中国発トイ「Labubu」世界で大ブーム Z世代が共感する理由
中国発のトイキャラクター「Labubu(ラブブ)」が、Z世代を中心に世界でブームになっています。単なる流行りの人形を超え、中国が「世界の工場」からカルチャーの発信地へと変わりつつあることを象徴する動きとして注目されています。
「かわいくない」のに売れている? Labubuとは
Labubuは、大きな目にギザギザの歯、ぐしゃっとした毛並みと不敵な笑顔を持つ、小さなモンスターのようなキャラクターです。日本の「かわいい」文化や欧米のスーパーヒーローとは違う、どこか混沌としたビジュアルが特徴です。
上海やソウルからロンドン、ロサンゼルスまで、世界各地のPop Martの店舗にはLabubuを求めて若者が列をつくり、オンラインのショッピングアプリでも限定版をめぐって争奪戦が起きています。
Labubuを手がけるのは北京に本社を置く企業Pop Martです。同社は「Made in China」が持ってきた大量生産・低価格のイメージから一歩進み、クリエイティブなデザインと物語性を前面に押し出した新しい中国ブランドの代表例とされています。
Z世代の心をつかむ「完璧じゃなさ」
Labubuは、いわゆる王道のかわいさからは外れています。表情は少し乱暴で、どこか反抗的です。それでも世界のZ世代を惹きつけているのは、この「変さ」がむしろリアルに感じられるからだと考えられます。
きれいに加工された写真や完璧なブランドイメージがあふれる時代に、Labubuは不完全さや感情の揺れを抱えたキャラクターとして存在しています。理想よりも「本音」「本当らしさ」を重視する世代にとって、Labubuの少し荒っぽい笑顔は、自分たちの複雑な感情を映す鏡のように映っているのかもしれません。
多くの若者がストレスや不安を抱えるなかで、Labubuは「完璧じゃなくても生きていていい」というささやかなメッセージを体現する存在として受け止められています。
ブラインドボックスが生む熱狂とコミュニティ
この世界的ヒットの背景には、Pop Martがつくり上げた独特の消費モデルがあります。Labubuのフィギュアは、どのデザインが出てくるか分からない「ブラインドボックス方式」で販売されています。
- 開けるまで中身が分からない「サプライズ性」
- 数量や期間を絞った「限定版」による希少性
- シリーズをそろえたくなる「コレクション性」
この仕組みは、ゲームのガチャ要素に近い「ドキドキ感」を生み出し、次々に購入したくなる心理を刺激します。同時に、欲しいデザインを交換し合ったり、写真をSNSで共有したりすることで、ファン同士のコミュニティも自然に生まれています。
スクリーンに頼らないストーリーテリング
興味深いのは、Labubuが映画やテレビシリーズ、配信アニメといった大型コンテンツを持たないにもかかわらず、ここまでの人気を獲得している点です。
ミッキーマウスやポケモンのような従来のキャラクターは、画面の上でストーリーが語られ、その後にグッズが広がっていくのが一般的でした。これに対してLabubuは、3インチほどのフィギュアと、そのビジュアルが共有されるオンライン空間を中心に、ファン自身の想像力とコミュニケーションの中で世界観が膨らんでいきました。
「物語は必ずしもスクリーンから生まれる必要はない」ということを示した例だと言えます。
「世界の工場」からカルチャー発信地へ
Labubu現象は、中国産業の変化とも重なっています。かつて「Made in China」は、大量生産・低価格といったキーワードと強く結びついていましたが、近年はイノベーションやデザイン性、若者文化との親和性といった要素が注目されるようになっています。
電気自動車で世界市場を変えつつあるBYDや、ドローン分野をけん引するDJIといった企業が技術面で存在感を高める一方で、Pop Martのような企業は、文化やキャラクターというかたちで新たな「中国発」を打ち出しています。
Labubuは、「哪吒(Nezha)」、「三体(The Three-Body Problem)」、「Black Myth: Wukong」といった新しい中国発の知的財産と並び、自らのスタイルで国際的な存在感を示している一例と位置づけられます。
私たちはLabubuから何を学べるか
Labubuの成功は、ヒットキャラクターをつくることだけでなく、次のような問いを投げかけています。
- Z世代をはじめとする若い世代は、どのような「本音」や価値観に共感しているのか
- モノそのものだけでなく、開封のワクワクや交換・共有といった体験をどう設計するか
- スクリーンに依存しない、新しいストーリーテリングのかたちはあり得るのか
中国発の小さなモンスターLabubuは、デザインやマーケティング、さらには文化のあり方まで、さまざまな分野に静かなインパクトを与えつつあります。スマートフォンの画面越しにその笑顔を眺めながら、次の時代のカルチャーはどこから、どのように生まれてくるのかを考えてみるきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








