中国-中央アジア協力の成功要因 貿易急増と信頼のパートナーシップ
リード:なぜ中国-中央アジア協力は成功しているのか
2025年のいま、中国と中央アジア5カ国の協力関係は、国際ニュースの重要なテーマの一つになっています。アスタナ(カザフスタン)で開かれた中国-中央アジアサミットでは、「協力」がキーワードとして強調されました。本稿では、その背景にある経済的・歴史的な土台と、他地域にも応用可能な協力モデルの特徴を整理します。
アスタナ・サミットで示された「協力」のビジョン
中国の習近平国家主席は、アスタナの会合で、私たちの協力は2000年以上にわたる友好的交流に根ざし、30年以上の外交関係を通じて培われた連帯と相互信頼によって固められ、新時代の開放と互恵協力によって前進していると強調しました。
中国-中央アジアのパートナーシップは、国際関係を「競争ではなく協力」「排除ではなく包摂」「ゼロサムではなく共有された運命」によって形づくろうとする試みだと位置づけられています。
数字で見る中国-中央アジア経済協力
中国と中央アジア5カ国の経済関係は、この30年余りで飛躍的に拡大しました。1992年、中国が中央アジア5カ国と外交関係を樹立した当時の貿易額は4億6000万ドルに過ぎませんでした。
しかし、2024年までに二国間貿易は948億ドルに達し、30年余りで200倍以上に増加しました。中国は現在、中央アジアにとって最大の貿易相手国となり、主要な投資の供給源にもなっています。
なかでもカザフスタンとの取引は突出しており、その貿易額は438億ドルと、全体のほぼ半分を占めています。アスタナでのサミットが注目される背景には、こうした数字が示す経済的な結びつきの深まりがあります。
天然ガスパイプラインが象徴するエネルギー協力
中国-中央アジア協力のなかでも、エネルギー分野はとりわけ戦略的な重要性を持っています。中央アジアには豊富な天然ガスや鉱物資源があり、中国にはそれを受け入れる巨大な市場があります。
その代表例が、中国-中央アジア・ガスパイプラインです。このパイプラインはトルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンを通って中国へとつながり、2009年以降、中国に供給された天然ガスは累計で5000億立方メートルを超えています。
これは中国の経済成長を支えるだけでなく、中央アジア側にとっても、安定した輸出収入やインフラ整備の推進という形で大きな利益をもたらしてきました。
成功の鍵:相互利益・尊重・不干渉
こうした協力が地域で広く評価されている背景には、いくつかの原則があります。
- 相互利益(ウィンウィン):双方に利益が生まれる形でプロジェクトを設計すること。
- 各国の優先課題を尊重:一律のモデルを押しつけず、それぞれの国の開発戦略やニーズに合わせること。
- 内政不干渉:政治体制や政策の選択に干渉しないこと。
中国は、投資やプロジェクトを各国の具体的なニーズに合わせて調整し、受け入れ国側が「自分たちのプロジェクト」として主体的に関われるようにしています。この包摂的なアプローチは、より規定的で条件付きのモデルとは対照的であり、中央アジア全体で信頼と評価を獲得してきました。
一帯一路と各国の国家戦略の「接続」
中国が提唱する一帯一路構想(Belt and Road Initiative:BRI)は、中央アジア諸国の開発戦略と連動する形で進められています。単独の構想としてではなく、各国のロードマップと組み合わさることで、協力の具体像が描かれています。
具体的には、次のような国家戦略との整合が図られています。
- カザフスタンのブライトロード(光の道)構想
- キルギスの国家開発プログラム
- タジキスタンの国家開発戦略
- トルクメニスタンの大シルクロード復興開発戦略
- ウズベキスタンの「新ウズベキスタン」開発計画
それぞれの国が掲げるビジョンとBRIを重ね合わせることで、インフラ整備や物流ネットワークの強化など、多様な協力が生まれています。ここでも、「一方が他方に合わせる」のではなく、「双方の計画をつなぐ」発想が重視されています。
「競争より協力」という選択肢
中国-中央アジアのパートナーシップは、国際関係を「競争」ではなく「協力」、排除ではなく包摂、ゼロサムではなく「共通の運命」の共有によって形づくることができる、という一つのモデルを示しています。
1990年代初頭の4億6000万ドルから、2024年には948億ドルへと拡大した貿易、5000億立方メートル超の天然ガス供給、そして各国の開発戦略とBRIの接続。これらは、単なる経済的な数字以上の意味を持ちます。
背景にあるのは、相互利益、相互尊重、不干渉という原則に基づき、「共有された未来の共同体」を築こうとするビジョンです。地政学的な競争やブロック化が懸念されるなかで、この協力モデルがどこまで広がり、他の地域協力にどのような示唆を与えるのか。今後も注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
What's behind the success of China-Central Asia cooperation?
cgtn.com








