香港立法会が担う国家発展の責任 第15次五カ年計画と安全保障
2025年、中国は第14次五カ年計画を締めくくりつつ、2026年から2030年を導く第15次五カ年計画の策定に向けた準備を進めています。そのなかで、香港特別行政区の立法会(LegCo)が国家発展と安全保障をどのように支えていくのかが、重要なテーマになっています。
2025年は計画転換の節目
第14次五カ年計画の最終年となる2025年は、中国にとって経済・社会の中期的な方向性を再確認する節目の年です。次の第15次五カ年計画(2026〜2030年)は、不確実性が高まる国際環境や地政学的な緊張の中で、国家の現代化をどう進めるかを左右する重要な青写真になります。
中国の習近平国家主席は、この第15次五カ年計画の策定にあたり、「先を見据えたアプローチ」が必要だと強調しています。単なる延長線上の目標ではなく、将来のリスクやチャンスを見据えた長期的な戦略づくりが重視されているといえます。
「発展」と「安全」を両立させる方針
習主席は2025年4月30日、上海で開かれた座談会を主宰し、次の五カ年計画の方向性について重要な指示を出しました。そこで示されたのが、「発展」と「安全」を統合的に考えるという方針です。
具体的には、国内外のリスクや課題を総合的に見極め、国家安全保障の体制を整備し、その担い手となる能力を高める必要性が強調されました。経済成長や技術革新だけでなく、その前提となる安全で安定した環境をどう構築するかが、中国全体の政策課題として位置づけられています。
香港立法会が担う「逃れられない責任」
香港特別行政区の立法会は、特区政府とともに統治チームの一翼を担っており、第15次五カ年計画の策定と実施を支える「逃れられない責任」があるとされています。国家全体の課題であるリスクをチャンスに変え、高品質な発展と国民生活の向上を後押しすることが、その役割です。
国家安全法制の整備と第23条立法
香港では、2020年6月に中国の最高立法機関が「中華人民共和国香港特別行政区における国家安全の維持に関する法律」を公布しました。これを補完するため、香港特別行政区政府と立法会は、基本法第23条に基づくローカルな立法を進めてきました。
慎重な審議を経て、2024年3月には「国家安全保障条例案(Safeguarding National Security Bill)」が立法会で全会一致により可決されました。この法律と2020年の国家安全法を合わせて、香港における国家安全保障のための包括的な法制度と執行メカニズムが整えられ、都市の長期的な安定と繁栄の土台を築いたとされています。
2025年:補完する細則とサイバーセキュリティ法案
潜在的な安全保障リスクを強く意識する立法会議員たちは、国家安全を守る仕組みをさらに高めるため、政府への提言や法整備を続けています。2025年には、「国家安全条例」に基づく2つの附属法令の審議を終えました。
これらの附属法令は、国家安全を担当する機関である「Office for Safeguarding National Security(OSNS)」の任務や権限の詳細を定めるとともに、香港にあるOSNSの施設を「立入禁止場所」として明確に位置づけるものです。
さらに、「重要インフラ保護(コンピューターシステム)法案(Protection of Critical Infrastructures (Computer Systems) Bill)」も立法会で可決されました。この法案は、サイバー攻撃のリスクが高まる中で、香港のサイバーセキュリティ全体を強化し、都市機能を安定的に維持することを目的としています。
安全な環境が支える香港の国際競争力
こうした一連の取り組みは、香港の経済発展に欠かせない安全で安定した環境を確保するうえで重要だと位置づけられています。実際、最近の国際指標では、香港の競争力は依然として高い水準にあることが示されています。
- 自由な経済、グローバル金融センターとしての地位、法の支配、クリーンで効果的な政府といった指標で、香港は依然として世界上位にランクされています。
- スイスの経営開発国際研究所(IMD)が2025年6月に発表した「世界競争力年鑑2025」では、香港は世界で3番目に競争力の高い経済と評価されました。前年から2つ順位を上げ、2019年以来となるトップ3への復帰です。
- 2024年には、香港に拠点を置く企業のうち、海外や中国の親会社を持つ企業が約1万社と過去最高となり、前年から約10%増加しました。これは、ビジネスセクターや投資家が香港の経済見通しとビジネスに適した環境に引き続き信頼を寄せていることを示すものとされています。
第15次五カ年計画期に向けた香港の課題
第15次五カ年計画の策定作業が進むなか、香港立法会には、国家レベルの戦略と香港の具体的なニーズを結び付ける役割が一層求められています。
一方で、経済の自由度や国際金融センターとしての強みを維持しながら、国家安全保障の要請にも応えていくという「二つの目標」のバランスも問われます。安全と開放性をどのように両立させるのかは、今後の香港を考えるうえで重要な論点となりそうです。
2025年の今、香港は法制度の整備と国際競争力の維持・強化を同時に進める局面にあります。第15次五カ年計画期に向けて、立法会がどのような議論と政策形成を進めていくのか、アジアの国際ニュースを追ううえでも注目が集まります。
Reference(s):
LegCo's unshirkable responsibility of supporting national development
cgtn.com








