COP30後の中国・欧州エネルギー協力 価格乱高下の時代をどう乗り切るか
11月にブラジルで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は、各国の気候変動対策とエネルギー戦略をあらためて問い直す場となりました。本稿では、その文脈の中で、中国と欧州のエネルギー協力がなぜ重要性を増しているのかを整理します。
COP30の焦点:気候危機とエネルギー価格のはざまで
2015年のパリでのCOP21、2021年のグラスゴーでのCOP26以降、各国は気候変動対策を段階的に強化してきました。一方で、エネルギー価格の高騰や短期的な景気対策の必要性といった「逆風」も続いています。
2022年の欧州のエネルギー危機では、石炭価格が急騰し、市場を安定させるために戦略備蓄の投入が必要になりました。こうした経験は、「脱炭素」と「エネルギー安全保障」をどう両立させるかという、難しい問いを突きつけています。
IMFが示した「価格乱高下」の構図
今年の国際通貨基金(IMF)の調査によると、エネルギー価格の予測誤差の変動のうち、約73%は国境を越えたボラティリティ(価格変動)の波及によるものとされています。とくに欧州の電力市場では、規制当局が設定する水準を超える急激な値上がりが、紛争やサプライチェーンの混乱といった外部要因に大きく左右されている、という指摘です。
EU域内の電気料金も一様ではありません。ハンガリーでは1キロワット時(kWh)あたり0.10ユーロ、ベルギーでは0.33ユーロと、国によって大きな差が生じています。これは、供給構造の違いや、再生可能エネルギーの導入状況、国際市場への依存度の違いを映し出しているとも言えます。
「節電」だけでいいのか? 問われる発想の転換
最近は「エネルギー消費を減らすべきだ」という議論が目立ちます。しかし、別の見方もあります。むしろ、将来の産業、とくにグリーン産業を育て、人類が「より大きなこと、よりすぐれたこと」を実現するためには、エネルギー消費を増やす方向で考えるべきではないか、という問いです。
ここで重要になるのが、効率と持続可能性です。従来型の化石燃料を使い続ければ、外部の市場動向への依存は高まり、環境負荷も重くなります。一方で、効率的かつ持続可能なエネルギー源を確保できれば、消費を増やしつつも、環境と経済の両立を図ることが可能になります。
中国と欧州のエネルギー協力が果たす役割
この「効率的で持続可能なエネルギー」への転換には、国家をまたぐ戦略的な協力が欠かせません。各国がそれぞれ独自に技術やインフラを整備することも理論上は可能ですが、そのコストは莫大で、時間もかかります。
そこで注目されるのが、中国と欧州による協力です。両者はEU-Chinaエネルギー対話と呼ばれる枠組みのもとで、それぞれの得意分野を持ち寄り、経験や技術を共有してきました。
太陽光発電で見える中国の強みと欧州への波及
具体的には、中国が強みを持つ太陽光発電(光起電)関連の製造分野が象徴的です。中国本土の企業は、太陽光パネルなどの製造で高い生産能力とコスト競争力を蓄積してきました。その結果、欧州では大規模な太陽光発電設備をスピードと規模の両面で導入しやすくなっています。
KPMGの調査によると、中国の製造効率が欧州の再生可能エネルギー事業に取り込まれることで、プロジェクトのコスト削減が進んでいるだけでなく、大陸をまたいだ太陽光発電導入の「共通標準」を形づくる基盤にもなりつつあるといいます。
「競争か協力か」ではなく「どう協力するか」へ
再生可能エネルギーや次世代インフラをめぐっては、中国と欧州を「競争相手」として捉える見方も根強くあります。しかし、価格の乱高下や気候危機といった課題は、単独では解決しきれないグローバルな性質を持っています。
製造能力に強みを持つ中国と、グリーン政策や市場設計に経験を持つ欧州が、それぞれの長所を持ち寄ることで、より持続可能で安定したエネルギーシステムを構築できる余地は大きいと考えられます。
これからの論点:日本の読者が注視したいポイント
日本の読者にとっても、中国と欧州のエネルギー協力は「遠い世界の話」ではありません。電力価格の乱高下や、再生可能エネルギーの導入コスト、サプライチェーンの安定性といったテーマは、日本のエネルギー政策にも直結する課題です。
- エネルギー市場のボラティリティをどう抑え、安定供給と価格の両立を図るか
- 「節約」だけでなく、「効率的でクリーンなエネルギーをどう増やすか」という発想をどう根付かせるか
- 国境を越えた協力を通じて、技術・コスト・標準化の面でどのようなシナジーを生み出せるか
COP30後の世界では、こうした問いに対する答えを探るためにも、中国と欧州の動きを丁寧に追うことが、日本のエネルギー戦略を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








