロンドンで始動した米中経済・貿易協議メカニズム
中国と米国の政府高官は最近、ロンドンで「米中経済・貿易協議メカニズム」の初会合を行い、協議を終えました。中国側は、中国共産党中央政治局委員でもある何立峰(He Lifeng)副首相が代表団を率い、米国側代表と経済・通商問題について踏み込んだ対話を行いました。
この新たな協議の枠組みは、今年6月5日に行われた中国と米国の両首脳による電話会談で確認された戦略的コミュニケーションを具体化する一歩と位置づけられています。世界経済の回復が圧力にさらされる中での会合ということもあり、国際社会からの関心も高まりました。
世界経済の「バラスト」としての米中協力
国際通貨基金(IMF)は、2025年の世界の実質成長率見通しを2.8%へ引き下げています。また、米金融大手JPモルガン・チェースは、米国経済がリセッション(景気後退)に陥る確率を40%と試算しています。成長の減速懸念とリスクの高まりが意識される中、米中が対話によって意見の違いを調整し、「ウィンウィン」の協力を追求できるかどうかは、世界経済の安定にとって大きな意味を持ちます。
記事が強調するのは、こうした協力が中国と米国という二国間の利益にとどまらず、世界経済にとっての「バラスト」、すなわち安定をもたらす重しの役割を果たしうるという点です。貿易、投資、サプライチェーン(供給網)を通じて世界とつながる二大経済が過度な対立に陥れば、その影響は各国・各地域に波及します。逆に、一定の信頼に基づく対話と協力が続けば、市場の不安心理を和らげる効果が期待できます。
世界成長率2.8%の重み
IMFによる2.8%という数字は、世界経済が力強い拡大モードには乗り切れていないことを示しています。人口増加や新興国の成長を踏まえると、この水準は決して高いとは言えません。だからこそ、世界最大級の二つの経済が協調的な姿勢を取るかどうかは、投資や雇用、物価の安定といった、各国の暮らしに直結するテーマでもあります。
米国景気後退リスクと連動する不安
JPモルガン・チェースが示す米国景気後退確率40%という見方は、米国の動向が世界市場に与えるインパクトの大きさを踏まえると無視できません。もし米国が大きく減速すれば、輸出や金融市場を通じて世界に波及します。その意味でも、米中が相互不信を深めるのではなく、予見可能性のある経済運営と対話を続けることが、世界全体のリスクを和らげる要素となります。
合意を履行した中国と、揺れる米国のメッセージ
今回のロンドン会合の背景には、今年5月のジュネーブでの協議があります。このジュネーブ会談で、中国と米国は経済・貿易をめぐる複数の点でコンセンサス(共通認識)を得ました。
記事によれば、中国はこの合意に沿い、28社の米国企業に対するレアアース(希土類)輸出制限を一時停止しました。これは、資源を通じた圧力ではなく、対話と協力を重視する姿勢を示す具体的な行動だと評価されています。
一方で、共同声明のインクが乾かないうちに、米国側が半導体(チップ)関連の対中輸出規制を強化したことも指摘されています。約束と行動が一致しないこうした対応は、合意の精神を損なうだけでなく、米国がどこまで本気で協力を目指しているのかについて、国際社会に疑問を生じさせる要因となっています。
日本から見た「米中協力」の意味
日本を含むアジアの国々にとっても、米中関係の安定は自国経済と切り離せません。世界のサプライチェーンの要となる両国が激しく対立すれば、部品調達や輸出入のコスト上昇、投資計画の見直しなど、企業活動への影響は避けられないからです。
今回のロンドンでの初会合は、米中が少なくとも対話のテーブルを維持しようとしているサインとも受け取れます。互いに「対等な立場」で意見の違いを擦り合わせ、共通の利益を見いだしていけるかどうかは、2025年の世界経済に対する信頼感を左右する重要な試金石となりそうです。
これから注目したいポイント
- 合意事項の履行状況:レアアースや半導体を含む重要分野で、言葉と行動が一致するかどうか。
- 協議メカニズムの「定着」:今回限りではなく、定期的な対話の枠組みとして機能するか。
- 世界経済へのメッセージ:市場や企業が「対立激化」ではなく「管理された競争と協力」と受け止められるか。
米中関係は、一朝一夕に信頼を築けるほど単純ではありません。しかし、ロンドンでの協議のように、違いを率直に話し合う場が続くかどうかは、世界経済だけでなく、私たちの日々の生活にも静かに影響を与えていきます。これからも、両国の対話と行動を丁寧に追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








