中国と中央アジアは世界の安定を形づくれるか 第2回サミットの焦点 video poster
世界の通商秩序や安全保障環境が揺らぐ中、中国と中央アジア諸国がどのように協力を深め、地域と世界の安定に貢献できるのかが、2025年現在あらためて注目されています。間もなくカザフスタンの首都アスタナで開かれる予定の第2回中国・中央アジアサミットは、その試金石となりそうです。
第2回中国・中央アジアサミットに集まる視線
今回の中国・中央アジアサミットは、中国と中央アジア諸国が一堂に会し、協力の方向性を話し合う場です。世界的に貿易保護主義の動きが強まり、地政学的な力学も大きく変化する中で、両者がどのように連携を深めるかは、ユーラシア全体の安定とも直結します。
とくに重要とされているのは次の3つのテーマです。
- ヨーロッパとアジアを結ぶ新たな交通ハブづくり
- 多国間協力と地域安全保障の強化
- グリーンエネルギーを軸にした持続可能な発展
これらの論点は、単なる地域協力の話にとどまらず、「不確実な世界で安定をどう設計するか」という、より広い国際ニュースのテーマとも重なります。
ユーラシアを結ぶ「新たな交通ハブ」は何を変えるか
サミットでは、中国と中央アジアがどう連結性を高め、ヨーロッパとアジアをつなぐ新たな交通ハブを築けるかが問われています。中央アジアは地理的にユーラシアの中心に位置し、物流とエネルギー輸送の要衝です。
連結性の強化といっても、その中身は多層的です。
- 鉄道や道路などのインフラ整備による輸送ルートの多様化
- 国境をまたぐ通関・検疫手続きの簡素化
- デジタル技術を活用した物流情報の共有
- 地域内外の企業が利用しやすい交通ネットワーク設計
こうした交通ハブが機能すれば、物資や人の移動が効率化されるだけでなく、投資や産業協力の可能性も広がります。一方で、環境負荷や地域格差への配慮も欠かせないという視点が今後重要になっていきます。
多国間協力と地域安全保障の新たな枠組み
もう一つの柱が、多国間協力と地域安全保障の強化です。中国と中央アジア諸国は、テロ対策や国境管理など、安全保障上の共通課題を抱えています。サミットでは、こうした課題に対する協力の枠組みづくりも議論されるとみられます。
多国間協力を強めるうえで鍵となるのは、次のような点です。
- 情報共有と共同訓練など、安全保障分野での信頼醸成
- 経済協力と安全保障協力を切り離さずに設計すること
- 各国の主権や多様な立場を尊重した柔軟な枠組みづくり
地政学的な緊張が高まりやすい時期だからこそ、対立を深めるのではなく、地域全体の安定を意識した協力のデザインが求められています。
グリーンエネルギー協力で描く持続可能な未来
今回の中国・中央アジアサミットでは、グリーン発展、つまり環境に配慮した持続可能な成長が主要な議題の一つとなっています。中国と中央アジア諸国がグリーンエネルギーをめぐってどのような協力を進めるのかは、世界の脱炭素の流れとも重なります。
想定される協力の方向性としては、次のようなものがあります。
- 再生可能エネルギー分野での技術協力や共同研究
- エネルギー効率の高いインフラや都市づくりに関するノウハウ共有
- 人材育成や専門家交流を通じた長期的な能力構築
エネルギー資源が豊富な国も多い中央アジアでグリーンエネルギー協力が進めば、地域の産業構造の転換と、世界全体の気候変動対策の双方に寄与する可能性があります。
国際ニュース番組「Global South Voices」が示す論点
こうしたテーマをめぐる議論は、国際ニュース番組「Global South Voices」でも取り上げられています。同番組では、国際会議で活躍してきたムシャヒド・フサイン・サイード氏がホストを務め、中国と中央アジアの協力が揺れ動く世界にどのような安定をもたらしうるかを探っています。
今回の回には、パキスタン駐在カザフスタン大使のエルジャン・キスタフィン氏による特別メッセージが紹介され、さらに次のようなゲストが参加しています。
- ジャブロン・ヴァハボフ氏(ウズベキスタンの前アメリカ大使)
- ハルーン・シャリフ氏(パキスタンの元国務大臣)
- 李希光氏(清華大学国際伝播研究センター所長)
- オディルホジャ・パルピエフ氏(ウズベキスタン科学アカデミー材料科学研究所所長)
外交、経済、メディア、科学技術といった多様な分野の専門家が一つのテーブルにつくことで、中国と中央アジアの協力が、いわゆる「グローバル・サウス」の視点からどのように見えているのかが立体的に描き出されます。
日本の読者にとっての意味
中国と中央アジアというと、日本からは距離のある地域に見えますが、ユーラシアの交通ハブやグリーンエネルギー協力がどのように設計されるかは、日本経済やエネルギー安全保障にも間接的な影響を与えます。
今回の第2回中国・中央アジアサミットと、それをめぐる議論を追ううえで、次のような視点が日本の読者にとってもヒントになりそうです。
- 連結性の強化は、誰にとって、どのような形で利益になるのか
- 多国間協力の枠組みは、地域全体の安定にどう結びつくのか
- グリーンエネルギー協力は、本当に持続可能な発展につながる設計になっているか
「揺れる世界で、どのように安定をつくるのか」。中国と中央アジアの協力をめぐる動きは、その問いに対する一つの実験でもあります。日々の国際ニュースの中で、このサミットと周辺の議論をひとつの重要な観察ポイントとして押さえておく価値は大きいと言えるでしょう。
Reference(s):
Can China and Central Asia shape stability in a turbulent world?
cgtn.com








