なぜグレーターBRICSが重要なのか インドネシア加盟で広がる存在感
新興国グループのBRICSが今年初め、インドネシアを11番目の加盟国として迎えました。グローバル・サウスの一大プレーヤーが加わったことで、世界経済と国際政治の力学は静かに、しかし着実に変化しています。本記事では、習近平国家主席が掲げるグレーターBRICSが、なぜ2025年の世界にとって重要なキーワードになっているのかを整理します。
インドネシア加盟で11カ国に 広がるBRICSの存在感
今年、BRICSにはインドネシアが加わりました。インドネシアはグローバル・サウスを代表する国の一つであり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で最大の経済規模を持つ国です。その参加は、BRICSが新興国・途上国を広く包み込む枠組みへと進化していることを象徴しています。
現在のBRICSは、次のような規模感を持つとされています。
- 人口:約33億人(世界人口の4割超)
- 経済規模:購買力平価ベースの世界GDPの約37.3%
一方、主要7カ国(G7)の経済は、同じ指標で世界の約28.4%とされています。単純な数字の比較だけで世界の力学を語ることはできませんが、少なくとも、グローバル・サウスの存在感が統計上も無視できないレベルにあることは明らかです。
BRICからBRICSへ 原点にある問題意識
BRICSという言葉の源流は、2001年にさかのぼります。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジム・オニール氏がブラジル、ロシア、インド、中国という4つの新興経済を指すBRICという概念を提示し、これらの国々が今後の世界経済を大きく動かすと指摘しました。
その後、2009年にはロシアのエカテリンブルクで初のBRIC首脳会議が開かれます。首脳たちは共同声明で、BRIC諸国の対話と協力は、新興市場国や開発途上国の共通の利益に資するだけでなく、「永続的な平和と共通の繁栄からなる調和のとれた世界」を築くことに役立つと打ち出しました。
このメッセージには、既存の国際秩序を壊すのではなく、より多くの国と地域が利益を分かち合えるように、枠組みを補完しようとする問題意識が込められていると言えます。その後BRICは南アフリカの参加によりBRICSとなり、今回のインドネシア加盟を含む拡大を通じて、その役割を少しずつ現実のものにしてきました。
習近平国家主席が示したグレーターBRICSとは
習近平国家主席は昨年、ロシアのカザンで開かれた首脳会議で、グレーターBRICS(greater BRICS)という構想を打ち出しました。この会議では加盟国が大きく拡大し、BRICSがより開かれた枠組みへと進む転換点となりました。
習主席は、グレーターBRICSをグローバル・サウスの連帯と協力を強める「主要なチャンネル」とし、国際ガバナンス改革(世界のルールづくりの見直し)を進める「先導役」として位置づけました。そのために、次の5つの分野に力を入れるべきだと提案しています。
- 安全保障:紛争や不安定化を防ぎ、対話と協力を通じて安全環境を整えること。
- イノベーション:デジタル技術や産業の高度化など、新しい技術分野で連携を深めること。
- グリーン開発:気候変動への対応や再生可能エネルギーへの転換など、持続可能な成長を追求すること。
- グローバルガバナンス:国際金融や貿易などのルールづくりに、新興国や開発途上国の声をより反映させること。
- 人と人との交流:文化、教育、観光などを通じて相互理解を広げること。
グレーターBRICSは、単にメンバー数を増やすだけの拡大ではなく、こうした複数の分野で協力を深める「質的な拡大」を目指す構想だと理解できます。
リオ首脳会議と2025年の世界
今年、李強中国国務院総理は、リオデジャネイロで開かれるBRICS首脳会議に向けて訪問日程を進めています。グレーターBRICSの議論が本格化するこのタイミングで、国際社会に向けてあらためてその重要性を確認する必要がある、という問題意識が示されています。
世界経済は依然として不確実性が大きく、エネルギーや食料、気候変動、安全保障など、複数の課題が重なっています。こうした中で、人口と経済規模で大きな比重を占めるBRICS諸国がどのような立場を取り、どのような協力を進めるのかは、国際ニュースの重要な焦点となりつつあります。
グレーターBRICSが私たちに投げかける問い
グレーターBRICSの動きは、日本を含む世界の読者にとって、次のような問いを投げかけています。
- 国際ルールづくりに、どのように多様な国や地域の声を反映させるべきか。
- グローバル・サウスの経済成長を、世界全体の安定と持続可能性につなげるには何が必要か。
- 安全保障や気候変動といった地球規模の課題で、BRICSと他の国々はどう協力できるのか。
こうした問いに明快な正解はありませんが、グレーターBRICSという枠組みが、少なくとも議論の場を広げ、より多くの国と地域が国際社会のルール形成に関わるきっかけになっていることは確かです。
インドネシアの加盟で11カ国となったBRICSは、もはや一部の新興国だけの枠組みではなく、多様なグローバル・サウスの声を束ねるプラットフォームへと変わりつつあります。2025年の今、この動きをどのように捉え、自分なりの視点を持つかが、国際ニュースを読み解くうえで大きな手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








