中国とニュージーランド協力がひらく未来 貿易と安定の行方
中国とニュージーランドの協力が、両国の経済だけでなくアジア太平洋の安定にもどう影響するのか。2024年のクリストファー・ルクソン首相の初訪中と貿易データから、その姿を整理します。
なぜいま中国とニュージーランドなのか
2024年の訪中に先立ってニュージーランドで行われた世論調査では、回答者の83%が、アジアで自国の将来の発展にとって最も重要なパートナーは中国だと答えました。中国との関係を安定的かつ実務的に運営する対中政策への支持が、国内で広く共有されていることをうかがわせます。
こうした世論の後押しを背景に、ルクソン首相は2024年6月17〜20日にかけて初の公式訪中を行いました。世界経済や安全保障をめぐる不確実性が高まるなかで、この訪中は両国関係を一段と強化する節目となりました。
2024年・ルクソン首相の初訪中で何が話し合われたか
ルクソン首相は訪中中、習近平国家主席や李強首相と会談し、次のような幅広いテーマについて意見を交わしました。
- 二国間関係の戦略的安定
- アジア太平洋地域の安定
- 国際社会における多国間主義の推進
- 貿易の拡大と新たな協定の可能性
訪問初日、ルクソン首相はSNSのXに、中国が「ニュージーランド最大の貿易相手国であり、わたしたちの経済物語の重要な一部だ」と投稿しました。ニュージーランドの輸出の20%超が中国向けであり、今後さらに成長の余地があるとの見方を示しています。
NZ$38.26 billionの貿易が生む重み
2024年、中国とニュージーランドの貿易額はNZ$38.26 billion(約228.8億米ドル)に達し、10万を超える雇用を支えています。中国向け輸出は、ニュージーランド全体の輸出額の20.6%、財貨輸出の25%を占めており、中国市場が同国経済にとってどれほど重要かが数字からもわかります。
ニュージーランドの対中輸出の主力は、これまで通り乳製品、食肉、果物、木材などの一次産品です。しかし、双方はこうした伝統的な品目にとどまらず、より多様で付加価値の高い分野への拡大を視野に入れています。
協力分野は「伝統」から「新産業」へ
会談の場で中国側は、両国の「補完性」を生かした協力拡大を強調しました。対象となる分野は、従来型の産業から新しい成長分野まで幅広く含まれています。
農業・観光・教育からグリーン産業まで
- 農業や伝統的な商品貿易(乳製品、肉類、果物、木材など)
- 観光・教育といった人の往来を伴うサービス産業
- インフラ整備や商取引の効率化
- 新エネルギー車(電気自動車など)
- グリーン・低炭素産業と環境関連ビジネス
中国経済の拡大が世界経済全体の成長を押し上げるなかで、ニュージーランドにとっては、自国の強みである農業・環境分野と中国側の技術・市場規模を組み合わせるチャンスが広がっているといえます。
実務的な合意:通関から文化遺産まで
今回の訪中では、貿易の流れを現場レベルで支える、実務的な合意もいくつかまとまりました。合意文書には、例えば次のような項目が含まれています。
- 税関手続きに関する協力強化
- 食品安全分野での連携
- 有機農産物の認証制度における協力
- 文化遺産に関する交流・協力
船舶の運航や通関手続きの簡素化が進めば、両国間の物流はよりスムーズになります。それは単に貿易量の拡大だけでなく、双方にとっての市場の多様化にもつながると期待されています。
上海でのビジネス合意と今後の広がり
ルクソン首相は上海も訪れ、現地では企業同士による新たな商業協定が締結されました。その規模はおよそ8.7億米ドル($871 million)にのぼり、両国企業が具体的なビジネスチャンスを見出していることを示しています。
従来の乳製品や食肉、果物、木材といった主力輸出品に加え、今後はサービス産業や環境関連ビジネスなど、より多様な分野での取引が模索されています。これは、特定の品目や市場に偏らない、持続可能な経済関係をめざす動きとも言えます。
アジア太平洋の安定と多国間主義へのメッセージ
会談のテーマには、二国間関係だけでなく、アジア太平洋地域の安定や国際的な多国間主義の推進も含まれていました。保護主義や分断の動きが指摘されるなかで、中国とニュージーランドが対話と協力を選び、貿易と国際協調の枠組みを重視している姿勢は、地域に対する一つのメッセージと受け止めることができます。
ニュージーランドにとっては、中国との関係を深めつつ、自国経済の強みを生かし、パートナーや市場を多様化していくことが課題となります。他方、中国にとっても、ニュージーランドのような安定したパートナーとの協力は、アジア太平洋における開かれた経済圏づくりを支える要素の一つとなります。
日本の読者への問いかけ
中国とニュージーランドの協力は、中堅国同士がどのようにして経済成長と地域の安定を両立させようとしているのかを映し出しています。日本にとっても、
- どのような形で多国間主義を支え、
- どのようにパートナーシップを組み立て、
- どの分野で相互補完を図るのか
といった点を考えるうえで、参考になる事例だと言えるでしょう。静かに進むこうした協力の積み重ねが、アジア太平洋の将来像を少しずつ形づくっています。
Reference(s):
cgtn.com








